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異界暗殺業  作者: 紅鈴
娼館長
117/137

6-5

ある日、ある建物に何人かの人物が、ある男の招待により集まっていた。


「ようこそ、おいで下さいました。ささっ、此方へ。」


招集をかけたその男は部屋の入り口に立ち、客を部屋に招き入れていた。

男の容姿は醜く、顔は豚と蛙を掛け合わせてた様な顔をしており、腹が酷く出ている影響で足と手が短く感じてしまっていた。

服装はかなり奇抜で濃紺の上下スーツに、所々に輝く銀刺繍を入れて派手さを出しているが、オーバンがその姿を見れば卒倒モノの酷さだった。

そんな男に案内されている者は『我関せず』と言う事を隠そうとせずに部屋の中に消えて行った。

それが男にとっては不快だった。


(今に見ていろよ!私は必ず、この組織の支配権を手に入れてみせる!)


そうしてしばらく客を案内して、予定客が全員入ったのを確認した男は、自身も部屋に入り部屋の施錠をした。

男は中に居る人物達を見回し、部屋の上座の方に移動した。


「お待たせいたしました。只今より本会合を始めさせていただきます。司会は私、ドアズ=ゴメインが務めさせていただきます。」


男・・・ドアズは仰々しい態度で会合の宣言をした。

だが、部屋に招かれた人物達はその態度を白けた目で見ていた。


(何が不満なんだ!言葉に出せ!)


そんな事を思っていたその時、ドアズの近くに座っていた人物が唸り声をあげた。


「?如何されましたか。」

「ドアズよ。お前、勘違いして無いか?」

「何がでしょう?アンゴラ殿」


アンゴラと呼ばれた者は再度、咳払いをして話し始めた。


「まず、こんな豪華なホテルでやる会合じゃないぞ。」

「会場の設定は司会である私にゆだねられましたが?」

「そりゃそうじゃ、暗殺回避の為にな。だがな、それと言って警備が十分なホテルは逆に怪しまれるぞ。『此処で何かやってます』とな。」


アンゴラが豪華なホテルと言った様に、このホテルは都市の規模の中でも上位に入るホテルだった。

各階には係員の他に魔道具による監視網や警備の人間がおり、客として利用するなら安心の出来だが、会議の為に使うなら逆に厳重過ぎた。


「お主は格式を重んずるのは判っておる。じゃが、物には限度と言うのがある。今回はやり過ぎじゃな。」

「申し訳ありません。」

「次じゃが何故、欠席者がおる?」

「・・・欠席の連絡はありましたが。」

「それはおかしいのう。何故、主催者側にその連絡が無かったのじゃ?お主は司会であって主催者じゃないぞい。」


この会談の主催者は別におり、その者が会の司会をドアズに頼んだ。

故に本来は司会業以外は部外者である筈のドアズが出席者の確認が出来ているのがおかしかった。


「しかも、見事に女性だけがおらん。お主の生理的嫌悪をわし等に迄押し付けるな。」

「申し訳ありません。」

「最後じゃがお主、部屋の違和感に気付かんのか?」

「違和感ですか?いえ、全く。」


そう言ったドアズに対して今度は周囲の者が怒気を発し始めた。


「バカモン!!!観察力と洞察力が足りん!!!それでよく『オークション』の元締めが出来るな!!!」


質問を投げかけたアンゴラはもはや隠そうともせずに怒りを放った。


「何が「もうよい!!術を解け!!」」

「は~い。」


壁から声が聞こえ、その壁が溶けるように消えて行った。


「よくもやってくれたわね、クソボケ野郎。」


溶けた壁からパインと数名の女性が出て来た。


「なぁ!何故此処が!?」


ドアズが驚愕するが、パイン達は気にせずに席に着いた。


「説明しろ、雌狐!!!」

「何で?そろそろ会合だから場所何処だろ?ってなって密偵動かして調べただけよ。」

「そんな馬鹿な!此処の事は秘密にしたはずだ!」

「あんたの趣味嗜好は判ってんのよ。で、開催地の候補を虱潰しに当たった訳。そしたら、同じような人が一杯、しかも女性ばっかだから、凡そ何やったか調べは着いたわけ。で、あんた以外の何人かに協力してもらって此処を突き止めた。」

「その協力者の中にはワシも入っておるの。」


アンゴラは意気揚々と告げた。


「な・・・何故?」

「何故も何もワシ、パインちゃんが恐いもん。」

「嫌ですねぇ、何もしませんよ。・・・()()()()()。」


そうしてパインが剣呑な空気を纏い始めた時だった。


「やめよ。」


上座の一等席に座った人物から停止の声が入った。

その人物は顔を布で隠し、容姿も厚手の服で隠し、声も男女の声を合成したような物だった。


「申し訳ございません、オーナー。」

「良い。パイン、お主に過失はない。在るとすれば余計な挑発位だ。」

「寛大なお慈悲に感謝します。」

「それに引き替えドアズよ、お主は大変宜しくない。この狭い業界で、仲間外れがどういう結果につながるか判らん訳では無いな?」

「ぐぬぅ。」


ドアズは唸り声をあげたが、オーナーは気にしなかった。


「この会合は云わば互助組合の様な物だ。悩みを同業者に打ち明けて助けを請うべき場で、仲間外れは非難の的だ。これを機にお主の生理的嫌悪を改めよ。」

「わ・・・解り・・・ました。」


何とか納得の声を出したドアズだが、彼以外の周囲の目が完全に冷ややかだった。

その目は『どうせ口だけ』と物語っているのをドアズは感じ取っていた。


「まあ、良い。では本来の会合を始めよう。ドアズ、進めろ。」

「しょ・・・承知しました!」


何とか会合が始まったが、ドアズは心の中で決意した。


(元から好かんかったが今決めた!!!あの売女雌狐を再起不能にしてやる!!!)

切りが良いのでここで切ります。

皆様も余計な仲間外れは危険の元ですよ。


会合って何?

オークションは各地にあり、その場所それぞれの悩みがある。

その為、何か月かに1回集まり、その悩みを打ち明けるのが会合の目的。

開催地は主催者であるオーナーが決め、その後に司会役が集合場所を予約して主催者に伝達、主催者が各オークション責任者に開催を通達して集まるのが基本の流れ。

(今回はオーナーとアンゴラが主催者。ドアズを司会者に指名。)(アンゴラが何故、御婆に連絡したのかは次話に話します)

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