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異界暗殺業  作者: 紅鈴
娼館長
113/179

6-1

6章開始です

パイン=ネイリスは何時も通り娼館の経営を行っていた。


(来週入ってくる子は・・・暫くは下積み兼勉強をさせて、早くても3週間後かな?)


娼館に入る嬢の選定は色々あるがスノームーンの場合は密偵達の表仕事であるスカウト業での勧誘で入って来るのがの主である。

色々な街に上手く配置するにはこの方法が良く、その街の人に顔も覚えられないので好都合なのであった。

入って来た嬢も合って無ければ自分の意思で辞めれる為、店側としても十分に吟味できるので助かるのであった。

ただ、娼館と言うある種の聖域にはそれ以外の入り方もある。


(あれ?こんな子、入ってたっけ?・・・ああ、借金の方の子か。)


所謂、身売りと呼ばれる方法で入る事である。

この場合は売られた側が先に金銭融資を行い、その見返りとして融資した金額分働いてもらう事になっていた。


(うちに引き取られたならまだ幸いね。酷い所だと使い潰す気で取らせるから。)


そんな事を考えながら事務作業をしていると執務室に来客があった。


「娼館長~、一緒に飲も~。」


片手に酒瓶を持ったマリーザが入って来た。


「・・・マリーザ、机の上の物が見えない?今、あたしは仕事中よ。」

「良いじゃん、少しだけ飲んで仕事すれば。」

「貴方の飲みに付き合わされたらあたしは仕事どころか治療院のお世話にならなきゃいけないのよ。」

「そうかな?」

「自分の飲酒量位は把握してほしいわ。」

「だって、全然酔わないんだもん。どれだけ飲んでも酔わないから、一杯飲んじゃうもん。」


マリーザの飲酒量はルイン曰く『80リットルポリバケツにろ過装置を付けるな』と言う位には酷く、彼女の飲みに付き合わされた嬢や客はそのまま治療院に直行する位には酷い物であった。


「貴方の月給の半分が酒代に消えてるのを自覚して。」

「は~い。」

「これが終わったら飲むから、それまで待ってて。」

「やった!娼館長大好き!」

「はいはい。」


その時、ノック音が響いた。

ノックの回数は4回なので身内の誰かが来たのだった。


「メイリンです。娼館長、居る?」

「居ますよ、どうぞ。」

「失礼します。」


入ってきたメイリンは外套を着ていたが、フードの部分を上げていた為マリーザでも視認出来ていた。


「あ、マリーザも居た。」

「私がどうしたの?」

「多分、後の方が良いから先に娼館長、今日って来客の予定ってあった?」

「無いわね。あったなら朝に従業員全員に話してるわ。」

「じゃあ、あれは帰らせた方が良いね。」


そう言って踵を返したメイリンにパインが待ったを掛けた。


「待ちなさい。誰がアポ無しで面会に来たの?」

「ん、ドアズ=ゴメインって言う人。太ってて横暴そうな顔の人。」


その名前と容姿を聞いたパインは片手を顔に打ち付けて天を仰いだ。


「メイリン、貴方はその人に何も言わないで。」

「何で?」

「女なんか商売の世界に入るなって人だから、言っても聞かないのよ。取引のあるあたしですら見下すような人だもの。」

「・・・よくそんなんで商売できるね?」


メイリンの疑問は正当だ。

商売は信用が第一であり、男女に優劣をつける様な取引では信用なんてされない筈である。


「何と客と業者で顔を変えるのよ。客には愛想よく、各業者には横暴にってね。」


そして二面性に二枚舌を使う商人もいるのが大半であった。


「どうせアポ無しできたのも『女なんだから会って当然』みたいな考えでしょうね。」

「サイテ~。どんなに嫌でも最低限の礼儀すら無視するなんて。」


正直な感想をマリーザが言い放った。


「そうね・・・デズモンド当たりの強面男性従業員に『約束がありませんでしたので外出中です。帰宅は何時か判りません』って代弁させておいて。」

「それで引くかな?」

「彼奴は暴力に弱いのよ。だから他の強面に協力させて数で圧倒させて。」

「ん、解った。」


そう聞いたメイリンがドアに向かうと、思い出したようにマリーザに向き直った。


「そうだマリーザ。ダイアナが探してたよ。」

「私を?何で?」

「『あの子どこ行った!新人教育から逃げるな!』原文ママ。」

「・・・マリーザ~。」


呼ばれたマリーザがパインを見返すと、パインの額に青筋が立っていた。


「貴方、また逃げようと「私が代わりに言ってくるわ!」も・・・待ちなさい!」


立ち上がろうと机に手を置いた時にはマリーザが脱兎の如く部屋から飛び出した後だった。

怒りのやり場を無くしたパインは少しだけ机に力を掛けた。

その時、


「にょわぁ!」


()()()()()()が鳴り響き、()()()()()


それを見たメイリンが驚いた顔をしていた。


「その机、()()()()()()()()()()・・・。」

「そうよね、あたしの記憶でもその筈・・・あら?」


パインは何時もしているクロスリングが壊れて、地面に落ちる音を聞いた。


「噓でしょ?」


そしてそれが何を意味するかを知っているパインは顔をひきつらせた。

切りが良いのでここで切ります。

時系列的には前章1話とほぼ同時期です。


何で机が割れたん?

それがパインの秘密です。

かなり後で書きます。

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