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異界暗殺業  作者: 紅鈴
聖女
102/180

5-19

深いまどろみの中からアンナはゆっくりと目が覚めた。


(どこ?此処?)


天井が在ると言う事は何処かの建物の中なのは理解できた。

だが、なぜそんな場所に居るかが分からなかった。


(最後の記憶は・・・何処かから攻撃魔法が飛んできて、余波で川に投げ出されて、シオンを抱きしめて・・・)


そこ迄思い出したアンナはシオンを捜す為に起き上がろうとしたが、激痛で起き上がる事が出来なかった。


(なん・・・)

「起きたのか?だったら無理に体を動かそうとするな、傷が開く。」


その時、何処かで聞いた声が聞こえた。


(誰だっけ?)

「うっし、起きてるな。軽く検査するから無駄に動くなよ。【構造解析】」


そして自分を覗いてきた顔を見て、その人物を思い出した。


(確か、魔法具店に煙草を買いに来た人)

「うん、まあ、現状此処までだな。さて、アンナ=フリューゲ、状況の説明は要るか?・・・ああ、声だけなら出していいぞ。その辺りは傷が少ないからな。」

「お願い・・・します。」

「良し、まず此処はギルファ医院っていう建物だ。俺は此処の家主のルイン=ギルファと言う。あんたとはメリッサ・・・フィグマ魔法薬店で会ったな?フルネームに関してはあの時に居たマグノリアに聞いた。此処までは良いな。」

「マグノリア・・・居るんですか?」

「居るよ。ただ、今は此処には呼ばない。話がややこしくなる。」

「ややこしい?」

「ああ、まずあんただが、此処に担ぎ込まれてから3日ほど寝ていた。原因は判ってるな?」

「攻撃を受けました。」

「だろうな。ほぼ全身に第3度熱傷に爆傷。近くに大量の水が在ったからある程度は助かってるが、正直これで生きてるのは何でなんだ?」

「私が・・・使い捨ての防護兵装を結構持ってました。」

「・・・成る程。だからもう1人はあんな状態だったのか。」

「シオンは・・・どうなりました?」

「もう1人の方か?死んだよ、此処に運ばれた時点で死んでたが正確だな。」


ルインが余りにもあっけらかんと言うのでアンナは一瞬では頭の理解が追い付かなかったが、徐々に理解しだすとともに怒りが湧いてきていた。


「何で?・・・助けられたんじゃ・・・。」

「無理言うな。手足が無い状態の上に顔の半分が瓦礫で潰れた状態の奴を治せるとしたら、それは神様だけだよ。」

「でも凄腕だって・・・マグノリアが・・・。」

「出来ない事は出来ないと言う、それも治療者の務めだよ。安易な希望を持たせると、そこに縋りたくなる。それが破滅への1歩だったら、何としてでも止めるよ。」

「でも・・・それでも・・・!」

「さっき言ったよな、爆傷も有ったって。普通だったら死んでるような規模の爆発でも、ある程度原型を保ってたのはあんたの防護礼装の御かげだ。その部分は誇れよ。」

「誇れませんよ!・・・生きていてほしかった!・・・世界が広い事を教えたかった!」


その咆哮で傷口が痛み、強制的に口を噤んだアンナを見てルインは頭を下げた。


「・・・すまなかった、言い方が無神経すぎたな。」

「いえ・・・こちらこそ・・・すみませんでした。・・・直してもらった傷が・・・」

「傷なら治せばいい、その為に俺みたいな治療者が居る。遠慮なく頼れ。」

「・・・はい。」

「兎に角、暫くは安静だ。俺も仕事が在るから、あんたの介護する奴を連れてくる。そのついでに色々説明と契約とかををしたいからマグノリア達も呼んでくる。それまで少し1人になるが大丈夫か?」

「少し・・・感傷に浸ってます。」

「・・・悔しいのは判る、だからって自棄になるなよ。」

「解りました。」


そう言って部屋を出ようとしたルインだったが、ドアを開けた段階で止まった。


「・・・言い忘れてたが、もう1人の方は遺体を奇麗に直した後、防腐処理して此処に保存してある。歩けるようになったら、別れの為に会わせてやる。」

「必要無いですよ。・・・そんなの。」

「次に進むための一歩だと思って会って欲しいな。それに、別れの挨拶は必要だろ?」

「・・・解りました。」

「じゃあ、暫く待っててくれ。ゆっくり帰って来るから、その間に出来るだけ泣いておきな。」


そう言って出て行ったのを確認したアンナは、静かに泣き始めた。

切りが良いのでここで切ります。

かなり無神経な言い方でしたが、ルインはこれでも優しい言い方をしています(ガチで酷いとこれよりひどい言い方をする医者が作者の知り合いに当たりました。)

後、いつの間にか100話に達成してましたね。

只、設定集なんかも会わせてなので実感はわかないですね。


何を契約する気だよ?と言う疑問

それを次の話で話します。

簡単に言うとメリッサにしたかった治療です。

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