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金曜日のシンデレラ

作者: 黒楓

今日は金曜日。金曜、女のドラマシリーズですが……


来週の月曜真っ黒シリーズはお休みしていいくらい真っ黒です(^^;)

 ちょっと前までの金曜日は……『ジブリが流れている』テレビをつけっぱなしにして、半額のお弁当とお惣菜を“ちゃぶ台”に並べ、キンキンに冷やしたフルーツフレーバーの缶チューハイを開けて、ささやかな宴を催していた。

 やっと訪れた週末の宴なのだから、お惣菜の内容だって平日とは違う!

 平日はスーパーのお惣菜セットをその日の夜と次の日のお弁当用に分けて使うのだけど……週末はウィンドウショッピングで目の保養をした後で“成城”とかデパ地下へ立ち寄り、高級感のある物を出来るだけお手頃に買い求め事に、ある種、命を燃やしていた。

 そう!会社のある『田町』からアパートのある『蕨』まで……定期券で行ける所はいくらでもあるのだから。


 私、会社に入ってから〇kg瘦せたのだけど、それは仕事や人間関係のストレスだけじゃなく、最大の原因は食事量が少ないから!それも経済的な理由で……


 けれど、どんなに小さなお弁当箱でも誰もツッコミを入れないでくれるのは、私がまだ若いからで……

 私の“若さ”の利用価値なんて、こんなものと思っていた。


 地元のビジネススクールは女の子ばっかりだったし、会社の毒男くん達は将来を託すには心もとない(例え人柄が普通だとしても収入が至らない)! さりとて私には、合コンなどの“社外活動”で、何とかなる程の華も無い……


 考えてみればカレシが居たのは、皆が競う様に“くっ付いていた”高校の時だけで、同じ穴の狢どもは全員結婚してしまった。


 私の地元は『女は賢く育てるな』と言うのがデフォで……私の様に東京に出て来る女子は『後足で砂をかけた女』として後ろ指をさされる。


 特に私みたいに“帰省するのさえ躊躇ってしまう”程の低収入な輩は、友達にも義理を欠きまっくっているので……ますます非難されているのだろう。


 元より地元に帰る気は無い!

「『女は賢く育てるな』なんて土地で生きて行くのは真っ平だ!」

 何かで挫けそうになる度に、心の中でこう叫んで、くちびるを噛み締めた。


 でも東京に来て5年も経つと……『スクールカースト』なんか目じゃない『実社会のカースト』に否が応でもブチ当たる。

 それがとうとうハッキリと見えてしまって

 幼い頃には身近にいくつもあった……立ち入り禁止の澱んだ溜め池に落ちて……藻掻きながら溺れ沈んでゆく気がした。


 故郷を出る前からずっと思っていた事。


「私は東京の人になりたい!!」


 その為には結婚して……家庭作って子供産んで……子供は東京の“ネイティブ”であって欲しい!

 ただでさえニッポンは地盤沈下なんだから!!

 せめて一番高い所に居ないと!!


 そうやって藻掻けば藻掻くほど現実の荒波が頭の上にのしかかる。


 そんな“溜め池”の泥に埋もれた……地位も縁故もお金も無い私が見れる夢は、マッチ売りの少女が擦るマッチだった。



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 私は、とある一線を越えた。


 何がホンモノかは分からない。

 それは経験によって得てゆくもの。


 今はまだヨチヨチ歩きだけれど、大感激した“麻布十番のお店”だって、その価値が違って見えて来るのかもしれない。


『マッチ売りの少女』が隠語だと聞いた事がある。


 だとすれば……私はあと何回、マッチを擦る事ができるのだろうか……


 金曜日のシンデレラは……


 せっかくの夜景を見る事もせすに

 午前0時を回っても休みなく

 男の欲望を受け入れる。

 マッチの炎が消えてしまうのが

 恐いから。




こういう人、居そうな気がして恐いのです……



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― 新着の感想 ―
なんともなー  なんともねー  (。ŏ﹏ŏ)  ……確かに、こーゆー女性は居そうに思えますねー  (・・;) 
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