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静かにしろよ、ハニー・トラップ!  作者: 大天使ミコエル


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85 山の中の研究所(1)

 そして、一行は山登りに勤しむ事になった。


 岩ばかりの山。

 休憩がてら座った岩場からの視界は、空一色だった。

 すぐ下を向けば、石一つでも落とせば、麓まで転がり落ちてしまう崖だ。


 見ない見ない。


 自分に言い聞かせ、空を見上げる。


 ふと、あのゴーレム博士の本が気になった。

 この辺りなのだ。博士のもう一つの秘密基地が。


 大陸の内部にあり、首都側にあり、魔法が使えるゴーレムを作っていたはずのところ。

 本を書いたのはきっと数十年前であろうから、今どうなっているのかはわからないが、……まだゴーレムが居たとしたら?


 自分は勇者でもなんでもない。

 無視しても、構わない、はずだった。


「なあ、二人とも」

 声に出していた。

「行きたい場所が、あるんだが」


 声に反応して、二人が顔を上げる。

「どこに行くの?」

 ハニトラはもうその気になっていて、目をキラキラとさせた。

「何処ですの?」

 マルの鼻がツンとする。


 ユキナリは、例の本を見せた。

「それで、もしもゴーレムがゴーレム軍団なんて作っていたら叩きのめしてやる〜!ってことですの?」


「いや……、」

 反射的に否定してしまう。

 マルにはお見通しって事か。

「……また、ここに宝石でも眠っているかもしれないだろ」


 そう言っておく。

 実際、あの孤島にあった宝石類は、一つだけでも金貨になる程値打ちのあるものだった。

 それが両手に抱えるほどあったのだ。

 そして結局、半分だけ残して、金貨へと変えた。

 また、無いとも限らない。

 あんな研究は、どうしても金がかかるだろうし、資産を貯め込んでいる可能性はあるんじゃないかと思えた。


「私は行きたいな」

 ハニトラがにっこりと笑う。

 華やかな笑顔。何事にも前向きなのだ。コイツは。

 それが例え、戦闘であったとしても。


「そうですわね」

 マルは思案顔だったけれど、宝石の事を思うと、無下にもできないようだった。

「どんなモノが出てきても知りませんわよ。……と言いたいところですけれど、そんなモノ怖がっているようじゃ、魔女に挑めませんものね」

 マルが、ピョンピョンと跳ねるようにステップを踏んだ。

「どんなモノでも倒してしまいましょう!」


「そうだそうだー!」

 と叫んだのはハニトラだ。


「おっ、やる気だなー!」

 誘った俺が言うのもなんだが、きっと一番怖気付いていたのは俺だった。

「気合い、いれないとな」

 両手をグッと握る。




 かくして。


 地図を眺めつつ、ああでもないこうでもないと意見を巡らす。

 地図、といっても手描きの地図で、それほど詳しいわけでもなかったからだ。

「この山の辺りなのは間違いないんだけどな」

「この線から東は、地盤が緩いので、こちらという事はないと思いますわ」

「なんでだ?研究所って、地下の可能性が高いだろ?その方が掘りやすいんじゃ……」

「ゴーレムが歩いたら壊れるようなところには作らないと思う」

「ですわ。研究所が崩落しても、困りますものね」


「なるほど……?」


 そのマルの説明よりも、なんでこんな時にこの二人は息が合うのかと訝しむ。

 俺だけ分かってないみたいじゃないか。


「この辺り、怪しいですわね」

 マルが、ひとつの山の中腹を肉球で示す。

「地盤の硬い山。町から見えない場所。細い道を通せる場所……」


「うん」と一つ、ユキナリが頷く。


「よし、じゃあここに行ってみよう」

さてさて、何が出てくるでしょうか!

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― 新着の感想 ―
山だし、きっとゴリラとかばん馬とか山羊(がらがらどんとか)とか出てくると思っていましたが、まさかゴーレムとは。意外な展開になってまいりましたね。
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