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静かにしろよ、ハニー・トラップ!  作者: 大天使ミコエル


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60/230

60 初級ダンジョンの島(2)

 そして、一行は初級ダンジョンに降り立った。


 中心に幾つか建造物はあるらしいが、今は住む人もなく、ダンジョンになる前は個人の所有物だったという事だ。

 ただ一人、ここに住んでいた変わり者というのも、今では行方不明。

 行方不明から何十年も経った今、この小さな孤島にスケルトンが住み着いたという事だった。


 岩だらけの場所から、島の中へ入っていく。

 見た感じ、岩に囲まれた中心が森のようになっている。あの奥に建物があるのだろうか。


 周りを見ると、他の冒険者達は迷いなく森の中へ入って行く。

「スケルトンなんて、怖くありませんわよ」

 なんて強気な事を言うマルを先頭に、一行も他の冒険者に倣い、森の中へと入って行った。


 静かな森の中。


「なぁ、マル」

 俺は、マルに声を掛けた。


「なんですの?」

 マルは、ツンと鼻を上に向けたまま、ツンとした声で返事をした。


「……“異性に嫌われる呪い”って、聞いた事あるか?」


「“異性に嫌われる呪い”?いいえ。なんですの?あなたがその呪いにかかっているとでもおっしゃいますの?」


「実は……、」

 真剣な顔になる。

「そうなんだ」


 言葉にすると、それはあまりにも呆気なく、そしてそれは確かに事実なのだと理解する。

 女性に嫌われる体質。

 ギャグ漫画か何かなら、それで生きづらいなんて事にはならないだろうが、現実、この状態は困る事が多かった。

 女性の店員に会う事も多い。ビジネスだからと割り切れる人も多いのか、普通に接してくれる人もいないではないが、大抵は嫌な顔をされたりそうでなくても顔が強張っていたりする。

 悪い時は無視される。

 買い物もまともに出来ない。

 それどころか、このままでは何かあった時、真っ先に疑われるのはきっと自分だろう。


「なるほど、そうですのね」

 マルは、何かを思い出すように頭をぐるりと回し、空を見上げた。


 ハニトラの方は、ピンとこないというように、キョトンとした顔をしている。


「聞いた事はありませんわ。魔女、ですの?」

「そうだ」


「魔女は、気まぐれに呪いを発しますの。思いつきの、その場限りの呪い」


「抵抗する方法は……」


「聞いたことがありませんわ。解呪したなんて話、聞きませんもの。魔女の話なんて、誰だってあまり話したがらないものですし?」


 そしてマルは黙り込んでしまった。

 森は段々と深くなる。背の高い木が、風に吹かれバサバサと音をたてた。


「迷子になりそうだな」


「あら、地上はまだマシですわ。小島ですもの、どこ行ったって海ですわ」


「……まるで、地下があるような言い方だな」


 そこで、何かが視界をかすめ、


 ドシュ、


 と、目の前の木に何かがぶつかった。


「!?」


 よくよく見ると、白い何かが、木の幹に刺さっている。

 それも手に握りやすい太さの何かだ。


「ほ、骨……?」


 目の前で立ち止まったマルが、それが飛んできたほうに向かって視線を送っている。

 ユキナリも、それに釣られるように視線を横へ送った。


 ハニトラが、ユキナリを守るように前へ踏み出す。


 木の奥に何か、気配がした。

いよいよ戦闘ですね!

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