表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
静かにしろよ、ハニー・トラップ!  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/230

40 最初の相談(3)

「ゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴッ」


 すごい音を立てて飲むハニトラに、感心したのも一瞬だった。

 酔いの回りが早いのか、ジョッキを置いた瞬間から、ハニトラの顔はすっかり真っ赤だった。


 え……?


 嫌な予感だなんて言う暇も無かった。


「うきない〜〜〜?なんかおかひくへ〜〜〜〜」


 ハニトラは、すっかり呂律が回っていない酔っ払いになっていた。


 うわああああああああああ。


 異様にバランスよくぐらんぐらん頭が揺れ、床に落ちそうになったところをなんとか受け止める。

「ハ……、ハニトラ……?」


「うきない〜〜〜〜?あらひ、こえ、はいめっておんあ〜〜〜〜〜〜」


「な、なんだって……?」


 心なしか、髪の先までクタクタだ。いつものおかしな癖っ毛が、真っ直ぐに落ちてしまっていた。


「お〜〜〜〜〜い」

 なんとか歩かせ、店の前まで連れて行ったはいいけれど、ぐらんぐらんするハニトラをこのまま宿まで連れて帰れるとは思えなかった。


「ハニトラ〜〜〜〜」

 一応、名前を呼んでみる。

「ひゃあい〜〜〜〜〜」

 という返事はしてくれるものの、あまりにも頼りない返事だ。


 仕方なく、背中に背負う。

 ふにゅん。


「なあああああああああああ」


 未だ、慣れない感触を背中に味わい、変な叫びが出てしまう。

 ……俺も、かなり酔ってるな……。


 ゆるゆると歩き出す。

 落とさないように。


 夜の星の下を。


「ゆひない〜〜〜〜」


 イントネーションからして、俺を呼んでいるのだろう。


「ん?どした?」


「あるひぇる」


「…………」


 歩ける?

 確かに、さっきよりは少しマシなようだが、

「いや、無理だろ」

 言いながら、背負い直す。


 この国にもお酒は20歳から、なんて法律があったりするんだろうか。

 あっても魔物は適用外だろ……。


「あるひぇる〜〜〜〜〜」

 ハニトラが、言いながらユキナリの頭をポコポコと叩いた。

「いたいっ!いたいいたい」


 仕方なく下ろすと、ハニトラがフラフラと歩き出した。

 呆れながらも、いつでも支えられる様にしながら隣を歩く。


「酒飲めないんじゃないか」


「ひらああったんらも」


「……そうみたいだな」


「ふぅ」と一つ、ため息を吐いた。

 町の中だというのに、星空は元の世界で見るよりも、満天の星空に見えた。

 町の明かりが暗いからだろうか。それとも、そもそもの星の数でも違うんだろうか。


「家の場所もわからないなんて、寂しいよな」


「あみひくらい」


「寂しくない?」


「ゆきなりいてくれたら……あみしくらい」


 そう言いながらも、ちょっと泣きそうになっているその青い瞳を見た。


「絶対探してやる」


「…………うん」


「ゆきなりは、さみしいのね?」


「え?」


 そんな事、考えた事も無かったな。

 なんか、生きるのに必死で。


「どうかな。元々そんなに、もう会ってなかったし。もう会えない覚悟も、してたっていうか」


 元々、旅行先かなんかで定住してもいいと思ってたくらいだ。恋人もいなければ、そこまで固執する友人もいない。

 元々そんなに、家族に会いたくて寂しいなんて感情…………。


「けど、そうだな。ちょっと…………寂しいかな」


 満天の星よりもキラキラとした目が、あまりにも優しくこっちを見たから。

「へへっ」とちょっとだけ照れ笑いした。


 …………さすが、ハニートラップなだけはある。

ハニトラちゃんは魔物なので、年の数え方から何から人間とは違う生き物です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
酔っ払いは周りの状況がわかってないのに自分は立てるから大丈夫とか本気で考え出すぞ! けっこー危ないので真似しないで!!
今日の言い訳 「ひらああったんらも」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ