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20 銀髪の女の子(1)

 ポケットの中の透明な石の感触を確かめる。

 ちょうど10個。


 とりあえず、ギルドにダンジョンの報告をしないといけないもんな。


 じっと、ベッドの上の女の子を見る。

 すっかりスヤスヤと眠っている様だ。

 流石に下半身丸出しはこちらとしても困るので、上から布団でくるんでおく。

 気を失っている人間をどうこうするほど、人間終わってない。

 その艶やかな足に心惹かれつつ、布団の中に見送った。


 ついでに、アレだよな。


 着せてしまっている服。

 アレがないと、俺も実は上半身裸だったりする。

 これで出かけたくはないし、お金も無いわけで。

 仕方なく、脱がしにかかる。


 これは……ゾンビと対峙している時と同じくらい緊張する……。


「俺は悪くないからな?」


 言い訳を一つしておいて、その細い腹を隠している服に手をかけた。


 目をつむり、一気に引き抜く。


 ぽよん。


 見てはいないわけだが。

 見てはいないわけだが、上着がその胸を掠める感触が、手に伝わってきてしまう。


 うぅ……。


 脱がした服を着ると、ほのかな温かみが肌に伝わり、妙な気分になる。


 起きて、知り合いになればワンチャンあるか……。

 そこで、今までのこの世界の女性の対応を思い出してしまう。

 無理か〜〜〜〜〜〜。


 ため息を吐きながら、ユキナリはギルドへと向かった。




 ダニエルは、じ……っと石を検分する。

 石の鑑定まで出来ないと、ギルド員にすらなれないのだろうか。それとも、ダニエル特有のスキルなのだろうか。

「一つ、銅貨5枚ですね」

 と、ダニエルはニッコリした。


「え、それじゃあ……」


 10個あるので、銅貨50枚分だ。

 一つで宿一泊分か。


 有り難く、カウンターの奥から出される袋を受け取った。

 銀貨、5枚。


「ありがとうございます」

「いえいえ、初めてでこれは、なかなかですよ」


 数日分の収入にはなったので、少しホッとする。




 宿へ戻る道すがら、宿に置いてきた女の子の事を思い出す。


 ただ眠っていただけに見たけれど、もう起きただろうか。

 流石にあの格好じゃ、外には出られないだろう。


 途中にあった、洋服屋を覗く。

 出来るだけ庶民的な店を選んだつもりだ。


 値札を見ると、銅貨3、4枚の値段が並ぶ。


 ホッとしながら、白いワンピースに赤い上着がついた服を銅貨4枚で買う。

 店員のおばさんに、なんだか白い目で見られながら。




 部屋に入ると、銀髪の少女はまだスヤスヤと眠っていた。


 線の細そうな顔を眺める。


 夢は見たっていいじゃないか。


 どんな喋り方をするのかとか、どんな瞳の色をしているのか、とか。

 もしかしたら好感は持てなくても、命の恩人になら笑いかけてくれるかもしれないじゃないか。


 部屋で、宿のおかみさんからもらった少し多めのサンドイッチの一つを齧りながら、そんな事を考えていた時の事だった。


「んにゅ……」


 あ……。


 女の子の、白い腕が伸びる。

 モゾモゾと、動き出す。


 あ、起きる。


 そんな風に思った時、女の子がかけていた布団をベッドから落としながら、むくりと起き上がった。

 その身体を露わにしながら、ベッドに座り込んだ。


 ドキリとする空の青をもっと濃くした様な深い青の瞳と目が合った。

 その長い銀髪に似合う、真っ青な瞳。


 柔らかく伸びた腕と、その中心にある弾力のありそうな胸と。

 何も着ていない伸びた脚の付け根では、腰が柔らかな曲線を描く。


「あ〜〜〜っ!」


 ユキナリは手をブンブン振りながら、見ていないアピールをしつつ、慌てて声を上げた。


 あまりそんな格好でいられると、こちらが困ってしまう。


 女の子はこてん、と首を傾げると、

「あなた、誰?」

 と、小さいけれどよく通る可愛らしい声で言った。

やっと起きましたね!次回から活躍してくれると思います!

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― 新着の感想 ―
[一言] 誰呼ばわりしたということは、まだユキナリくんのこと好きとも嫌いとも言えない、中立的な状態ってことですね! ここから、此処からですよ!
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