表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
199/230

199 魔女退治(3)

 ナーナが女王になった。

 衣装はそのまま。ただ、女王の証として、頭に小さな冠をかぶる。


 審査員にしては小さな少年から、ナーナは頭を下げ、冠を被せてもらう。

 それは、土、水、火、風の四属性の装飾が付いた金の冠だった。


 冠を被ったナーナに、

「うおおおおおおおおお!!!!」

 という大歓声が起こる。


 それは、どの属性かなど関係なく、全ての人間が全ての幸せを願う歓声だった。


 輝く月や星は、この祭りを祝福しているように見えた。

 空気は涼しくなっていたとはいえ、暑すぎず寒すぎず、酒を酌み交わす夜としては最適な夜だった。


 夜、日付が変わる頃。

 女王を中心に祭りは始まる。

 朝になれば、精霊達が教会に篭り、壁を補強する。


 そういう祭りに、なるはずだった。




 最初にそれに気付いたのは、土属性の教会だった。

 土の地域が、騒がしくなった。


「大変だ!」

「みんな、話を聞け!」

「逃げろ!」


 それは、祭りの騒ぎとは程遠い、悪い空気を帯びていた。


「…………なんだ?」

「まさか……魔女が……?」


 信じられないけれど、サラが『魔女は祭りを楽しみにしている』という情報を口にした時から、ユキナリ達はみんな、そんな事が起こるのを予感していた。

 そんな事、起こって欲しくない。起こるべきじゃない。起こるわけがない。と、心の中で言い聞かせながら、みんなどこか心の中で、『魔女』という言葉を忘れられずにいたのだ。


 緊急事態を悟ったユキナリ一行は、それぞれ戦闘態勢を取る。


「ナーナ!」

 サラが叫ぶ。


 ナーナは魔女に捕えられていた事がある。

 命を狙われるとしたら、ナーナだろうと予想がついた。


「ナーナを守るわ!」

 叫んだサラを抱き抱え、ルヴァが飛び上がる。

「ナーナ!」


 サラが、ナーナに手を差し伸べ、そばに降り立つ。


 周りは、むやみやたらに大騒ぎだった。

「教会が倒れたらしい」

「橋が落ちたんだ」

「馬車が燃えてる」

 憶測と想像が飛び交い、どれを信じていいのかわからない。


 土の教会に続き、ドッと騒ぎになったのは風の教会だった。


「……大軍が、この街にやってきているらしい」

 風の声を聞いたルヴァが、サラに呟いた。

「魔女……なの……?」

「……だろうな」




 ユキナリ一行は、ルヴァとサラがナーナにたどり着いた事を確認すると、一つに固まった。


 イリスの魔法で、全員分の丸く作られた足場が浮き上がる。


「全てを巻き込む風の精霊ルヴァよ、俺に力を貸してくれ……!」


 ユキナリの風の力を使い、イリスが作った足場はポンと上へ浮き上がる。

「どっちだ……?」


 街は、大混乱を極めていた。

 誰もが異変に気づき、何処かへ逃げようとする者、泣き叫ぶ者、動けなくなった者、様々だった。


 風の教会の次に動いたのは水の教会だ。


 ウンダが運んでいると思しき水の塊が、あちらこちらへ動き回り、皆を誘導しようとしていた。


 最後に、動いたのは火の教会だった。


 敵を探りにいくように、首都から炎の道が走った。


 ユキナリ達一行は、火が走る先を見据えた。


「あの先に……魔女が居るっていうのか……?」

さて、次回は魔女が登場するのでしょうか……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こういう大人数イベントでは将棋倒しになるのが一番怖いんですよ(まがお)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ