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18 はじめてのダンジョン(1)

「いよいよ初めてのダンジョンですね」

 と白い歯を見せたのは、冒険者ギルドのダニエルだ。


 ユキナリは、その正面で膝を揃え、真剣に話を聞いていた。


 ダニエルによれば、まだその初心者ダンジョンは最後まではまだ誰も踏破していないらしい。


 新しいダンジョンといっても、数十年前までは町の人間に使われていた洞窟なのだそうだ。そこに魔物が棲みついたというわけ。

 地図もあり、外からの調査によると、おそらく初心者向けの魔物のみが棲みつく洞窟なのだという。

 子供のお使いくらいなら、もう何度か訪れている子供も居るらしく、ゾンビは確定しているらしい。


 採取として期待できるものは、年代物の石。

 既に持ち主はおらず、中のものは持って帰り放題。

 中でも期待できるのが、壁に透明な石が定期的に嵌められていたという話だ。

 それが、水晶か何かだったんじゃないかと言われている。


 それでも、誰も最後まで踏破していないのは、金銭的な収入が見込めないから。

 安定した中級ダンジョンがあるこの町では、数十年前まで使われていた洞窟など、子供の遊び場程度にしか考えられていないというわけだ。


「子供……って、一人で?」

「ええ。10歳ぐらいの子供達でも一人でわーって行ける感じですね」


 ……子供でも……一人で……。


 心臓が、バクバクする。

 とはいえ。

 子供でも、入れているのだから。


 大丈夫、だよな。


 腰に下げてある、短剣に意識を向けた。




 ダニエルに見送られ、ユキナリはダンジョンの前に立った。

 町にほど近い森の中。

 そこは、洞窟とはいえ、石で出来たしっかりした入口がついている。

 中も、ちゃんと石で舗装されているようで、歩くのに困る事はなさそうだ。


 静か……だな。

 他に誰も居ないような静かな洞窟だった。

 石壁の通路が続いているのが見える。

 どういう仕組みなのか、壁が仄かに発光していて、困らない程度に周りが見渡せる。


 壁を見上げる。

 確かに、石壁の上の方に石が嵌っていたような気配があった。

 ただし、入口に近いからか、実際に嵌ってはいない。もう、取られた後のようだ。


 落ち込むのは、まだ早い。


 少しでも金目のものがあれば、なんて思いながら、奥へ奥へと歩いていく。

 小さな小部屋を覗きながら、廊下を歩く。


 特に何も、無いか……。


 部屋の中は、空になった樽が転がっていたり、壁が崩れていたりと、何かあった痕跡はあるけれど、特別何かあるようには見えない。


 そんな部屋を、6、7個ほどやり過ごした時だった。


 あれ?


 覗いた小部屋の部屋の壁には、まだ石が嵌っていた。


 まだあるじゃん。

 短剣を伸ばすと、ギリギリ届く高さだ。


 小部屋の中に入り、ガッ、と短剣を石の留め具のあたりに向かって突き刺すと、意外とあっけなく石は下へ転がり落ちた。


 おおお。


 そんな石を、10個ほどポケットに入れた時だった。


 ベチャ、と後ろで音がした。

次回、やっとヒロイン登場ですかね!

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