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161 リカの町(4)

 ユキナリの硬くなった表情を見て、魔物達は皿を一皿注文してくれる。

「なんつー顔してんだ。まあ食えや」

 皿に載っているのは、ポテトフライ。それに、デカいハンバーグのようなものだ。

「ここの名物なんだよ」


 言って、また全員でジョッキを掲げる。

「この兄ちゃんに〜〜〜〜、かんぱーい」

 低い声が響く。


 有り難くみんなで一切れずつハンバーグを食べた。

 確かに、美味い。

「美味しい、ね」

 確かに美味い、が、パーティー全員がどことなく、さっきの魔物の言葉を気にして硬くなっていた。


『魔女』


 ユキナリに呪いをかけた魔女。

 この国に自分のお気に入りを放り込み、観察を趣味としている魔女。

 気に入らなければ、人を殺す事も厭わない魔女。

 それがゴーレムに関わっているかもしれない、というのは、あまりいい兆候とは思えなかった。




 酒場を出るなり、イリスの震える声が聞こえた。


「マ、マスターは、……魔女を倒す為にゴーレムを作ったんです。魔女に手を貸すはず、ないです」


 イリスがしゃがみ込む。

「ああ」

 ユキナリは、イリスの背に手を置いた。

 イリスのマスターが、魔女に手を貸すはずがない。

 それには同意してもいい。

 とはいえ、イリスのマスターはもう亡くなっているであろう年齢の人間だ。

 順当に考えて、魔女が死後のマスターの情報を得たか、もしくは……。


 嫌な考えが頭をよぎる。


 もしくは、イリスのマスターが居なくなった時点で、既に魔女の手に落ちたのか、という事だ。


 イリスのマスターは、人から隠れる様にして人里離れた洞窟でゴーレムの研究をしていた。

 もし、それが見つかったのだとしたら……。

 それを見つけたのが魔女ならば、間違いなく悪用するだろう。


 ユキナリは、魔女の姿を思い出す。

 一度会ったきりではあるが、その性質は嫌というほどわかったつもりだ。


 そんな思いつきを口に出せるわけもなく。

 ただ、イリスについてやる事しか出来ない。




 ハニトラは、しゃがみこんでしまったイリスを見る。

 私の場合は母はたまたま元気だったけれど、もし魔女の手に落ちていたらと思うと、気が気ではない。そんな事になっていたらきっと助けに行くと言っていただろう。

 イリスの気持ちがわかる気がした。

 母に会えたばかりだから尚更。

 離れて暮らす事になっても、母は母だ。


 そこでふと気付く。


 イリスに手を貸しているユキナリの向こう側。

 こちらの様子を窺っている男が居る。

 一人じゃない。2人……3人……。

 友好的な雰囲気はない。


 もし、魔女やゴーレムに関係する誰かだったら……?

 ううん、そうでなくても、あの殺気のある目は危険だ。


 もし何かあるなら、イリスが弱っているところを襲撃されてはたまらない。


 ハニトラは、男達に目を離さないよう、一歩、後ろへ下がる。


 今のうちに、なんとかしておいた方がいい。


 ハニトラは、男達に近付く為、一人、裏通りへ入って行った。

女子達、なんだかんだで仲がいいと思います。

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― 新着の感想 ―
魔女が本気だしてきたら、死亡したゴーレム研究者をアンデッドとしてよみがえらせて、 自分のために働かせる。 そのくらいはやりそうですね……
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