159 リカの町(2)
首都へ行けば行くほど、都会になって行く。
もちろん各地に発展した都市はいくつもあるが、やはり精霊四人全てが守っているといわれる首都に敵う都市はない。
そしてその首都周辺も、その恩恵に預かるように、町は裕福になっていった。
ユキナリ達一行は、リカの町を見渡し、呆然と立ち尽くす。
「これが……リカの町……?」
見渡す限り、大きな建物が連なっている。
大きな屋敷やマンションのようなもの、商業ビルのようなものなど種類は豊富にあれど、大きな建築物という点ではどれも同じだ。
大きな道路はきっちりと舗装され、オシャレな馬車が往来している。
道の両側には歩道が整備され、店舗や出店などから人寄せの声がする。
バーの前にはグラスを乾杯する人々。
華やかなドレスで笑い合う人々。
そして何より、多種多様なものが往来していた。人間は元より、馬のようなもの、牛のようなもの、ライオンのようなもの、ハネツキではないトカゲのようなもの。魔物なのか、ツノが生えているもの、フードを被っているもの、顔が緑色のもの、妙に大きなもの。
「す、ごいな……」
その町は、でかさも、賑やかさも、何もかもが今まで見てきた町とは違うものだった。
すごいとしか言いようがない。
祭の前だからか、きっと普段より人も多いんだろう。
「ここで……情報が得られればいいよな」
「これだけ大きな町ならば、図書館もありますかしら」
マルが、まるで街中を歩くマルチーズのように、高く鼻を上げた。
町中でも馬車で堂々と歩けそうなので、堂々と入って行く。
ハネツキオオトカゲも心なしかちょっとドヤ顔。さすがにまあ、ハネツキオオトカゲを馬がわりにしている馬車はいなさそうだが。
大通りを歩いて行く。
「脇道がたくさんあるんだな」
ちょっと覗けば、小道が見える場所が、たくさんあるようだ。
こんもりとした住宅街にはどうやって行くのかと思えば、きっとこういうところから入って行くんだな。
明るい小道もあれば、陽の差さない小道もあるようだ。
明るい小道は、壁に囲まれてはいるものの、所々住宅と思われる扉があり、花が飾られている。
薄暗い小道には、何人も地面に座っていたり寝ていたりするものがいる。
……こういう町には、やはり付きものなのか……。
「この雰囲気……、情報屋なんかも居たりするのか?」
「情報屋?」
「魔女の情報やら個人情報やら、情報を売ってくれるような」
「居ますわよ」
マルが、鼻をツンとしたまま答える。
まあ、賢者マルチネスさんなら、情報屋と繋がっててもおかしくはなさそうだ。
「居るんだな……。じゃあ、そこから情報も?」
「ですわね。覗いてみてもいいかもしれませんわ」
「じゃあ、まずは」
「まあ、定番の酒場だろうな。腹ごしらえも兼ねて」
そういうと、ハニトラとトカゲが、
「おー!」
と張り切った声を上げた。
新しい町に到着です。いつになく都会。