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15 武器がないと始まらない(3)

 草原の草を刈る、白樺の枝を落とす、豚肉を切る、鶏の羽根を切る、白樺の木に突き刺す、豚の皮を切る、サソリに突き刺す、レンガを切る……。


「それにしても、すごい量だな」

 表を見ながらため息を落とす。

 一つ一つの評価欄もデカくて、数字で評価する欄、詳しく状況を説明する欄に、俺の感想欄まである。

 これ、埋めないといけないよな……。


 けれども、それから他の店を何度か覗いたけれど、これは格安で譲ってもらったもののようだった。


 草原に座り込む。

 短剣を握る。

 ……こう……、フィット感はいいんだよな。


 草を一つ握り、刃を当てると、力を込めなくてもスッと草が切れた。


 ………………は?


 おいおいおいおいちょっと待て。


 今度は手を添えずに刃を当てると、草はハラリと真っ二つになった。


「!?!?!?」


 ……切れ味良すぎないか。


 それからも、木に突き立ててみたり、木を削いでみたり。

 問題なく出来てしまう事に驚愕した。


 これ……怖……。

 けど、魔物と戦うのに、この程度の切れ味は必要なのだろう。

 これを使いこなして魔物と戦うと思うとゾッとするけれど、包丁よりも長く剣よりも短いそれは、採取などで扱うのなら丁度よく思えた。




 ええと、次は、『豚肉を切る』……。

 肉屋には話を通してあるらしかった。豚を捕まえろなんて項目だったらどうしようかと思ったけれど、そうでもないらしい。


 それからも、段々とコツは掴めてきて、50項目のうち夜までに20項目をこなす事が出来た。

 まあ、鍛冶屋へ戻った時には、すっかり真っ暗な夜だったけれど。


「おお!こ〜んなに!」

 と、細工でもしていたのかなんだか大仰な望遠鏡を逆さにしたような眼鏡を外し、鍛冶屋は嬉しそうに笑った。

「これなら明後日……、いや、明日にはどうにか埋まりそうですね!」


「はい。出来れば明日中には何とかしたいですね」


 俺はというと、すっかりその短剣の切れ味に魅了されていた。




 とはいえ。

 翌日の朝、試験項目を見ながらため息を吐いた。


『ゾンビソーダに浸す』

 ……ゾンビソーダとかいう不穏な名前のものは何だよ。

『スケルトンの骨を叩く』

 ……スケルトン、って魔物か?

『マンドラゴラの足を切り落とす』

 ……こえーよ!!!!


 幸いな事に、どれも行き先は決まっている。


 まだ、朝靄がかかる早朝。

 やる気は十分だ。……まあ、宿泊代がピンチだって事が何よりの理由だが。


 気合を入れて、俺は試験項目をこなす為に部屋を出た。




「ここ……か?」


 ユキナリが見上げた場所には、大きな門が聳え立っていた。

 中からガン!ゴン!と硬い音がするところを見ると、剣を扱う場所なんだろうか。


 こんな早朝から、一体何が行われているんだか……。


 でかい木の門は、手で押すと、ギギギ、という音を立てて簡単に開いた。


 おいおい、鍵かかってなくていいのか?


「こんにちは〜」

 声をかけながら歩くと、すぐそばに、何人もの人間が武器を振るっている修練場が見えた。

翌日分また宿屋に払ったので、短剣代を引いて、現在銀貨1枚銅貨1枚の所持金です。

ピンチ!

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