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145 つまりそれが触手回ってやつ(5)

 こ、これは……!


 目の前にヌメヌメとした枝が迫る。


 ユキナリは一瞬にして想像した。


 あの枝に触れられれば、誰もがドロドロになってしまう事だろう。

 マルやイリスであっても。マルなどは毛がすっかり濡れてしまいそうだ。風呂上がりのマルチーズみたいに。イリスだって、ツルツルの石部分がテカテカになってしまうはず。


 それに……、ハニトラも。


 濡れた幾つもの枝が、ハニトラに迫る。

 両腕を取られ、動けなくなったところで、一際太い枝がハニトラに向かうのだ。


 太く長い枝が、ハニトラの裸足の足先から舐め回すようにのぼっていく。

 枝がその足に触れ、足首を回り、膝裏を舐め、スカートの中へ。


『いやぁっ……!』


 ……なんて、ハニトラが言う事があるかはわからないが、ここでは言ったことにしよう。


 服の中を枝が這い回る。

 柔らかな腰を回り、胸の谷間を……。

 服は破け、胸が露わになり……。


 普段から素っ裸やってる奴の肌が見えたからなんだって話もあるが、そういうことじゃない。

 服を着ているからいい事もある。

 それは、着ている服がどうにかなるからこそのロマンなのだ。

 なんだってチラリと見えたほうがそそるものだろ。


 赤く火照るハニトラの頬。潤んだ目。


 腕を取る枝も腕を這い上がる。


『ああ……っ……』


 なんて声をハニトラが出すとは考えにくいが、そこはそれ。


 首元を這い上がる枝は、唇まで辿り着き……。




 いやいやいや!

 ユキナリは妄想を追い払おうと頭を振る。

 実際にそんなことになっては大変だ。

 流石にそれは阻止しないといけない事だった。

 妄想に取り憑かれている場合ではない。


「全てを守る精霊モスよ……!俺の心とあいつらを守ってくれ……!」


 手に持った短剣が青く光る。


「俺から行くぞ……!」


 しゃがむ様に走り、トレントの枝を掻い潜ると、太い幹へと辿り着く。

 そのまま、木の幹を切りつけた。


 ザシュ……!


 その瞬間、ブュッシャア……!と、樹液がユキナリにかかる。

「うっわ」

 慌てて後ろへと引いた。


 樹液がかかっただけだ。

 樹液がかかっただけだが……、ユキナリは一瞬にして左半身をびしょびしょにされてしまった。


 いやいやいやいや、流石にこれをあいつらにされるわけにいかないだろ。


 とはいえ、さっきは不意をつけたが、二度目は無理そうだった。

 近付こうとすればするほど、沢山の枝に阻まれる。


 枝は、短剣では簡単に切れるものの、思ったよりも硬い。

 トレントは、枝を切られてもそれほど気にはしていないようだった。


 周りを見れば、あとの4人も少しずつ疲弊しているようだ。

 それぞれが、目の前に迫る枝を振り払うので精一杯。


「うりゃあ!」


 剣先が次第にブレる。


 トレントの目がきらめき、いよいよ抵抗しきれなくなった5人に、ぬめった枝が迫ってきた。

さて、対触手の結果は……!?

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