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131 5人パーティー(5)

「左!」


 叫びながら、すかさず短剣を構え、そちらを向く。

 とはいえ、せいぜいそちらを向くだけで精一杯だった。

 目の前で最初の個体よりは一回り小さいモグラが飛び出してくる。


 ヤバい……!


 盾で爪をなんとか弾く。

 次の攻撃がどうにもならなくなった時、ガツン!とモグラが弾き返される。

「!?」

 他のグループの冒険者の剣だった。

「俺達も、足手まといでいるわけにいかないからな!」


 冒険者達がモグラに対峙する。


 ユキナリはなんとか体勢を整え、短剣を構える。

 一つ深く息をすると、モグラを見据えた。


 剣士がモグラを斬りつける。

 驚いて飛び上がったモグラの腹目掛け、ユキナリが短剣で飛び込んで行く。

 短剣は、見事にモグラの腹を貫いた。


「…………!」


 思えば、まともに攻撃が入ったの、これが初めてなんじゃないか?

 こんな風に物理的に何かを攻撃しなくてはならない生活への恐怖や、手応えのある攻撃が出来たことへの高揚感がないまぜになる。


 いける……!


 グワッと口を開けて攻撃してきたモグラを、叩きつける様に盾で抑える。


 力を込める。

 足元には土。

 力を貸してくれ、モス……!


 押し返されるモグラに、さらに力を入れようとした、その時だった。


「ユキナリ!しゃがんで!」


 ハニトラの声に、尻餅をつく様にガバッとしゃがむ。

 モグラが、無防備な姿でバランスを崩す。

 そこへ来るのは、当然ハニトラなのだと、そう思った。

 けれど。


 グワオ……ッ!!!!


 ユキナリの頭の上を通り抜けたのは、熱い熱風を帯びた炎だった。


「うおっ!」


 ハネツキオオトカゲの炎だ。

 モグラが怯み、後ろへ下がるのがわかった。


 それに追い打ちをかける様に、ハニトラが後ろから飛び出す。

 怯んだモグラには、もう勝ち目はなかった。

 ハニトラの腕の刃がモグラを斬りつけると、それはかなりのダメージになる。

 ハニトラが飛び退ったのを確認すると、マルが叫ぶ。

「弓隊、今ですわ!」


 その声に合わせ、後ろにいた弓使い達がモグラに矢を浴びせた。


 モグラが、とうとう地面に突っ伏す。

 剣を持った男が、様子を見にモグラのそばへ寄って行く。


 同じ頃、隣のモグラもズズン……と、地面に倒れたところだった。


 剣士が、こちらのモグラがしっかりと倒されているのを確認すると、向こうのモグラを倒した斧の男と武器を振り、合図を送った。

 もう戦いは終わったという合図だ。


「みんな、大丈夫か」

 振り返ると、みんなの笑顔が見えた。

「キューイ!」

 と、トカゲが嬉しそうに鳴く。


「イリスと、あの人は?」

 探しに行くと、イリスが足を食われた女性の出血を、魔法で止めたところだった。

「大丈夫か?」

「はい。けれど、回復は出来ますが、欠損までは治せなくて」


 下を向くイリスに声をかける。

「よくやったよ、イリスは」


「…………はい」


 現実を受け止める、強い声だった。

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― 新着の感想 ―
モグラがここまで大きくなるなんて…… もしかして:採掘者を喰っておっきくなった?
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