130 5人パーティー(4)
悲鳴……!?
同じ空間に居る他のグループのメンバー達と、顔を見合わせる。
答えは一つしかなかった。
これだけの冒険者がいて、助けに行かないってのはないだろ。
全員で洞窟の奥を見据える。
「全ての守り、精霊モスよ。俺達の盾になってくれ」
全員で視線を交わし、準備ができた事を悟ると、静かに、しかし出来るだけ早く洞窟の奥へと進む。
「う…………、うぅ……」
うめき声……?
盾を構え、次の広い空間に辿り着く頃、その光景は現れた。
地を這う女性の姿。
こちらに向かう女性の後ろには、そちらから来たことがわかる赤い道が出来ている。
あれは……血…………?
ゾッとする。
けれど、そんな事に怯んでいる場合ではない。
慌てて駆け寄る。
「どうしたんです!?」
駆け寄り、よく見ると……その女性には足が、なかった。
血の道は、その千切れた足先から続いているようだ。
目眩にクラクラしながらも、助け起こす。
「大丈夫ですか?」
「かく……、」
俺の顔を見た女性が、一瞬躊躇する。
「隠れてるの!地面の中に……!」
「モグラですわ!」
マルが叫ぶ。
女性をイリスに任せる為に後ろへ下がる。
戦闘態勢で前へ出たのはハニトラとマルだった。その後に、他のパーティーの戦士らしきメンバーが数人構える。
「異常に成長したモグラか……!」
30代程度の斧を持った男が、飛び出した。
一番前で斧を構える。
「出て来い!」
大きな斧で、地面を叩く。
緊張の空気の中、微かな地響きに気付く。
まさか…………。
その地響きが収まった瞬間、マルが叫ぶ。
「足元にお気をつけあそばせ!」
それぞれがジャンプ、もしくは岩に張り付くなどの対策をする。
ユキナリは、盾を下へ向け、盾の上へ乗った。
ゴ……ッ!
という大きな響きの中、硬そうな地面が盛り上がる。
斧を持った男の下へ飛び出てきたのは、小柄な人間なら半分くらい口に入りそうなモグラだった。
これが……モグラ……!?
「普通はこんなにならないんだがなぁ」
と、そばにいた冒険者の男が呟く。
武器を持った戦士達が、思い思いに飛び掛かっていく。
ハニトラも、飛び上がると、モグラに刃の脚を向けた。
モグラも、取り囲まれたからといって、ただやられるだけではない。
口をあんぐりあけると、怯む冒険者も数名。
ハニトラが、モグラの鋭い大きな爪で、弾かれ帰ってきたところで、斧の男がそのモグラの前足に飛び掛かる。
「ブモモモモモ!」
モグラが大声を上げた。
弓使いの矢がモグラに襲い掛かり、精霊の力を使うもの達が杖を構える。
ユキナリが短剣を構え、飛び出そうとしたところで、視界にもう一つ、砂煙が見えた。
「!?」
ま、さか……、もう一匹居るのか……!?
そんなわけで戦闘です!