表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/230

129 5人パーティー(3)

「よし、スタート!」

 5人が飛び出す。


 まず岩に最初にアタックをかけたのはハネツキオオトカゲだった。

 トカゲはブン、とターンすると、尻尾を岩に打ち付ける。

 その尻尾は硬く、岩はドガシャーン!と大きな音を立てて崩れた。


 周りから驚きの視線が向けられる感覚がする。

 視線にチクチクと刺されながら、ユキナリも短剣を持って飛び出した。


 ガツン!


 それは悪くない当たりだった。

 土の力が働いているのか、思ったよりもガッツリと取れる。

 とはいえ、ハニトラやトカゲのように高くジャンプする事は出来ない。

 だから、どうしても届く範囲でどうにかするしかなかったが。


 次に飛び上がったのはハニトラだった。

 脚力もないのにどうやっているのか、天井まで飛び上がる。

 クルクルと回転すると、その足で天井を蹴り上げた。

 ガラガラガラ……、と岩が落ちてくる。

 最後にはにとらは、シャキン、と綺麗に着地した。


 派手すぎるだろ……。


 負けじと前に出たのはマルだ。

 首にぶら下げている刃を咥え、壁に走っていく。

 かなりのスピードになったところで、マルは壁を蹴り、上へ登って行く。

「すげぇ……」

 思わず声が出た。

 マルもなかなかに身体が軽いみたいだ。

 5メートルは上の岩に辿り着くと、刃を叩きつけ、壁から岩を掘って来る。


 最後に登場するのは、イリスだった。

 杖を構え、岩と対峙する。

「風」

 とイリスが唱えると、イリスの杖を中心に突風が巻き起こる。

 尖った岩の先端にドン!と大きく当たったかと思うと、ユキナリの身長の3倍はある縦長の尖った岩が、3分の1ほど音を立てて崩れる。


 この洞窟ごとどうにかなってしまうんじゃないかと思う様な地響きを繰り返し、最終的に自分が確保した岩を手に入れると、そこからは地味なものだった。

 その岩の中に、原石があるか探す為、かつかつとその岩を叩き壊していく。


「う〜ん、これ、光ってないか?」

「何をおっしゃいますの。ガラスじゃありませんこと?」

「キューイィ……」

「ないなぁ」

「こちらもありませんね」


 そんな作業をそれぞれが何度かずつこなした後、最初に声を上げたのは、


「はあぁぁぁぁ!」


 マルだった。


「おおぅ!すごい声だな」


「で、でででででで出ましたわ……!」


「えっ!?」

 どちらかというとワクワクした調子で寄って行ったのはハニトラとイリスだった。

 その後に、ちょっと疑いながらも覗き込んだユキナリと、出遅れたトカゲが続いた。


「おお〜」

 ハニトラの声に押されて、覗き込んだ先。

 マルの目の前にあったのは、確かにキラキラと輝く青い石が所々にある原石だったのだ。

「やりましたわやりましたわ……!」

 肉球をてしてしと原石に叩きつけながら、マルがドヤ顔を作る。


「知恵の勝利ですわ〜〜〜〜!」


 “知恵の勝利”?

 どのあたりが知恵なのかと、ユキナリはふと見上げた。

 マルだけは確かにあっちこっちと掘らず、一部の同じところを掘っていた様だ。

 なんだか、なるほどなぁなんて思いながら、原石をしまってやった。

 その時だった。


「きゃああああああああああ!!」


「!?」

 奥の洞窟の向こうから、悲鳴が聞こえたのだった。

まあ、みんな仲はいい方だと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
周囲のみんなの心はひとつ 「落盤しなくて良かった……!」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ