128 5人パーティー(2)
空間へ入っていくと、すべての冒険者がこちらを見た。
やはり、同じダンジョンに居る者がどんなものか知る必要があるのだろう。
老若男女いろいろな人が居るとはいえ、そこに居るのは全てが人間だった。
そして予想通りであるのは悲しい事だが、予想通り、女性はこちらを見て嫌な顔を作り、男性はマルを見て攻撃的な顔を作った。
人間ばかりの中で、ハニトラはともかく、確かにどう見ても魔物であるマルと、マント姿のこの世界で唯一の魔法使い、そしてハネツキオオトカゲを連れたパーティーというのはどうしても目立ってしまう。
それに何よりも、“異性から無条件に嫌われる”、この強固な呪いは、俺から薄まる事はなかった。
けれど、気弱な顔を見せるわけにもいかず、堂々と入っていく。
……短剣もあるし、メインはトカゲと遊ぶ事だったから、ツルハシなんて持ってきてないぞ?
流石にちょっと気まずくなりつつ、誰も確保していない岩の前へ。
視線はこちらへ向いておらず、それでも様子を探られている気配をピリピリと感じる。
「え〜っと」
岩を見上げたところで、
「下の方はあまりないと思うぞ」
と声がかかった。
くるりと振り向くと、近くでツルハシを振るっていたグループの仲間の一人が、こちらを見ていた。
「そうなのか」
「ああ。この間、そこを掘っていた10人ぐらいのグループの中に、土の力に強い奴が何人か居たみたいだったからなぁ」
「土の力で、石がどこにあるかわかるのか?」
「どうだかな。俺は土の力は持ってないからわかんねぇけど」
と、男は袖で汗を拭く。
これは……もしかして、俺も出来るんじゃないか?
手を岩に乗せ、目を閉じる。心を鎮める。
そしてその声を聞くように耳を澄ませた。
「…………」
静まり返った時間が過ぎていく。
「…………聞こえない」
「まだそこまでいってませんもの」
マルの呆れた声が、後ろで聞こえた。
ため息を吐きながら、周りを見渡す。
「奥の通路もあるんだな」
奥の方に、まだ通路が続くのを見る。
この空間と同じ、高い天井のまま続く。
「ああ。けど、中級といえど魔物が出る奥の通路なんて、掘りながら魔物対処できる強い奴か、人数多いかでもないと行かないがな」
「なるほどな」
「今日は、1組だけ行ってるはずだ」
今日の目的はトカゲと遊ぶ事だ。
「じゃ、俺達はこの辺で、誰が早く原石を見つけるか競走でもするか」
そんな事を言えば、4人は気合いの入った顔を見せる。イリスの表情はわからないが、杖をぐっと掴む仕草は、……まあ、気合いが入ったんじゃないかと思う。
俺は、手に短剣を構えた。
5人でお遊び!