127 5人パーティー(1)
馬車の近くへ寄っていくと、そばで遊んでいたハネツキオオトカゲが、ゴロンゴロンとすごい勢いで転がってきた。
は?
面食らいつつも、なんとか避ける。
「どしたどした?」
「キュ〜ゥ!」
不満そうにジタバタしているところを見ると、まあ、一人で遊ぶのが飽きたというところだろう。
「たまには一緒に遊ぶか?」
と、声をかけると、
「キューイ!」
と嬉しそうな声を出しながら、
ボウ……!
と口から小さな炎を吐く。
は?
「あ〜〜……、こいつ、火なんて吐けたのか」
そこでマルが当たり前のように、
「それはハネツキオオトカゲですもの。成長した証ですわね」
と言い放つ。
炎吐くって……やっぱりドラゴンじみてるんだよなぁ。
頭を抱えため息を吐く。
それはともかく、流石にこれほど簡単に炎が吐けるやつと気軽な遊びなんて危なすぎるだろ……。
町の近くだと危ないし、この場所から離れれば岩山自体は沢山あるわけで、それで……。
と、悩んだ末に結局、俺達は近くのダンジョンに向かった。
中級ダンジョンだ。
久々のダンジョンにハニトラはワクワクと先頭を歩き、マルは騒がしいのは苦手なようで、あまり乗り気ではない顔をしている。ちなみに、イリスの表情は相変わらずわからない。
5人で、ダンジョン登録してある洞窟を覗いてみる。
もともと鉱山だったところなのだが、魔物が住み着いてしまって一般人が入る事は難しくなってしまった洞窟だ。宝石になる石の採取が依頼内容。
入口はそれほど広くはないが、2、3人横並びで歩ける程度には広い。
壁はやはり、ぼんやりと光っており、明かりは必要としないようだ。
「……この明かりって、一体なんなんだ?」
疑問を口にすると、マルがツンと鼻を上に向けた。
「土の力で光苔を壁に貼り付けているのですわ」
「土の力、か。それはすごいな」
感心しながら洞窟の中に入っていく。
ただの洞窟。地面も剥き出しの土なので、足音などはしない。
これは、つまり逆もあり得るという事だ。そんな魔物が来ても、足音は期待できない。
出来るだけ静かに、5人で進んでいく。
そんな中、遠くで人の声がした。
カーン、カーンという音が響く。
「……先が騒がしいな」
進んで行った先で、広い空間に出る。
天井は高く、所々に岩は突き出ているものの、広々とした空間だ。
そしてそこでは、先客が石を掘っていた。
そういえば、今までは初心者向けのダンジョンだの、新しく出来たダンジョンだのが多く、人が入ってくる様なダンジョンに入る機会自体があまりなかった。
カウサギの畑もカバの川も外だったから、他の冒険者と会いづらかったしな。
そこに居たのは他に3組の冒険者パーティーだ。
魔物は居らず、3組ともが岩を掘っている。
珍しい光景に気圧されながら、5人はその空間へ足を踏み入れた。
さて、新エピソードです。たまには戦闘もしようね〜。