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102/230

102 魔法というもの(2)

 力のほどはわかったので、一度ダンジョンに行ってみる事にする。


 イリスとトカゲが冒険者になるのは、それほど難しい話ではなかった。

 顔を見せろだとかなんだとか言われるんじゃないかと思い、イリスがガチガチでギルドに挑んだが、特にそんなこともなく。

 名前が必要なんじゃないかと思いながらハネツキオオトカゲを連れて行ったが、特に必要もないまま、冒険者登録は済んでしまった。


 場所は中級ダンジョン。

 近くの川に巣食っているカバ退治だ。

 目的は魔物退治なので、なんでも、カバの牙を持って帰れば、1本銀貨1枚で交換してくれるということだ。


 5人で、その川まで向かう。

「川って、あそこか」

 サラサラと音がする。

 ところどころ生えている木の隙間から、広い川が見えた。

 だだっ広い川の中に、カバの群れが見える。


 わざわざ魔物退治の依頼があるなんてな。

 今まで、魔物を退治する事が目的の依頼は受けたことがなかった。

 水を浴びるだけのただのカバの群れだ。

 こんな長閑な光景にわざわざ攻撃を仕掛ける理由はなんだろう。


 なんて思ったのも束の間。


 一行は見てしまう。

 遠くにかかる幅広い平らな橋の上を走る大きな馬車が、カバによって川へ突き落とされるところを。


 うわ……。


「そういうことかよ……!みんな、まず馬車の救出からだ!」

「おー!」

「キューイ」

「仕方ありませんわね」

「はい」


 遠回りをして橋へ。

「大丈夫ですか!?」


「あ、ああ……」

 どうやら商人の一行だったらしく、大人から子供まで6人の人間が川の中でずぶ濡れになっている。

 そのうち何人かは、川へ沈んでいく商品の木箱を名残惜しそうに見送った。


 ユキナリ、ハニトラ、マルで人間達を引き上げ、イリスが魔法の炎で皆に暖を与える。


 あれ?トカゲは……。


 と周りを見渡すと、川へ入っていたトカゲが商品の木箱を数個、川岸へ転がすところだった。

 ゴロンゴロンと転がる木箱に、少しヒヤヒヤしたけれど、商人達は嬉しそうだ。

 10はあった木箱のうち、5つほどを救い出し、中身を検めた商人は深々とお辞儀をした。


「本当に、どうもありがとう。命まで危なかったところを、かなりの商品が救い出された」


「いえいえ、当然の事をしたまでで……!」

 なんて、ものすごく正義っぽいセリフを吐いてみる。

 まあ、あんな場面に出くわしてしまったら、助けないわけにはいかないだろ。


「この礼は必ず。このサーマルがいたしますので」

 と、ミスターサーマルがニッコリと笑うと、口髭が上を向いた。




「さて」


 商人達を背中に、5人はカバ達に向き直る。


 知っているカバよりも、三倍はでかい。

 でかい口。

 小さな耳。

 口に生えた牙。


 ……俺よりもずっとでかいな……。


 しかし、ここで引くわけにはいかない。


「守りの精霊モスよ。俺に力を貸してくれ……!」

さて、突然のカバ戦です!

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