表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/230

10 冒険者ギルド(1)

「はい。あの、ここで、冒険者になれるって聞いたんですけど」


 おずおずというと、案内係の女性はにっこりと笑顔になった。

「冒険者登録でしたら、カウンターでお受け致しております」


 お?

 可愛い笑顔だった。

 もしかして、異性に好かれなくなる呪いなんて、幻想だった可能性ある?


「あの……。戦う能力を上げる事って、出来ますか?」


「戦う能力、そうですね」

 女性は、思案する顔なのだろう、目をキョトキョトと動かした。

「もちろん、どこかの先生に付いているのが一番なんですけども、実戦を経て強くなっていく方も沢山居ますよ。丁度、この間発見された低ランクダンジョンが解放されたばかりですし。判定では、初心者向け。子供のお使いでも使われるレベルです」


 子供のお使い……。


 いくら習い事をしていたとしても、流石に子供には勝てそうな気がする。


「武器とかってどこかで買えますか?」


 周りの冒険者達を見れば、みんな剣や弓を携えている。

 それにあれは………………、杖?


 待て待て待て。

 やっぱり魔法があるのか?


 思い浮かべる。

 俺が、何やら呪文を叫びながら大きな火球を魔物にぶっ放す。

 そうだ。

 今出来なくても、チートスキル的なもので魔法が使えるとか、魔法の才能はあるとかあるかもしれないじゃないか。


 これは、ちょっと期待できるな。


「武器は、この建物を出て、建物の左の通りを曲がって行くのが近いですね。武器屋街がありますよ」

「あ、ありがとうございます」


「冒険者登録にはお金が掛かりますが、今登録していきますか?」


 なるほど?

 まあ、武器を買って冒険者登録する金が無くなってしまえば、ダンジョンに潜る事は出来なくなる。

 ここは、登録が先の方がいいか。

「そうですね。お願いします」


「わかりました。ダニエルー!」

 そこで、お姉さんは大きな声で別の案内係を呼んだ。


「え、お姉さんがやってくれるんじゃないんですか?」

 そう言うと、案内係のお姉さんは、

「私は、ここの担当でして」

 とニッコリとした。


 そうかそうか。担当なら仕方がない。担当ならな。


 しかし、その仮面の様な笑顔に気付いてしまう。

 これは……営業スマイルってやつだよ。


「ありがとうございます、お姉さん」

 こちらも負けずにニッコリと笑いながら、握手の為の手を出すと、お姉さんは口の端をヒクヒクさせた笑顔を作りながら、握手してくれた。


 呪いは、どうやら、確かに存在するみたいだ。




 それから、登録をする為にカウンターへ行く。


「ここに、記入をお願いします」

 と渡された紙には、自分のプロフィールが書ける様になっていた。

 名前、住所、それに使える技能、師匠の名前など。


 傍に置いてある、万年筆を手に取る。


 名前は、えっと、“イトウ ユキナリ”と。

 手が、この人生で書いた事のないクリクリとした文字を生成していく。

 得意な技能、か。


「もしかして、職業とかってあるんですか?」


「職業?」

 目の前の、背が高く鼻も高いお兄さんが明るい声を出す。

「ああ、いえ、前衛と後衛でどちらが得意かや、どんな技、どんな武器が得意かなどはありますが、肉屋や魚屋のような職業はありませんよ」


 なるほど。

 得意なスキルを上げていくタイプで、職業に就くタイプではないみたいだな。

 まだ何も出来ないから空欄だ。


 住所、は。


 ふと、お世話になった教会の事を思い出す。


 俺は迷いなく、住所の欄に“ペケニョの村”と書き込んだ。

冒険者っぽくなってきましたね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ