エルフの花嫁
解除──
「んっ……わたし……今……!? えっ……!? これは──!?」
少女の腕と両足の怪我はぼくの第二ボタンの能力で再生した、この力のお陰で彼女の体力も完全回復した──
「あ……あなたが……治してくれたの……? ありがとう! それに助けてくれて……えっと……あなたは……誰──?」
いや……途中から気付いてたんだけど……この子……エルフだよね……耳ツンツンしてるもん……ピーンって!
「ぼくの名前はコウジ・イバナ! 君が襲われている所、たまたま通りかかっただけですよ……」
やっば……なにあれ……パイがデケェー……スイカップだよ──!
「コウジ・イバナ……ありがとうございます……コウジ殿──! その……できれば何か……まずお礼を!」
えっ? お礼? ん〜……ではまず……ぱふぱふ……いやっ……流石にそれはまずいな……そうだ……!
「では……その……少し……ほ〜んのちょっとだけ……。君の耳を触ってみてもいいかな……?」
エルフの少女は一瞬──驚いた表情をした後、胸に手を当てて俯き、目を閉じる──そして何か悩ましい表情をして顔を上げ、ぼくの顔をまじまじ見つめる──
えっ……なに!? なにその反応……!? な……なんで? なんでそんなに目が潤んでんの……? えっと……ぼくそんな酷いお願いした……? 泣くほど……!? 顔は赤くなるよねっ……! そりゃ……でも引かれるでもなく……なんでそんな……
「わかりました! 命を救って頂いた身です……! わたしも──覚悟を決めました!!」
えっ……覚悟──!? えっ……そんなにいやだったの……?
「コウジ殿……お願いします……」
……いや〜あんな顔をされた後だと……ねぇ……めっちゃ興奮するやんけっ!!
「じゃあ……お言葉に甘えて……」
エルフの少女は耳を差し出してきた!
白髪のロングはシルクみたいにスベスベだ……。
「つん……つん……つんつくつ……お耳……つーん……つーん……つんつくつ……つっ……!」
「あっ……ンッ……ふぁっ……ダメ……もう……イッ! クゥふぁっ……」
その瞬間、僕の身体は宙を舞った──
鼻血ブーでふっ飛んだ──
下手したら僕も頭領の男みたいになってたかもしれない──
ぱふぱふ……されたら……死んでたな……。
童○ソー・ヤング──
凄惨な血の雨が降った──
「大丈夫──!? コウジ──!」
うしろ向きに倒れた僕のもとへ駆けつけ、少女は僕の頭を抱きしめる。
「い○ぱいおっぱい☆チェリーパイ! いっぱいお○ぱい☆チェリーパイ!」
「君の美しい顔が……見えない……」
「ねぇ……コウジ……。不束者ではありますが、これからよろしくお願いします……。ねっ……! コージィ……ちゅっ──!」
んっ!? ん? うん? う〜ん? んっ!?
「トキワの森のエルフ王サーカ・キリーダ。その娘であるエルフの国、第二皇女エルダ・キリーダ……。コウジ・イバナ……私は今より、貴方にこの身も心も全て捧げることを誓います!」
だーいぶ後になって知る話なんだけどね……。この世界のエルフの間では男性が女性に耳を触らせておくれ〜とお願いするのは求婚をすることと同意なんだってさ……。
「えーっと……? つまり、どういうこと……?」
僕はエルダの膝枕から……顔に胸が当たらないように避けながら起き上がり、質問した……。
「だーかーらー! 良いわよ──! お嫁さんになってあげる──!」
僕はまったく意味がわからなかった。
しかし……据え膳食わぬは男の恥っ──!
おとーさーん!
「うん──! いいね──! お婿さんになってあげる──!」
異世界に来ていきなり、僕はエルフの王女様と結婚した──
「ってゆーかー! コージィー、ワタシ怖かったよー、死んじゃうと思ったー、もう駄目だーって……。そしたらーコージが現れてぇ、一瞬でみーんな、バカーん! ボカーん! って、やっつけちゃうんだもん!」
元気になった彼女は思ったよりギャルでした……。
死にかけの時はあんなに大人しかったのに……。
「本当! 最初コージが現れた時は、あ〜遂に死神が現れたか〜私も終わりか〜って、でもコージのおかげで手も元に戻って、足もこんなに歩けるようになった! コージは私の白馬の王子様だったのね!」
それにしても……。
この状況は一体どういうことなんだ……?
「エルダ、僕は遠くから来たばかりで、この辺の事情が何も分からないんだけど、この状況は一体……? これは何が起こったんだ?」
それに、いつまでもこんな場所にいるのもまずい気がする……。
「コージ、ずっとここにいるのも危ないし、私の国に来て! お父さんに貴方の事を紹介しなきゃ! 今、あったことも早く伝えなきゃいけないの……。詳しい事は道すがら説明するわ! このまま道なりに少し行った所に街があるわ! そこで馬車を用意しましょう!」
あれっ!? そういえば僕──この世界の人と普通に喋れてるぞ──? ムムムムムムッ……。おっ──!? 念じたら頭の中にこの世界の文字が浮かんできた──! そうか……! 新しい身体はこの世界の人間の身体だから……。
『ねぇねぇ駄女神様〜。もしかして僕〜言葉とか〜』
──って! そういえば、こちらからの問いかけには答えないんだっけ……。
『結婚おめでとう! コウジ! そんな事はどうでも良いから! コウジ! その少女に付いていくのは危険です! やめておきなさい! 少女とはここで別れて、今すぐここから左に曲がって、ひたすらにまっすぐ進みなさい……。それから街が見えてきたら、宿屋に泊まって、次の日に其処を出て、左に曲がって三軒目のギルドでまず冒険者登録をして、まずは薬草採集のクエストから始めて、それに徐々に慣れてきたら、モンスター退治のクエスト、神具の力も使えば数年も頑張れば、街の外れにそれなりの家が建つでしょう! その町には若い女性も多く、エッチなお店もありますよ! むふふふっ……! うへっ……! そこで死ぬまで幸せに生きるのでーす!』