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モンスターハウスの掃討戦5

 オーレンがレリラへ声をかける。


 「レリラ、あれ、使ってくれ。」


 「っ!どうしたの、あんたから頼まれるとは思わなかったけど。」


 「仕方ないだろ、ただ、加減はしろよ、絶対だからな。」


 「加減ねぇ…努力はするわ。」


 気が気ではない言い方をする彼女に一抹の不安を拭い切れないオーレンだが、そんな事を言っている場合では無いのでここは黙って他へと指示を出す。


 「今からあれを討伐する。タンクは全然で食い止めを、支援と回復は全てタンクに集中してくれ、他の者はもう少しだけ根性を見せてくれ。」


 オーレンの言葉に辺りのものが奮起する、主に冒走族のメンバーがだが、それにつられて他の冒険者達も振り絞る声で答える。


 場の雰囲気が一変、冒険者達の目の色が変わり活気立つ。


 「溢れんばかりの大海よ、我の呼び声に応え水の恩恵を与えよ。」


 レリラの詠唱が始まる、彼女が淡い光を杖に宿し、大量の水を生み出す魔法の一節が紡がれる。


 「10分だ、10分だけ耐えれば俺達が勝てる、頼むぞ。」


 オーレンの叫びだが、気合いの入った冒険者達だが、疲弊した状態の彼らではその10分は途方もなく長い。


 B級クラスのビッグスライム等を相手にする最前線は集中力も切れ、移動する核を捉えられずに倒す事もままならない状況である。


 「そぉろそろ、休憩も終わらなぁいとね。」


 「何よ、もう?まだマナポーション飲み終わってないんだけど。」


 「既に3本飲み干してるじゃないですか、どんだけ飲むんですかマーティンさん。て、これお酒臭い…」



 ソーイがマーティンの散らかしたマナ瓶を拾い上げ片付けるが、瓶からは酒の香りが漂ってくる。


 「あぁた、またマナポーションに酒混ぜてきたわぁね。」


 「良いじゃない、これくらい混ざってるとマナの回復が早いのよ。」


 「それはお前の飲み量が増えるからじゃねえのかよ。」


 マーティンの言い訳に隣で腰を上げるラーダが正論をもってツッコむ。


 「マーティンちゃんの回復はやっぱり魔力を使うのねぇ、魔力回復も大変ねぇ。」


 「いや、聖職者の回復は祈願だからそこまで消費激しくないだろ。フェーテルのエリアヒールの方が十分魔力使うからね。」


 「あはは、間違いないねぇ。」


 おっとりしたフェーテルの間の抜けた解釈に、呆れ顔でティッテの訂正が入り、それを見ながらラーファが楽しそうに笑っている。


 周りを見ればかなり緊張感のある場な筈なのだが、この2パーティーの辺りだけ、空気がふんわりしている。


 現在、共にB級パーティーとなった、ピエロとラリスタである。


 「たぁのしい時間はお終い、ラーファ声量の補助たぁのむよ。」


 「はいはーい、任せてねぇ。」


 「じゃ、私は風で補助するわ。」


 「テステース、聞こえるかぁな?」


 ラーファの補助魔法で声量を底上げし、ティッテの風魔法が広い空間にロンドの声が響く。


 「今かぁら、バーサーカー2人導入すぅるからね。最前線アタッカーは中衛に後退、オーレンにメルディーちゃんは自力でなんとかしぃてね。」


 ロンドの声に最前線で戦う者達が青ざめる、そそくさと敵を放置し、低ランクスライムが跋扈する中衛へと走り戻る。


 メルディーは気にせずそのままタンク達に向けて迫る、ビッグスライムの群れを切り倒し続け、親指を彼らの方へと向けて立てる。


 オーレンはと言うと、他と同じく青ざめていた。


 「ちょっ、俺も手一杯なんだが、流石に死ぬ。」


 「じゃぁ、突撃だぁね。」


 オーレンの叫びはスルーされ、ロンドのGOサインがソーイとラーダに出される。


 「誰がバーサーカーだ。ロンド、てめぇ後で覚えていろよ。」


 「間違ってはいないと思うのだぁけどね。」


 ラリスタのパーティースタイルはワンアタッカー、ティッテのゆみもあるにはあるが、彼女は大体警戒要因。


 ラーダに、フェーテルとラーファの補助魔法の全盛を行い、ラーダ1人で敵を蹴散らすのがラリスタの常套手段である。


 その為、ラーダの元々のスペックも高く、フェーテルの防衛魔法は並大抵の攻撃を受け付けない。


 ラーファの支援魔法に関しては、全ステータスの向上率並外れている為、バーサーカーと呼ばれてもおかしくないないアタッカーに化ける。


 「さぁて、これで大丈夫だぁね。」


 クイーンの進行を遅滞させ留める、トーテムとその他のタンク数名、それを護るように後方から迫るビッグスライム種を退けるオーレンとメルディー。


 そこへ左右に取り残されるスライムの一角に異変が起こる、オーレン側ではスライムの体液が次々宙を飛び散る。


 メルディー側にいたっては、激しい怒号と土煙が立ち上り、その中を小さな影がビッグスライムを一撃の元に核諸共巨大な体事粉砕していく。


 中衛に下げられた冒険者達のおかげで低ランクのスライムの数も一気に数を減らす。


 そして、彼女が詠唱を終える、


 杖の前に浮かぶ小粒な水の塊。


 誰もが初めてみる、爆殺がしたくて仕方ない彼女が編み出したオリジナル魔法。


 「さぁ、爆ぜなさい、ブラッ…ミルク・レイン。」


 レリラが相手の姿に言い換えた、呪文名と共に杖の先からビー玉と同等の大きさの水弾を放つ。


 それ程、硬い表皮でない白い巨大なスライムに、水弾はあっさりと体内へと入り込混んだ。


 そこからはあっさりだった、無形のスライムの中を水弾が無尽蔵に動き回る、洞窟内が異常な気温の上昇と共に熱を帯びる。


 ただ、その時点でクイーンスライムの核は粉砕されていた。


 レリラの魔法の特性上、液体で出来た相手の中を高速で動き回る水弾、同じく体液中を動く核、その2つがぶつからない理由はどこにもなく、レリラ自信砕いた感覚を操作する水弾から得ていた。


 ただそれで終わらないのが爆殺少女である。


 流石に水蒸気爆破を起こそうとは思っていなかったが、クイーンスライムの中で凝縮させた水弾の圧迫を解いた。


 大量の水に屍と化したクイーンスライムの体は膨張。辺りの者達が異変に気づいた次の瞬間。


 風船の割れる音を響かせ白の巨体が破裂、白い体液が巨大な洞窟の中を飛び散った。


 後にミルクパニックと呼ばれる、無惨な結末を最後に引き起こし、スライム掃討作戦は幕を閉じたのだった。

今回はストレラへの虐めは持ち越し、次の章へと移ります。

次回、温泉ダンジョンのラリスタライブ、水着回に初挑戦、自身は全く無いです。

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