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ナーネルの墓参り7

ダラダラ長引いた事に反省する今回、これで区切りです


 「堪らんなぁ、まさか貫通されるとわな。」


 「後方組はラオテールで持ってたからねぇ、あんたが耐えられないならそのままお陀仏が通りだねぇ。」


 「私達をしっかり射線に捉えてましたからね、一網打尽とは、動かされていたんでしょうね。」


 戦闘開始数分、後方からの援護を担うラドルチェとドーテ。


 彼等2人を守るのはラオテールの巨体。


 しかし、拡散砲撃には耐えれても圧縮された砲撃にはラオテールの強靭な肉の壁も意味を無さず、3人諸共串刺しになり死を迎えた。


 今彼らは、指輪の効力により、本部ギルド1階にあるポータルへと戻され、他のメンバーを待っている所だ。


 「いやぁ、参ったでござる。剣の勝負で負けてしまうとはまだまだでござるな。」


 すぐローゼンが3人の後を追い、ポータルへと転送されてくる。


 「これじゃ例年と変わらねぇじゃねぇか。」


 「あの火力と動きをどうにかできないとぉ、相手にもならないかもしれないわねぇ。」


 集まって行く強者達があっさり瞬殺されたと騒ぐ、そんな声を聞けば周りの冒険者達はどよめき出す。


 今年は例年より生き残りが多かったようだ、周りの冒険者達の同様と不安が広がる。


 「挑戦を諦めるな、冒険者が冒険する事を忘れたら終わっちまう。こんな冒険し放題ダンジョンに怖気付くヘタレはここには居ないだろうがぁ。」


 ラオテールが辺りの雰囲気に舌打ちをこぼし、その低く声量のある声で周りの冒険者へ喝を入れる。


 それを聞くホールにいる冒険者達も、声を挙げて応え活気を取り戻すのだった。


 「面倒な奴らだ。」


 「ラオテール殿は面倒見が良いでござるな。」


 和気あいあいとした敗者の集まるギルドホール。


 彼等の後を追って戻った人物だけは、その雰囲気とは相容れない表情を浮かべ現れる。


 「次が戻ってきたようだね、ドレッセン…」


 「どうしたでごさるか、ドレッセン殿。」


 ポータルから現れるドレッセン、彼女は基本小さな事を気にせず前を向き続ける。


 そんな彼女が悔しそうに拳を握り闘志を燃やす。


 ただ、その体は意志とは反対に恐怖に震える。


 「僕達はまだまだだ。もっともっと強くならなければならない…」


 良く知る彼等だからこそ異常に気づく、彼女が何に怯えてるのか想像が付かないが、何かがあったのだろう事だけは確かだと。


 「僕らはまだ遊ばれているぞ、気合いを入れるべきだ。」


 「どうした、てめぇがそんな態度取るのは珍しいじゃねぇか。」


 「今の僕らじゃテリアの遊び相手にも、なってないんだぞ。あの二人の戦闘の余波に巻き込まれて終わってしまうだけなんて…。」


 自分に言い聞かせているみたいに、1人ボソボソと呟くドレッセン。


 皆が訝しげに見る彼女の異常な姿がそこに残る。


 数分の自問自答を終えた末、彼女は先に帰宅すると、本部を出ていった。


 「何だったんだあいつは。」


 「ふぅ、勝てる気しないよ。」


 ドレッセンの消えたすぐ、メルディーがポータルへと現れる。


 「あらぁ、メルディーも戻ったって事わぁ、全滅ねぇ。」


 ドーテがメルディーに気付き、その姿を視線に捉え、パイプを揺らめかせ彼女を出迎える。


 「やっばいよ。テリアってすっごいの、私震えちゃった。」


 「彼女が凄いのは皆分かっているだろうさ。どう凄いのかを教えてくれないかなメルディー。」


 「えとね、ほら、ドーンってなってね、ズバって、後は色々吹っ飛んだよ。」


 全く意味のわからない擬音ばかりの説明、興奮した彼女の説明を理解出来る者はこの中にはいなかった。


 「まぁ…すげぇのは伝わったわな。」


 「メルディー殿の翻訳はストレラ殿頼りだったので難しいですな。」


 苦笑いを浮かべ、興奮状態の彼女の身振り手振りで大袈裟な説明。


 そうそうに理解は出来ないだろうと聞き流す事にする一同。


 「メルはテリアの本気を垣間見たのでしょう。貴方達もうかうかしてられませんね。」


 「そういう事か、ドレッセンがやけに落ち込んでた理由わ。」


 墓参りを終え、背後から気配もなく現れるナーネル。


 彼女が気配を感じさせないのは何時もの事と誰も気にはしない。


 それよりも、メルディーだけが先へ進んだ事を、理解した方が彼等に取って問題なのだろう。


 「仕方ねぇ、遊ばれてるとは思ってたんだ。次は簡単にやられねぇ。」


 「ちょっと無茶もしないといけないようだね。」


 「しかし、今日は疲れ申した。」


 「色々情報を共有すんのは明日からでも良いじゃねえか、取り敢えず今日は騒ごうぜ、久しぶりな顔も見たいしよ。」


 「それなら、ばぁと騒ぎに行こうよ。」


 先程の話は何処へやら、騒ぐと決めたら騒ぐ、冒険者は騒ぐに関しては全力である、


 最強と世界に名を馳せる彼等であろうとそれは変わらない、酒を手に周りを巻き込みどんちゃん騒ぎ。


 それが、彼等の毎年の楽しみでもあった。


 世界中に飛び散る彼等が揃って集まる事も珍しい、珍しいから騒ぐ、冒険者にとって騒ぐ理由が1番大事なのだ。


 「ナーネル、支部行こ支部、酒場てワイワイやろうよ。」


 「そうですね、ギルドの方も気になりますし。」


 決まれば善は急げ、彼等は東支部へと向かうのであった。


 面白い状況になっているとは思いもよらず。


次は恒例のストレラの悲劇、今回はどうしようかな

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