ナーネルの墓参り3
長期休暇早々風邪引きました
鼻水止まらんです。ズズ
皆様もお身体にはお気を付けて
躊躇なく壁へ突っ込んで行く彼等。
壁は無い物のように彼等を呑み込んでいく。
隠しダンジョン、表のダンジョンを最下層まで到達した者にだけ、挑戦する権利が与えられる裏のダンジョン。
ダンジョンの難易度は、ただの嫌がらせではないかと言うレベル。
そんなダンジョンを苦もなく彼等は進む。
「今日の晩飯当番は誰がやるよ。」
「じゃんけんで良いんじゃない?」
「ボクは肉が食べたい、肉を食べないと1日、終わった気がしない。」
たわいない話をしているが、彼等の歩いた後には災害級と言われるモンスター達の屍が築かれていく。
表の50層でさえ、S級冒険者がパーティーを組もうと、踏破する事はままならない。
そこを単独で踏破した者が彼等一人一人であり、彼等こそ、現在、最強と言われているS級で冒険者、偉人達の血を引く末裔なのである。。
個々が、並外れた力を有する冒険者、人外の領域に足を踏み入れる危険人物。
そんな彼らでさえ、こちら側のダンジョンを、未だクリアするには至っていない。
「姉さん、今回も手伝いはなしですかい?」
「ナーネルが手伝ったら意味が無いじゃん、私達で辿り着かないとさ。」
「私はあくまで私用なので。」
クイーンの名を冠すアラクネを、拳1つで吹き飛ばし粉砕するラオテール。
彼が、答えの分かりきった問い掛けをナーネルに投げかけるが、予想通りの答えを返される。
彼自身も、手伝って貰おうとは思っていない、そこに格上であろう存在がいる、ならば、その力を見たいという好奇心が湧くもの。そんな気持ちからの言葉であった。
「それにしても、いい加減飽きて来たわねぇ。やり直しばかり、そろそろ変化が欲しいわ。」
彼等が、このダンジョンに挑戦し出し数年が経つ、1年に1度入る事の許される裏ダンジョン。
毎年、9階層迄は難なく到達出来るのだが、その階層主である強敵が現れるフロアで全滅させられてしまうのだ。
「あのゴーレム、見た目は麗しい く芸術的だが。強さの方はネジが飛びすぎている気がするね。」
「1体1では、無力を感じざるえないでござるよ。」
ラドルチェが鬼神の如き強さのゴーレムの姿を思い浮かべる。
ローゼンは初めて対峙した時、どうすることも出来なかった自分の不甲斐なさに表情に陰りを見せる。
「かと言って、ボク達が束になった所で倒せないんだぞ。」
これから続く8階層までの道のり、彼等に取って些細な問題にはならない。
9階層で待ち受けるゴーレム、その敵にどう対処するか、それだけが今の彼等の悩みであった。
そんな彼等が進む裏ダンジョン、1階層の作りはこんな感じだ。
4日間一本道を進み続ける変わった構造。
同じ事を永遠に繰り返すと言うのは、退屈にしろ、死の危険にしろ、精神的にダメージを相手に与える。
同じ場所を行き来している様に錯覚する、景色の変わらない洞窟の一本道、進めば進んだだけ接敵する災害級のモンスター。
表をクリア出来る者にとって、ここはただの時間潰しでしかなかった。
「そういえば、メルディー殿旦那殿とはどうなのですかな?」
「ストレラと?」
「そうねぇ。既婚者はこの中では、貴女だけだしねぇ。」
「うぅん、普通だよ。ストレラ忙しいし、私も遠征依頼ばかりだから、ナーネルの方がストレラと一緒に居るくらいだし。」
「ほぉ、奴もロリコンから脱したのか、ガハハハ。」
「誰がロリだよ、誰がロリコンだよ。」
「お前に決まっているだろ、ちびっ子。」
食事の為の休憩、彼等の話題はメルディーとストレラの結婚生活についての話になる。
この強者達とストレラには少なからず繋がりがあり、2人がまだ結婚する前からの付き合いでもある。
大体、冒険の話を抜けば、彼等の興味はそれぐらいである。
そんな話をしていると、ラオテールがメルディーとストレラを弄る、そんな彼にメルディーが怒り出せば、睨み合う両者の絡みを眺めながら食事する、これが例年の恒例である。
「中々有望な御仁であったが、お役所仕事に身を落とすとは思いませんでしたな。」
「それなりに頑張っていますよ。メルの帰る場所を守っていたいと言っていましたからね。」
「ふ、ふぅん、そんな事言ってたんだ、ストレラ。」
ナーネルの何気なく零してしまった言葉に、メルディーも満更ではなく、指同士を絡ませ遊び、喜びそうになる自分を抑え込める。
「幸せでいい事です。ボクには必要ありませんが。」
「まっ、辞める前に1度拳を交えときゃ良かったな。それなりに強者の雰囲気があったしな、奴は。」
脳筋組の2人は恋愛方面の話は、当分無さそうに見える。
「さて、休息も取った。先に進み目的地へ向かおうか。」
それぞれ片付けを手早く終わらせ、数日続くであろう流れ作業へと戻るのであった。
のほほんとした会話回って苦手ですね、なんだか纏まりがない