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異色パーティーの昇格試験1


「遂に、この時が、やぁって来ましたみなさぁん。」


白塗りの顔面に奇抜なメイク、奇抜な服装、職業道化師の男が高らかに両腕を広げ、ギルドに併設された酒場のテーブルを囲うパーティーメンバーに告げる。


「リーダー、人目のある所でキャラ作るの辞めない?衆目の羞恥心をわざわざ受け止めるってドMなの?」


テーブルへ肩肘をつき、頬を掌で頬杖を着く少女がキツい口調で言い放つ。


こちらは青い魔法衣に縦に長い帽子、帽子には宝飾された十字架が刺繍されている、見るからに聖職者だが、この国で青の魔法衣は見習いの証である。


「あぁたこそ、聖職者が酒を煽ってそのたぁいどもどうなのさ。」


「あのぉ…その…どうでも良いので、僕の休みを潰してまで集めた重大発表早く言って。この後ラリスタのステージの為に準備しなきゃいけないから。」


公共の場では何時ものやり取りとなった2人の絡み、おどおどしながらもオタ活が絡むと言う事をちゃっかり言う、軽装に身を包む根暗そうな少年。


「そうそう、私達やぁっとC級昇格試験を受ける事になったのさぁ。」


「やっと通ったの申請、リーダーがそんな巫山戯た格好してるから今まで受けさせて貰えなかったのよね。」


嫌悪感を隠しもせずにパーティーリーダーに辛辣な応対をする神官の少女。


「マーティン、あんたのそういう所が見習い期間が終わらない理由じゃないかぁな。」


あぁ言えばこう言い、顔を近づけ睨み合い、話を進ませない2人に少年が耐えかねて普段決して見せない声を挙げる。


「ロンドさんもマーティンさんもいい加減にしてよ。僕時間無いって言ったよね?早く話進ませてよね、それと、2人がそんなだから面談不適合で受けられなかったのが事実だからね。」


「はぁ?ソーイ、あんただってオタ活は命とか言いながらクエスト放棄したりする問題児じゃない、自分だけ棚にあげてんじゃないわよ。」


そして何時もの如く始まる大騒動、こんな事を度々していればギルドとしても考えさせられる。

C級からは護衛任務も増える為、彼らのC級昇格は先延ばしにされていたのだ。



次の日の朝、ピエロパーティーの3人と、馬車の御者をするギルド職員が門前広場へ集まっていた。


あの後、散々ギルドの酒場で喚いた3人は、こっぴどく酒場の店主に説教される羽目に、その後にはギルドの受付嬢ナーネルから追撃の厳重注意、深夜までお小言がプラスされ拘束されていた。


「おいおい、やっとの昇格試験でその調子で大丈夫かよ。」


元A級冒険者であるスティッド、今は引退し昇格試験担当の試験管をしている事もあり、冒険者達には馴染みのある人物である。


「マーティンの奴が朝まで喧嘩売ってくるからこんな事に何だよ。」


「はぁ?あんたが原因で怒られる羽目になったんじゃん…イタタ。」


奇抜な道化師の服装は変わらず、ノーメイクで素のまま話すロンドが寝不足の為、クマを色濃く残す顔で項垂れ。


マーティンは飲み続けた酒の余波で二日酔いに苦しんでいる。


「お前達は平常運転だな…それよりソーイはどうしたよ、あんな彼奴見た事ねぇぞ。」


普段通りならば1番まともな筈の少年、ただ、今日に限っては世界が終わる間際の人間の様である。


「あれは、ほら、今日はライプがあるからさ。」


「そう言えばそうだったな…何っ!?お前ら今日は世界の終わりか!」


言われて気づいたスティッドだったが、気づいた途端に表情を青くする。


少年はオタ活命、それはこの都市では有名な話である

オタ活の為なら依頼を途中放棄、ドタキャン当たり前、異常な執着を見せる少年、そんな彼がこんな日にここに居る事態が異常事態であった。


「頭に響くから大声出さないでってば…イツツ、ナーネルさんに釘刺されたのよ、今回に限ってはラリスタ同意の元全イベント出禁ペナルティーを課すって。」


生きる意味を一時か永遠に失うかの選択を迫られた訳である。


ナーネルもこうなる事は理解の上であったが、彼らにはこの機会に昇級してもらわねばならない理由が存在する。


何を隠そう彼ら3人、個人ランクにおいてはB級冒険者

、能力と功績重視な個人、連携と対応力、人間性重視なパーティー査定の違いから起こる弊害。


パーティーで活動する事で本来振り分けられる依頼を制限されるのは、ギルドにとっても手痛い事なのである、だからこそ支部側も許可の出さない本部を仕切りに説得し漕ぎ着けたのだ。


「そりゃ、ご愁傷様だな、あいつにとっては何方に転んでも地獄、取り敢えず少し時間やるから、準備整えろや。」


明らかに試験に従事する様子ではない3人に額を押さえ呆れる彼はそう呟くのだった。



馬車は整えられた道をゆっくり進む、両サイドには奇抜なピエロメイクを終えたロンドと酔いをポーションで強引に覚ましたマーティンが歩く。


ソーイについてはショックの大きさから復帰出来ず、後方警戒という体での馬車内待機となった。


「それじゃ、今回の任務を説明するぞ、東のダンジョン郡を通り荷物をアーメス王国への関所迄届ける1泊2日の任務だ、因みに野宿も試験の内だから宿には泊まらんぞ。」


「最悪、何で野宿なのよ、私は女の子何だからそれくらい加味して試験してよね。」


「いや、他も一緒だからな、お前の自分本位な考えはどうにかならんのか。」


依頼への不服はマーティンの十八番、どんな依頼だろうと文句をつけるのだから筋金入りのクレーマー冒険者である。


「まぁまぁ、マーティンのこれはいーつもの事、それよりこの経路わぁ。エグい事するじゃないのよ。」


地図と経路情報を再確認するロンドが何かを察し、溜息付きながらスティッドへ視線を送る。


「流石に元神風の情報通にはお見通しか、お前達の試験を認めさせるのに此方も色々苦労したんだ、これ位は許容してくれ。」


「仕方ないねぇ、とぉりあえず此方としても昇級はしたかっしぃそれは受け入れとくぅけども、神風の話は次出したらいくらギルド職員だろうと私怒っちゃう。」


へらへらと崩した口調で話すロンドだが、最後の言葉に冗談の欠片もない有無を言わせぬ気配を漂わせる。


「悪い悪い、禁句だったな、まぁ、そういう事だから気を引き締めてくれよ、俺は一切の手出しをしない事になってるからな。」


「やばいのね、ソーイ、あんたもその時までにはしっかりしてなさいよ。」


ロンドが何かを察した時、決まって問題が起きる、それを知っているマーティンがソーイに釘を刺しておく。 おちゃらけな道化師という職に就いているロンドがリーダーをしている由縁がここにあった。



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