爆裂【焔】のドラゴン討伐4
結局長くなってしまい2部に別れました、昼までには仕上げて完結させますm(_ _)m
雄叫びと共に先制を取るのは勿論格上であるレッドドラゴン、存在も強さも人間等赤子も同然。
太く巨大な尻尾を体を捻り振り払い、そこにあるゴミを吹き飛ばす感覚で突風を引き起こし彼等へと振るう。
人間には計り知れない質量を持つ尻尾がロトンの大盾へと容赦なく迫る。
衝撃音がけたたましく高鳴る、鉄と鉄が衝突した時のあの耳に響く高い音が…勝負は決した。
絶対的強者であるレッドドラゴン、相手からすれば矮小な人間等これで排除出来る確信がある、先程と違い溢れんばかりの力、純度の高い鋼を超える強度を誇る龍鱗。
それらを手に入れたレッドドラゴンが、そう感じるのも無理は無い。
「隙ありだぜ、強い強いレッドドラゴンさんよ。」
何時の間にか目の前で大剣を振り下ろす男、彼の姿を視認し、元居た場所を見やる。
振り下ろされた大剣等問題にならないと、殺気を放つオーレンを無視し、小さき者達を目を凝らし見据える。
そこには未だ健在する人間の姿、しっかりと振り抜いた筈の尻尾が、彼等を捉えていない事に疑問を抱き唸る。
「くっ、腕が折れるかと思ったぞ。」
「尻尾も凶器ね、風圧だけで吹き飛ばされる所だったわ。」
振るわれた尻尾、彼等の胴体を薙ぎ払うように向かってきた、ロトンは盾を傾け、上方へと力の向きを変える事で衝撃を緩和させやり過ごしていた。
1番の要因はロトンの盾を濡らす液体、シャーシャがぶっ掛けた潤滑剤、スライムローションと彼等は呼んでいる。
「オーレンの発想も役に立つ時は役に立つのよね、スライムゼリーからこんなの作るなんて。」
スライムローションにより、抵抗を減らす事で圧倒的な暴力ににも負けず耐える事が出来た。
「ふぇぇ、私は吹き飛ばされる所だったよぉ。」
体が小さく軽いパルレだけは、強風に煽られシャーシャにしがみついてなければ、今頃何処へ飛ばされていたか分からない。
そこへ衝撃音、8メートルは飛んだオーレンが大剣を振り下ろし、レッドドラゴンの顔面へと打ち付けた音が響く。
硬い表皮に阻まれた大剣が鱗に軽く傷を付けるが、レッドドラゴンに問題は無い、問題は無い筈だった。
「グラビティアショック!」
反発し合う力は本来ならは軽い彼の方が押し負け弾かれる筈、それを大剣に付与された能力を発動する事で重量を増し、打ち負かす。
ガクンっと首を持っていかれる、レッドドラゴンが頭から地面へ叩きつけられ呻く。
「ガァァァッ」
圧倒的な力の差がある筈の相手に、良いようにされているレッドドラゴンが呻く。
「舐めてるからそうなるんだよ。蒼天天雷。」
伏せる敵を目に空中を蹴る、魔力をコントロールする事で大気に干渉し足場にしたオーレンが、追撃に落下スビードを載せた大剣の切っ先を、レッドドラゴンの瞳へと突き立てる。
「ギャァウガァァ」
盛大に叫ぶレッドドラゴン、痛みに巨躯を暴れさせ、地面を揺らす。
「とっ、危ねぇ、これで視界は奪っただろ。」
「何よあの技名、中二病、丸出しね、」
「その病気は治らない方がオーレンの為なのよぉ。治ったらオーレン死んじゃうだろうし。」
3人の前に降り立つ彼の背後からそんな言葉が投げかけられるが彼は気にしない、だってここはファンタジー、中二病なんて言葉は存在しないのだから。
「分散するぞ、かく乱しながらダメージを与えていけ。」
ロトンが重い重装をカチャカチャ鳴らし走り指示を出し、シャーシャとオーレンは左右に別れレッドドラゴンの周囲を移動し足音をたて走り出す。
体勢を立て直したレッドドラゴンは、気配を頼りに無作為に炎弾を口から放ち、辺りへと爆音を響かせ殲滅しに掛かる。
怒りに身を任せた攻撃を避け、背後に回ったシャーシャが、翼の付け根に残る傷跡へと握った瓶を投擲、衝突と共に爆音をあげて爆発する。
その衝撃によろめくレッドドラゴン。
その隙を見逃さず、ロトンが頭上に持ち挙げた大館へ飛び乗り足場するオーレン。
彼の跳躍に合わせ勢いを増して射出、スビードののった勢いをそのままに、オーレンが大剣を振り抜く。
火花散る大剣、重量を一時的に増すグラビティアショックの相乗効果をのせ、振り切れば1枚の鱗が吹き飛ばされ宙を舞った。
「ッ!グガァァァ。」
大気全体を震わす咆哮が辺りを埋め尽くす。
それは衝撃波として接近していた彼等を一気に吹き飛ばした。
ロトンは後方へ踏ん張りながらも地面を滑る。
シャーシャとオーレンは生え茂る木々へと吹き飛ばされ打ち付けられた。
「何が起きた、急に。」
威圧感の増したレッドドラゴンに不安が過ぎる、周囲の状況を確認するロトンは舞い落ちた鱗を視線の隅に捉える。
「いつつ、豪快に吹き飛ばされちまった、ロトン大丈夫か。パルレ、シャーシャは?」
パルレの近隣に吹き飛ばされたオーレン、前方のロトンの安否と、全体を見ていたパルレへシャーシャの行方を問う。
「シャーシャちゃんは反対側の林に吹き飛ばされちゃった、多分大丈夫だよぉ。」
咆哮に体を強ばらせながら本を抱き締めるパルレが、隣へ近寄ってくるオーレンへ答える。
長い咆哮の後に一瞬の静けさ、暴れ回っていたレッドドラゴンの妙な落ち着いた姿が、戦闘により荒れた広場となった中央に佇む。
「どうしたんだ、急に動かなくなったぜ。」
「オーレン、すぐに逃げるぞ、もう勝ち目はない。」
今の今迄優勢だった所への駆け寄るロトンの言葉、疑問に思い問いただそうとするが、その前にレッドドラゴンが動く。
立派な翼を広げ上空へとゆっくり浮き上がるレッドドラゴン。
それを見あげながらロトンが口を開く。
「冷静になったんだ。逆鱗に触れたんだ俺達が、言葉そのままの意味でな。」
彼等が優勢を保てたのは他でもないレッドドラゴンの油断、それを皮切りに屈辱から怒りを増長させ、暴れさせる事でペースを乱していた。
そこへオーレンが吹き飛ばした1枚の龍鱗、見た目が一風変わったその龍鱗こそ、レッドドラゴンの逆鱗だった。
「激しい怒りが逆にあいつを冷静にして思考力を取り戻させちまった。」
「だからって、むざむざやられる訳には行かねぇだろ。」
虚勢を張るオーレンだが、頭上高く飛んだ相手へ行える攻撃が出来るのは、この場にいる3人ではパルレのみ、そのパルレの攻撃は雀の涙程の効果しか与えられない。
「何惚けてんのよ、良くやったわあんた達、狙い所はバッチリ、爆ぜなさい、ブラッディー・レイン。」
どうしようもない状況と悟ったロトン、その雰囲気に呑まれ陰りを見せていた場の雰囲気は、自信満々の女の声に一掃された。
この場を借りてお礼を
活動休止前からお気に入り登録してもらってましたが、おめでとうコメントありがとうございます
久しぶりにも関わらず気にかけて貰えて、これからも頑張らせて頂きます