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爆裂【焔】のドラゴン討伐

この時期は忙しくて中々執筆に集中出来ない(´;ω;`)


不定期な更新が続きますが気長に待っていただきたく

 「ダンジョン潜って何日目だったか。」


 「今日で5日目よ。」


 大剣を背中に背負い、先頭を行く男が背後から着いてくる者達に、聞こえるように呟きを零す。


 その呟きに律儀に答える女の声が、辺りの怪鳥の鳴き声と被さり返ってくる。


 彼等はA級パーティー、【焔】、リーダーのオーレンは頬の十字傷が目立ち、赤い髪が特徴の青年であり、その体はゴツくは無いものの、引き締まり鍛え上げられているのが分かる。


 彼の背後には4人のパーティーメンバー。


 レンジャーのシャーシャは細くスレンダーな肢体は少し焼け健康的な美を醸し出し、ショートカットに整えられたブラウンの髪を緑のまだら模様のバンダナで覆う盗賊スタイルだ。


 その後に続くのは、小さな体に白を貴重とした法衣を纏い、腕には分厚い本を抱き抱える精霊契約士のパルレ、ちょこちょこ歩いている姿が小動物を連想させる可愛らしい少女であるが、同い年のパーティー内で自分だけが幼く見えるのを気にしている。


 その横に魔道士のレリラ、魔法職である事を誇示するような古典的な魔女衣装に身を包む、特徴と言えば黒髪眼鏡と黒い法衣の上からでも分かるその実りの豊かさ位である。


 最後尾を背後を警戒しながら続くパーティーの盾、ガーディアンのロトン、彼はオーレンとは逆にがっしりした体格、鍛えられた筋肉質な体を重装に身を包みながら自慢の大盾を軽々と持ち、腰には一振の剣を差している。


 「なぁ、この階層が目的地だろ、少し休まないか…流石に疲れてドラゴンと戦うのは遠慮したいぞ。」


 それなりに重量のある装備で行軍している彼が、最後尾から1番前にいるオーレンへと向けて声をあげる。


 1番最後尾だからこそ、全体が見える位置にいるロトンが、全体の疲弊を察したからの言葉だった。


 「そうだな、シャーシャ、周りに気配はあるか?」


 索敵担当のシャーシャが、オーレンの問いに首を横に振り応える。


 「よぉし、んじゃ少し休もうぜ、流石にこの階層まで来ると何があるか分かんねぇしな。」


 安全の確保、オーレンとロトンはそれぞれ動きやすい位置に別れ、体を休める。


 「やっと休めるわ、もう足が棒よ、棒。」


 「でもでも、今日中には帰ってお風呂に入れるかもしれないよぉ。」


 「その前に生きて帰れるかじゃん?一応相手はドラゴンなんだから。」


 休み出せば女性陣は固まり話題に花を咲かせる。


 「幼年期のレッドドラゴンらしいわね、ダンジョンランク上がるんじゃないの?B級ダンジョンにドラゴンなんて出現していたら死人量産ダンジョンじゃない。」


 彼等の現在地、B級ダンジョン【空壁の楽園】は鳥類型モンスターが生息し、地下ダンジョンなのだが、空間が歪み、その広さは広大、4階層の現在地へ来るだけでも5日を費やす巨大ダンジョンである。


 地下とは思えない空の青さ、太陽の如き光を放つ太陽石の結晶が大地に恵をもたらし、水と木々の雄大な自然の姿を見せる。


 「確認されてるのは一体だけらしい、イレギュラーだろ。ダンジョンの地形変化が無い以上、そいつさえ居なくなれば落ち着くだろ。」


 女性陣の話に聞き耳を立てていたロトンが自身の推測を言葉にする。


 「そもそも、何でこんな依頼受けたのよ、このダンジョン1週間で4階層の到達だけでもかなりキツイのに。」


 「いやぁ、転晶石を支給ってあったからさ、やっぱり夢じゃん、ゲームならではでさ、トロイヤにしかない転移方法だし、簡単に使えるもんじゃないだろ?」


 オーレンの言葉には疑問に思う単語が出てくる。


 実はこのパーティー、全員転生者である。


 初期は同郷のオーレン、レリラ、ロトンの3人でパーティーを組んでおり、幼少期のオーレンのは現代的な発想によりそれぞれ転生者である事を認識した。


 シャーシャとパルレの2人は、トロイヤに来てから知り合った仲間であり、同じ転生者だと気付いたのは加入後少し経ってすぐの話である。


 「オーレンの鳥頭のおかげよね。私達が地球からの転生者だって気付いたの。」


 「元々あっちの世界の人間の名残り多い世界だし。普通に転移者や渡り人の物語もある位だから驚きはしなかったけれど。」


 「でもでも、あんまり口外していい事じゃ無さそうで…、オーレンも少しは気をつけて欲しいのですよぉ。」


 濁そうともせず、前世の感覚でこの世界に馴染みのない単語をナチュラルに使うオーレン、そんな彼に毒を吐くシャーシャ、無関心に淡々と応えるレリラ。


 パルレだけはトラブルに巻き込まれる心配を表に出し、不安の拭いさずに、あたふたと注意喚起をする。


 「兎も角、討伐報酬に素材報酬、転晶石の支給もある、お前達だって納得してたじゃないか、今更文句言うなよな。」


 「転晶石は高価だしね、確かに帰還用に支給されるのは助かるのよね。」


 トロイヤの各支部への緊急帰還用に販売される結晶、3回と使用制限があるが、何処に居ようがどんな状態だろうが、登録されている数名を緊急で支部へ転移させる転晶石。


 特定の宝石に魔法の付与がなされる為、元々の宝石の価値もあり相当値が張る、それを支給されるというのはそれだけでもそれなりの収益をもたらす事に繋がるのだ。


 「素材報酬はあれね、支部長の職権乱用、相場より高いけど、本来ギルドを通さないと駄目なんでしょ。」


 「さぁな、ギルドに幾らかの納税義務はあるみたいだが、その辺はまた自腹切ってるんじゃないか、あの人よくやるし。」


 ロトンが言うように、自腹で損害を補填しているストレラではあるが、本人の意思では決してない。


 「そろそろ向かおうぜ、目標が住処にしている湖までもう少し先だろ、幼龍だからってドラゴンはドラゴンなんだし、暗明時間になると厄介だ。」


 暗明時間とは、ダンジョン内での夜であり、太陽石の結晶が光を蓄える為にダンジョンが魔力を活発化させる時間だ。


 魔力が活発化するという事は、即ちモンスターにとっても力の増強に繋がる為危険度も増す。

 

 「そうね、イレギュラーのドラゴンのおかげか、この辺に他の気配も少ないし、進める時に進まないと厄介事にもなるしね。」


 シャーシャが座っていた服に着いた汚れを払いながら、立ち上がり体を伸ばして気持ちを切り替える。


 他の者も続いて各々の装備の確認を整え、パーティーはドラゴンが待つ湖へと歩みを進めるのだった。

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