アルテマ 下巻
補足
宇宙
多次元宇宙
全多次元宇宙
神話界、魔界、魔法界、人間界一つ一つがメガバースです。
“準備万端、決戦するなら今日がいい”
そこは都合のいい魔界の何もない荒野。
「なんなのだ?我に話とは…魔王軍最高幹部黒曜会ナンバー8、覇仁シロよ…」
相変わらずの中二センスで安心するが、今日はそうも言ってられない。
過酷極まる鍛錬と、出会えた一人の“友”彼らとの出会いありきで今日がある。
“今日…アルテマ(こいつ)を超える”
「つまらないことはしないでくれよ、我が盟友。」
「言い回しが中二病臭くて聞いてらんないねぇ~てかさぁ、つまんないことって例えばどんなこと?つかはなっからわかってんだろアルテマ」
私は、アルテマを睨みつけた。武闘家としての極儀“覇気”で相手を威圧してやった。
でも、これは強がりの裏返し、それはアルテマもわかっているのだろう。
でもいい、強がりだろうとなんだろうと、今日の私は“絶対勝つ”。
「それじゃぁさ、始めようよ。…“決闘”を…」
その言葉は“死合”開始のゴング。だから私は躊躇も迷いもなく腕型をアルテマ目掛けてぶち込む。
「愚かなのだ。剣魔封殺・獄陣・魔剣完全包囲陣。」
アルテマが私の周囲に放った複数の剣の檻。本来なら出られない、完璧な捕縛魔法。
その仕組みはこうだ、それが放つ強力な穢威によって剣に触れることはできずしたとしたら全身が化石見たいにカチコチになって全身が動かなくなる絶対魔剣。
それで囲んだと言うことは、「ここでじっとしていろ」、「必ず連れ帰る」、と言う意志の表れだ。
でも、今日に限ってはそうはいかない。
「こんなもんじゃねぇーだろ、全力でこいよなぁ!!!」
私の腕型は修行のすえに理や概念すら反射できるようになった。
こんな魔剣の作用なんてその本体ごとぶっ壊してしまい。
「大暗黒双剣」
それはかつて私がいなされた大き過ぎる大刀、その強度は一振りで世界を破滅させ、触れた全ての攻撃に自動対応して存在ごと消滅させる。
「暗黒剣の能力は知ってる、触れた全てを黒く染め上げる…シンプルかつ最強。でも…」
“私の反射は、それすら弾く”
(手の甲を使えば反射、殴りつければ強打と消滅…絶対不可避の暴君因子。腕型)
私は考えない、ただその打撃を当てて当てて当てまくるのみ。それ以外はしないし知らない。
この女を確実に今日しとめる。
「暗黒鎧×暗黒宇宙。」
それは上書された宇宙の創造、世界強度を極限まで引き上げるだけでなく、その空間内の自身から放たれる攻撃を絶対必中として都合のいいルールを貸してしまう最強結界魔法。
「ルール追加は三つ、一つ目はこの結界内でのあらゆる因子を無効とする、二つこの結界内での我より強度の高い存在はいないとする、三つこの結界内で我以外のあらゆる存在を…動けないものとする。」
それは昇進証明の捕縛魔法、動けない、動かない、なら…
(威圧!!!)
絶対的な精神攻撃、指一本、正真正銘動かさずその全てを他界させつ完璧な技。
その一圧で、最強の結界は破る私はそのレベルまでこれを上げた。
「ルール内で、我を超えるか…」
アルテマが次にとった行動は暗黒之極炎。
「腕型」
「無駄だ!」
私は確かにそれを反射した、しかしその炎は反射したそばから大気に伝染しそれに触れる私の全身それを吸い込む私の肺まで燃やし尽くしたのだ。
「火は燃えうつる、当然なのだ。さっ、そろそろ抵抗をやめておとなしく…」
その直後、概念的に消えることのない暗黒の焔の中から現れる私の拳。
(ダンゥゥゥ!!!)
響き渡る凄まじい打撃音、それは顎下にクリーンヒットし脳は揺れ格闘家どうしの戦いなら確実にK.Oのそれ…
「でもそれは…人間での話…」
遠く離れた場所から観戦するシンは脳に直接そう語り掛けてくる。
(ユラ…ユラ…)
ふらふらと立ち上がる、黒い鎧のアルテマはその鎧の形状を獣のそれへと変えて…
「因・理・時・概・宇・次・高・焼却砲…」
強く放たれた破壊光線、それは因果律、理、時間軸、概念、多元宇宙、高次元あらゆる全てを僅かな消耗で崩壊絶対の一撃を私目掛けて解き放ってきた。
とっさに反射したそれを喰らった一つ900億光年の魔界宇宙がこの星を除き1200兆個吹き飛ばされ、魔王が多次元宇宙中の魔族を絶滅の危機に追い込むと言う暴挙に全界域の存在と言う存在が痺れを覚えた。
次は自身かもしれないと言う恐怖。誰もが考えはするが、決して起きない世界の終焉。
それを…簡単に癇癪一つで起こしうる巨悪の最悪、これぞ魔王と…すべての宇宙に轟き勇んで知れわたるのを私は全世界の人々と同じように感じ取った。
でも…それでも私は止まれない。最悪、巨悪、それがどうしたそのために準備してきた。洗練してきた私の拳は決して屈しない。それが、父から教わった武闘家としての信念。
そして…
「パルテノン王国?てことはあんた勇者の血筋なわけ?」
「そうだね、第四王子だから継承権は無いに等しいけど…」
「でも、たしか勇者ってパーティー引き連れてくるんじゃなかったけ?それって偏見?」
「いや、事実他のお兄様はそうしたよ。国中から募ってね。」
これは、数か月前にであった勇者くんとの話。目の前で倒れる彼と少し話た、もともと私は人間だし久々の人間との対話。この時のことを私は今でもよく覚えている。
「じゃぁなんで…」
「“必要ない”から、それが問題なんだけどね。」
「ん…それってあんたの口調の変化と関係したりする?」
それに気づいたのは結構早い段階だった。最初の彼の口調は、まさに勇ましくそして不遜で絵に描いたよな魔族を恨む勇者のそれだった。しかし今はとても上品で礼儀正しいと言うか物腰が柔らかい。まさに王室育ちのお坊ちゃんと言う感じだ…。
「おっとばれていましたか…」
「なんで隠すの?」
「僕が第四王子だからで、これだけの才能を持ってしまった…だからです、兄上達を立てるために…」
それが彼の偽りの理由、後継者たる兄達を立てるための方便。
「仕方が無いじゃないんです、政党後継者である第一王子のフラウドにいさまは人格や勉学は優れていらっしゃるのですが…体が弱く因子も貧弱でしたから…僕は言葉使いや素行だけでも悪くしなければ兄上の顔が」
「くだらな…」
私はそれを聞いてもなお、こう思った。
「兄貴の顔立てるためって、本当にそのお兄さんがあんたの言う通りの人間なら…そんな小さいこと気にしないんじゃないの?逆にそれは兄貴に対しての侮辱なんじゃないの?」
私の言葉を聞いた後彼は立ち上がってこう告げた。
「ありがとう!!!よし!改めて、僕の名前はアストラ・ブレイブ。勇者の血を引きし者、いつか仲間を集め、レベルを上げ、熟練度をあげて彼の地でそなたと相まみえることを願う。また会おう…ちなみに」
その宣言をして背中を向け、立ち去ろうとするアストラはその歩みを一瞬止めて…
「ちなみに、俺のレベルはまだ2だぜ…」
彼と約束してしまったから、いつかの地でまた合間見えようと。
「だから…ここであんたを倒して私は"黒曜会を抜ける"。」
別に、アルテマを倒さなくてもこの理由なら戦わなくてもいいはずだ。私だってそう思う、でもちがうんだ。
誰かに負けたまま、誰かの下のまま目の前の魔王を討ち滅ぼさんとする勇者と戦うは相応しくない。
だから、相応しくなるために私は彼が越えようとしている者私が超えて最強である私が挑戦者である彼を迎え撃つ。
そして何より…
「それに、このままあんたを進ませたら。勇者が来る前に世界が何個か終わっちまう。私は人間だよ!…世界を救う気なんてないが、世界を見捨てる気はもっとない!!!」
ここで打ち取る、そして未来で彼を待ち構え王座で待つ魔王は…
「私だぁーーー!!!」
私はなる、世界を滅ぼさないし支配もしない。ただシステムの如く定期的にあらわらる勇者を待って迎え撃ち、死闘の末にエンドロールを迎えるそんな魔王に私はなる。
でも、一つだけ違うのはエンドロールはいつだって私の勝利で終わる。
でも世界は変わらないし、世界に何もしない。ただ魔王と言う絶対悪であることで勇者と言う絶対正義と戦い続ける…
"命尽きるまで永遠に…"
それが私の望み。
「もう充分君臨したろ、アルテマ。その席は私がいただく。楽しい、楽しい死合のために。」
「ぐぅ~」
アルテマから出るその唸り声は、まるで深淵の底の獣。
『くだらない』
目の前のそれから放たれる瘴気に、気圧される私。
それは、周囲の配下全員を震え上がらせ、このメガバースの全て人間界、魔界、魔法界、神話界の四界全てを震わせある界層ではマグニチュード10以上の大地震が起きた。
「くだらない?『てめぇ何様だよ』」
アルテマの強さなんて想定済み、それがどんな事象を起こそうと私の心は折れないし、この決意が変わることもない。だから…
“ただ目の前のこいつを殴る!!!”
連打、連打、連打、連打。100裂、1000裂、10000裂。いや、すでに不可数を超える私の拳がその瞬間に0.1秒の誤差もなく目の前の獲物をしとめるそのために肉を叩く。
アルテマはその拳の連打に遅れて、巨大なドーム状のバリアを展開しその周囲に“例の光線”。
『極・弾幕』
自身を守りながら、周囲を壊すその理不尽の獣がマルチバース全域をターゲットに私を狙う無差別攻撃。
これは力の押し合い、目の前の女には圧倒的エネルギーの総量がある。
対して私にはレベル値の差がある、冷静にこの状況の攻略法を解析して繰り出す一撃はこれ…
「白雷流・天技・奈落麒麟」
バリアを吹き飛ばす獣の雷鳴、その直後修復を始めるバリアの中に入る。
すでに周囲の空間は歪み、見物していた皆はすでに対比もういない。それだけの衝突が今起きている。
私は自分自身が用いるだけの全ての技を出しきり目の前のそれに立ち向かう。
「白雷流・秘技・天地開闢之煌眼気」
なかに入るとヒーロー着地のついでにかます周囲の大地を吹き飛ばし、みじん切りになった大地と一つの星の崩壊。
「くだらないバリアははがしたぜ」
『それがどうした、宇宙空間での戦いなど私には用意、それよりそなたはどうやって息を吸う?』
「心配無用だ」
纏う気は空気の層、私は新な“新技”を利用して破壊する直前の魔界の全酸素を私の周りに集めた。制限時間はほぼ無限。楽勝でこの無重力の暗闇を泳ぎ続けられる。
『これが最後の警告だ…今からでも…考え直してはくれぬか?』
「無理だな、分かり合えない」
『そうか、それは残念だ…仲間をこの手にかけることになるのはなぁ』
その時のアルテマは、先ほどまでの獣にはない人間味とともにどこか寂しそうだった。その表情から察するに、その発言に正真正銘嘘は無いのだろぉ~だが…
「仲間?お前の仲間になった覚え何て一秒もないけれど…」
その言葉のあと、アルテマは『もういい…』と最後の言葉を残して…
『二刀一対之理』
最後の瞬間に、アルテマは自身の得意とする遠距離ではなく近接対決を選んだ。
『剣技・沙羅双樹』
さっきのお返しと言わんばかりの神速の連撃、私はそれを全て拳で返す。
お互いがお互いの武器に触れ合い相殺しあって接戦を演出する。
「どうした、御遊びか?なめくさってんなぁーーー!!!クソあまぁーーー!!!」
真剣にやってますみたいな顔してなに私の土俵に合わせてだ?そんな態度に頭にきた私は、打ち合いでできたプラクトン秒ほどの間にその拳を剣の重心におもっいっきりぶち込んでその速撃を一瞬断ち切り、そのどでっぱらに…
「真技・近衛之情」
近衛之情は、人間が本来もつ力を120%と引き出しそれをその一撃の拳にのみ込める技。
そしてこの技の真の能力はこれを使った後に起きるバフにある…
「ぐらいついてんなぁ~悪いが、私の打撃に情はねぇーぞ。」
人間は自身の力の20%程度で動いている。それを100%引き出せばその命は尽きる、しかし今の私はそれを100%を超えて120%引き出して戦える。
「こっからなんだよ、戦場は…お前もだせよ…全力をよぉーーー!!!」
その発言から、アルテマはこの戦いで初めて決めた。目の配下を…仲間を殺す覚悟。
『極砲』
打ち出した光線は零次元、一次元、二次元、三次元、24次元まで続く縦の次元。平行世界、多次元宇宙それら横の次元全てを余波だけで吹き飛ばしす無類の一撃を世界に叩きむ。
(魔界ごと吹き飛ばすつもりか…)
「できんじゃねぇーか?本気…」
答えてやるよ、その期待に…
「新技・吸天華」
一点に集まったその攻撃を私は待っていた、本来吹き飛ぶはずだった魔界崩壊の光全てをその身に受けて吸収する。そして…
「放徐楼」
放ったそれは、さっきアルテマが撃ち込んだ極光の一撃。返したが今までの反射とは違う、一回吸収して底上げしてから叩き込む無類の拳…
「この魔界とともに…滅んでおくれ…」
その日…四界に連なるメガバースの一個、魔界が滅んだ。
結局、アルテアはその場で気絶、それを黒曜会のメンバーが担いでアジトまで運んだ。
私は、ほぼ瀕死状態の満身創痍で人界の大地を“あるもの”を手に踏みしめて歩く。
「“転生機…こいつに希望を駆けよう”」
これで私の物語はおしまい、どうだったかな?わけわかんなかった。ハハ!そりゃーどうも。でもさ、これも一つ歴史なんだよね。
私のこの行動が、一つ世界を滅ぼして、そのかわり三つの世界を救った。
私は前座、ここで幕引き。次の役者は…誰だろうね?
その頃、人間界のある村で…
「俺は勇者になるぅーーー!!!」
そのど真ん中の噴水の上で、叫ぶ一人の青髪の少年がいた…
オメガアーク前編アルテマ 完