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アルテマ 上巻

挿絵(By みてみん)

私の名前は、ジャックリーン。私の家系は代々武闘家だった…

「「おぉーーー!!!」」

鳴り響く歓声は、プレッシャーを与えチャレンジャーに緊張を与えるまともに勇気をくれる讃歌になる。その声を浴びるように聞くのが私は好きだった。

(ダン!)

プロの世界じゃ、勝てば全てを得て、負ければ全てを失う。それは当然の結果で、そのハイリスク、ハイリターンな世界は私にとってとても素敵で、憧れで、だから努力した。誰にも負け出さないように…誰の期待も裏切らないように…

「優勝はぁー!ジャックリーン選手!!!」

初めてチャンピオンを打ち負かした時の快感は今でも忘れない。


しかし、そんな私の世界は、ある日突然覆された。


「カーカッカーッカ!どうしたのだ雑魚ザーコ〜」

ある日突然現れた、赤髪の長髪に黒い軍服の女。

「なっなんなんだよ!お前!」

スタイルは抜群、細身で小顔で…筋肉質でゴツい体つき私とは大違いの女らしい女。身長も私より高い、まるでモデルみたい…あんな女になりたい。同じ女として悔しさもあった、自分自身負けずに嫌いだから当然だが、その時はその悔しさよりも…

「はぁ〜」

そのあまりの美しさに、見惚れていた方が強い。

「本管の名は、アルテマ。魔界最強の魔法使いにしてこの世を征服し魔王となる女だぞぉ〜」

なんだか、調子が狂う独特な喋り方の女だが、その見た目や口調に対してその力は圧倒的だった。

弾幕(バラージ)

その魔力は凄まじく、きっと数万はくだらない魔力量を持っているのだろう。魔力量は持続時間と攻撃範囲にも影響するので、この街全域を一瞬で滅ぼすほどの魔力なのだからきっとそうに違いない、私はそう自覚した。


その上で…

(勝てない!)

そうわかった上で…

「うぉーーー!!!」

その足を無理やり前にやって特攻した。

腕型(ガントレット)!」

私の力は、腕型(ガントレット)。腕の周りに出現する超強化グローブ。負けない、絶対負けない、そう、相手が強いならそれを打ち任せば…

「私が、最強だぁーーー!!!」

私がチャンピオンなんだから。

近距離まで近づいて、そうして叫んだ。きっと女の能力は典型的な魔術師タイプ。遠距離主体の戦闘方法。どれだけ隙のない高威力の無数の魔弾だってこの自慢のグローブを越えられない。


そのはずだった…

「近接か…ならば、これでどうかかなぁ〜」

「うっそ…」

そこに現れたのは、巨大な大剣。しかも二本。その全長は平均身長の成人男性二、三人分ほどの大きさを誇っている。なのに…目の前の華奢な女はそれを二本同時に軽々と振って私の腕型(ガントレット)を…

「おらぁー!」

蹴散らす。

「あ…」

もう無理だ、絶対に勝てない。でも、馬鹿な私は負けず嫌いを理由に荒野と化した街の中で、炎が覆うその大地で…

「おぉーーー!!!」

ただひたすらに立ち向かった。


そして、数時間が過ぎた…

「はぁ〜はぁ〜…」

「貴殿、なぜ諦めんかったのだ。わからんのだ、格闘家として数々の猛者たちと対峙した貴殿が、ジャンルは違うとは言えこの本管の実力を張り間違えるのかぁ〜…最初から気づいていたはずだよ、勝てないってことは…それでもなんで立ち上がった?向かっていた?なぜだ、なぜなのだ…」

この発言を聞いて絶対に言えることは、この女はきっと敗北の味を知らないと言うことだ。だからこそ傲慢、顎を高く上げて見下すようなその視線と試すような口調。何より今私が考えてることが彼女の脳内には数分もないと言うことがわ軽く時点で弱者の気持ちを理解できてない。つまりは生まれながらの強者と言うことだ。


この世界では、よくあることだと思う。魔法はそれぞれの人にあった型にとその素量を持ってして生まれるから、才能の差は何より顕著だ。だからこそ、こんな才能最強人間が生まれる。


「なぜって?負けたくないから。」

それでも、絶対諦めないし認めないし歯向かい続ける。

これが私の決意、私の生きた意味で強さを求めた生涯の答え。ここで全てを終えてもいい…逃げるよりはましだ。

「だから!!!」

そんな、カッコつけただけの負けず嫌いな私は、目の前の鋼の壁に無謀にも突っ込み…


三日三晩を戦い抜いて私は生き絶えた…

「いいぞ!貴殿。目覚めたまえよぉ〜」

「うっ…うん」

そこは、城。見たこともないほど大きな城。

「ん?…ここは…」

「ようこそ本管の城、"魔王城・ダークエンブレイス"兼、本館ら秘密結社黒曜会のアジト暗黒次元・ディスペアへ。」

「はい?」

状況が飲み込めなかった。なんで私がこんな訳のわからん薄暗い空間にいるの?てかここどこ?街は?自然は?家族は?どこに行ったの…

「おい!アルテマ。ここはどこだ」

「だから、本管の魔力で生み出した暗黒次元の中だって言ってるのだ。」

「暗黒次元!なんだその厨二臭いネーミングは、つかお前魔界最強の魔法使いとか言ってなかったか?なんで魔界にいない」

「え〜と、その〜…」

そう言った私の言葉に、アルテマは妙に悩んでいると言うか、何かを言いづらそうにしている。

「おい、そこまでしろ。人間…」

聞き慣れない男性の声と共に、私の首の前に銀色の剣が現れる。

「シルバーの兄貴、あんたの剣に人間の穢れた血はにわない。俺がやる、そいつはアルテマ様に無礼を働いたしな。」

背後からは、炎を纏った拳。

「あらあら、男連中は全く女の子よもっと…丁寧に痛ぶらなきゃ…」

鞭を持った女。

「ウホォ、ホッホッホ!!!」

巨大な鉄球を持つ巨漢。

「おいおい、なんだか楽しそうだなぁ〜俺も混ぜろよ」

ウルバリンみたいな爪をローブの下から生やしてこちらに向かってくる不適な笑いを浮かべる男。


私は、こんな時になるまで忘れていた。魔界最強と言うことはアルテマは恐らく悪魔。そしてその配下である彼らもまた…魔族階級(カースト)上位の存在…

そんな化け物達が、私を取り囲んで各々の武器を私に向けた…

「やめろぉーーー!!!」

私が、死すら覚悟したその時、アルテマはその可愛らしい黄色い声で叫んだ。

「全く、なにをしておるか馬鹿者ども。彼女は本管が招き入れた客人であるぞ。」

「お言葉ですが、ボス。こいつは貴方様に無礼を働いた。これは万死に値します。」

「うるさい!うるさい!うるさぁーーーい!!!。本管がいいと言ったらいいのだ。」

「ですが…」

自身らがボスと慕う女のあまりの幼稚な叫びに、部下である者達が混乱している。私的にはなんだか面白い、俗に言うザマァ〜と言う奴だ。

とは言え、私し自身面食らっている。なぜこの私を庇うんだ?よくわからないが取り敢えず話を聞こうと思った。

「おい!貴殿。今日からお前の名は"シロ"。秘密結社黒曜会のメンバーだ。よろしくなのだぞ。シロ。」

「は?なる訳ないだろ、街だって焼かれてんのに…」

「ならないなんて選択肢は無い。その首輪を見てみろ…」

「首輪…」

女の刺した私の首を、ふと確認するそこには…

「な…なんだこれぇーーー!!!」

首輪というか、刺青のようなものが彫られていた。

あたりを見回すと、先ほど自身を襲った化け物達にも同じようなものが存在する。

「そう、それは本管の用いる魔法の一つ契約魔法。本管より下位の存在への強制支配権をその身に刻ませる魔法なのだぁ〜。」

「強制支配権!、それってつまり奴隷ってこと!!!」

「いやいや、そんな酷いもんじゃありゃ〜せんよ。白髪(シラガミ)の嬢ちゃん。」

そう言って暗闇から現れたのは、その暗さとは対処的な黄金の輝きを放つ金色短髪の男、それが私の肩に手を置いて…

「てことで、これからよろしゅ〜頼みまっせぇ〜嬢ちゃん。」

「はっ…はい…」

てか、こんな時あれだが結構タイプだった。

「ふざけるなよ、シン。そんなことは認められない…」

「認められない?そんな言葉意味ねぇーちゅーとんねボケナス。」

「あ"?」

「だってよ、この首にそれが刻まれた時点でわいらの話し合いなんて無駄やろ…それがこの首輪のルール。内部、での争いや仲間割れは即刻首を刎ねて死ぬ。つまり、この子への攻撃はもう既にアルテマ様への反逆を意味してるってことや…わかったか、銀髪(ギンガミ)の坊主…」

「くっ!」

シンと呼ばれる男の言葉に、シルバーと言う青年は悔しそうに引き下がった。


のちに聞いた話だが、この組織はアルテマをボス、シルバーをリーダー、シンを副リーダーとした組織らしい。

しかし、この一連の流れだけ見るとシンのがリーダーに相応しい気もするが、それもそのはずアルテマが幼い時からシンはアルテマの配下だったららしい。

つまり、一番古参と言う訳だ。


そんなことはさておいて、いやいやながらこの組織に入る以外に選択肢の無い私は、彼らと任務をこなすことになる。任務と行くと聞こえはいいが、最終目的があれなので私としては正直気が引ける…

「で、お前達の目的はなんなんだ。」

「世界征服!!!」

「世界征服…」

これをアルテマの口からはじめて聞いた時、なんだそのガキの妄想みたいな話はと思ったが、まぁ〜付き従う運命なのだから任務はこなさねばならない。


幸い、敵は魔族だった。

「へい!」

ちなみに、私の上司はシンが付いた。なんでも、シンバーさんは極度の異種族嫌いらしく、同種族である魔族以外の異種族を酷く嫌悪しているらしい。

人間である私からすれば、シルバーさんは異種族だが、確かに魔族からしたら人間は異種族で嫌悪すべき敵というのも頷ける。

そんなこんなで、なぜか私を気に入っているこのシンと言う男が私を担当してくれている。立場的にも副リーダーで実力もシルバーさんとタメをはるらしいし、シルバーさんと違って愛想があってとっつきやすい。これがモテる男の素養なのかと私は思っている。

「がぁーーー!!!」

そんなことを考えながら、周囲の魔族を腕型(ガントレット)で蹴散らしていると、突然巨大なそれが私を襲う…

「時空列斬!!!」

巨大なそれを一瞬にして真っ二つに切り裂いたのは彼の刀とその能力。

「大丈夫、ケガとか無い?お嬢ちゃん。」

かれの能力は、空間操作と瞬間移動、彼の武器は刀でさっきのは空間内にある一切を切り伏せ時空そのものを切り裂く斬撃。斬撃の仕組みはアルテマの使う魔法で生み出す魔弾を応用して形を変質させたものとのことでおもに中距離主体の技構成となっている。

「ん?どうしたのお嬢ちゃん。返事が無いみたいやけど…」

「あ!悪い。少しボーとしていた。」

「…そっか、ほなよかった。」

他なメンバーはあまり私を歓迎してくれないので、関わりは薄いが、もう一人だけ私を気に入ってくれてる奴がいる。

「あはぁ〜ん、シロちゃーーーん。」

この胸についた無駄な脂肪を揺らしながら、仕事から帰って疲れているこの私に抱きつきその脂肪をの間、俗に言う谷間で私の顔を包むこの女の名はリル・ボォーデン。

「あの、それやめてもらっていいですかリル。」

「なんでよぉ〜軽いスキンシップじゃない。そ・れ・に〜黒曜会二人目の女の子なのよ。あたし長い間女一人だったから嬉しいのおよぉ〜仲良くしましょーね…」

肉付き、スタイル、声に顔面。まるでAV女優、格好も露出が高くて女としてはなんだか…

「ムカつく…」

この二人を除いて、他のメンバーのことはよく知らない。

でも、この女のことはよく知ってる…

「ほらほら、見ろみろみろなのだ!!!」

騒がしく、城の扉を開けた幼声の女はやっぱりこいつ…

「どうしたんすか、アルテマ閣下。」

「ふっふっふ」

この自信満々な態度、嫌な予感しかしない…

「てってっててぇーーー!!!転生機」

なんでドラえもんなんだよ。と掴みたくなる気持ちはわかるが、この女についてツッコミ始めたらキリがないので、置いておく。

「で、それは何ができる機械なんですか。」

女は、最強の魔法使いであり、それと同時に最強の科学者でもある。毎日毎日魔法研究に勤しんでは、訳のわからないものを作って私達に自慢してくる。なんなんだこれは…

「よく聞いてくれたワトチョンくん。」

「ワトチョンではありません、シロです。」

「これはだなぁ〜なんと…なななんとぉ!。」

「はい…」

「最近流行りの転生者を呼び出せるのだぁーーー!!!」

あぁ〜あ、また流行り物に乗っかってるよ。

「そうですか、で!それで何をするんですか…」

「え…」

「はい?」

まさか…

「考えてにゃい」

「シャッターファック」

思わず汚い言葉が漏れてしまったが、とにかくこのなんでもかんでも発明しやがる赤いドラえもんことミニドラが束ねるこの組織の規模どんどん広がっていった。

「きゃぁーーー!!!」

そのうち、魔族相手の戦いは人間世界にすら及び。そして今、かつての私の如く街を襲っている真っ最中である。

ん?どうしてそんなことができるのかって?自分もされて復讐すら誓ったこんな嫌悪すべき行為をなぜ躊躇いなくできるのか…


「それは…」


私にもわからない。

そんなある日の出来事だった…

「おい、起きろメッシュ。新人を初回しに来てやったでぇ〜」

連れてこられたのは魔界の牢獄、俗に言う地獄と言う場所だ。

ここにかつてのメンバーが捕まっているらしい…シンによると、そいつはかなりの変わり者で赤い包帯をぐるぐるに巻いて大鎌を持ち、髑髏の仮面を被った死神のような男だったと言う。


そしてこうも言われた…

「あ、そうやった。」

急に止まるからシンの背中に顔をぶつけてしまった。

「なんだよ、急に…」

「あいつに近づくなよ。」

「なぜ…」

「危ねぇーからや…」

「危ない?」

人間も魔族すら恐れる恐怖の軍勢の副リーダーが何を言っていると思いつつ話を聞く。

「あいつは別格だ…俺らの中でもな…」

私はその時、あまりの言葉に固唾を飲んで震えていた。

そしてそんな存在との対面は今…

「初めまして…ジャックリーン…」

((!))

その場にいて驚愕した。なんとその男は、初対面にして、牢獄にいて知るはずのない私の名前を呼んだのだ…

「どうして…私の名前を…」

「ふぅ〜そりゃぁ〜書いてあるからさ…あんたの顔にねぇ〜…デッカく…」

顔に…

「おい、メッシュ。あんまり新人をビビらせたらあかんでぇ〜。こいつはなぁ〜テレパシーとマインドコントロールの能力を持っとるさかい、あんたの頭ん中読んだのさ。」

「あぁ〜なるほど…」

なんか…ここまでくるとなんでもありだなと思った。今日この頃…

「今日は遠いところから態々…お疲れでしょ〜どうです?席にお座りになられては…」

「ん…はっはい!」

「クックック…元気なお嬢さんだ…」

やっぱり、なんだか不思議で不気味な雰囲気はその能力の正体がわかっても消えるどころかましている。

「ほな、座らせてもらいましょか」

そう言って席に着く…

「クックック…」

しかし、その不適切な笑いが座るとさらにまじまじと目の前の恐怖を煽る。

「で、本日の本題は、まさか新人紹介だけのために宇宙一厳重な地獄の警備を超えて来たわけでもあるまい…」

「そうやなぁ〜強いて言うなら〜…」

その時、面会室の扉が開いた。本来開かないはずの面会者と囚人を阻むその扉が…

「これはこれは…」

「あんたの身柄はこっちのもんや。苦労したんやでぇ〜色々と根回しして…やっとのこと世界征服の第一段階を終えることができた…それは…」

「魔界の支配…魔王か…」

「そう、アルテマは魔王になったんだ。わいらの世界征服は魔界を超え今や人間界にすら手を伸ばし始めた…そこでお前が必要だ。お前のテレパシーと…マインドコントロールがな…」

「なるほど…」

二人は計画の話しをし始めた。私はその手の話にはあまり積極的では無いし、そもそもこの行為そのものに消極的なので黙って横で聞き流していた。

(「お嬢さん…」)

聞こえてきたのは、今目の前でシンと話している男の声…

(「お嬢さん、聞こえているかな?」)

しかもその声は耳ではなく…

(頭の中に直接…)

(「そうですね、(ヤツガレ)の能力テレパシーによる強制念話です。」)

(強制…)

なんで迷惑な能力だ、と私は思った。だってつまり、この能力を持つ奴はところ構わずいつでもどこでも頭の中に声を通して勝手に話し出す。メールのように既読スルーもできなきゃ無視するにも頭に直接情報が入ってくるこの感覚には耐えられない。確かに別格、嫌がらせと言う意味では…

(で、何なの?)

(「と言いますと?」)

(とぼけんないで、こんな悪趣味な方法で無理矢理話しかけてきたんだから、何か裏があるんでしょ!)

私がそう言うと、男は不適な笑いを私の脳裏に響かせてこう続けた…


(「単刀直入に言います。あなたは今、"アルテマのマインドコントロールかにいます…"」)

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