プロローグ
これは……、
歴史上究極のトリックスター、イエス・キリストが誕生してからかれこれ3000年程の時が流れた辺りの話、
地球は大抵の奴らの予想通り欲にまみれた高説大好き政治家や金を愛ですぎて札束の風呂に入る起業家、偏屈な理想や信念を掲げたマチズム気取りのファッキン野郎どものわがままと欲で滅亡にリーチをかけていた。
環境は荒れ果て、地表は土と硝煙と血の臭いで覆い尽くされ制御もきかず同種であろうが食い物にしか見えないクレイジーな生物兵器が新鮮な血肉を求めて日夜蔓延り、世に溢れかえるのはどこを見ても血、血、血。
燃え上がる火の色で空すらも赤く染め上げられ、瓦礫に溢れた地表には悶える人の山。
そこには大人だろうが子供だろうが、怪我してようが泣き叫ぼうが差別するものは何もなくある意味究極の平等の下、地獄の血釜の底にでも突き落とされたかのようなその光景は終末を彩るにもやり過ぎな位に残酷な無慈悲に満ち、
それを直にみた人々は皮肉な事にこの状況をもってして遂に神の存在を認識したという。
重なりに重なった不運と不幸と不条理の連続は従来の確率論など、テメェ等が勝手に作ったものだろ?と、言って憚らない勢いで世界を蹂躙しそれこそ神の力でも使わなければ無理だろうという程の救いの無さと必然を引っさげてこの地獄の裁きのような状況を作り上げた。
さて、はたしてここが現世の地獄ならば、誰が裁かれるべきなのか?
地球人類74億人を道連れに閻魔帳に名前を記された断罪の剣で刺し貫かれて死ぬはずの裁かれるべき諸悪の根元。
誰もが被害者の世に置いて唯一の加害者共。誰もが皆、その人間達の無残な死に様を思い描いて死んでいったが、
しかし、
その悪共は自分達が垂れたクソの始末もしないまま夜逃げのような質の悪さで用意しておいた移民船に乗り込むとさっさと星の海へと脱出し、乗り切れずに置いてけぼりにされた奴らは奴らで地下に巨大な隔離施設を作り上げると堅く扉を閉ざし、出てくる事はなかった。
果たして裁く相手も無くした閻魔の剣はそれでも暴れ回り文明は消え去り、歴史は一度そこでリセットされる事になる。