ウサギの見る夢は
「箱を出ると、そこはパラダイスだった」
僕はウサギのぬいぐるみ。今、僕は猛烈に感動している。ここはパラダイスなのかな?床一面に干し草が敷かれている。いい匂いだ。いきなり箱に押し込まれて、捨ててしまわれるのかと不安だった。だがしかし…
「やっぱり畳、最高〜」
流石です。御主人様。やはり干し草ですよね?ラディッシュなどの野菜も好きだけれど。
「ぴーちゃん、箱、窮屈だったよね」
なっちゃんは僕をギュッと抱きしめる。もっと小さかった頃はお出かけの時もいつも一緒だったけど、今はなっちゃんの部屋の中だけ。ちょっと寂しい。
畳という干し草の上でゴロゴロしながら僕は干し草をハムハムと頬張る夢を見る。
追いかけてくる人間もいない、ミートパイにされる危険もない幸せな世界。