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鉄腕ラリアット 第二部・咆哮篇  作者: 鳩野高嗣
第十七章 中間テストに潜む魔物
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中間テストに潜む魔物【Eパート】

「おっしゃ――っ、終わった――っ!」


 中間テストの終わりを告げるチャイムが鳴ると、直実(なをみ)は歓喜の声を上げた。

 苦手科目の答案用紙の数々が走馬灯のように駆け巡る。


「どうだった、手応えは?」


 声を掛けたのは明美だ。


「赤点は免れたっていう手応えならあるよ!

 『我が答案用紙に一片の悔いなし』って感じかな!」


 直実が元気いっぱいに答えた。


「私も古文と英語は助かったよぉ。

 二人とも、ありがとうねぇ。」


 史香の癒しヴォイスにほんわかする直実と明美。

 文字面で読んだらイラッとくる人もいるかもしれないが、(ゆえ)に声の力は偉大だと言わざるを得ない。


「今日までは部活、休みでしょう?

 みんなでどこか行かない?

 奈留ちゃんとユッコも誘ってさぁ!」


「うん、いいね! 行こ行こ!」


「はい、私も賛成~。」


 明美の提案に直実も史香も賛成した。


 ● ● ●


「これはどういう事なんだ、説明してもらおうか。」


 その頃、太刀川(たちかわ)が教員室に呼ばれ担任の小倉(おぐら)から絞られていた。


「そ、それは偶然なんじゃないっスか。」


 太刀川の目が泳ぐ。


「お前の斜め前の席の千島(ちしま)千絵(ちえ)と一問(たが)わず同じ答えって事があるか!?

 片や偏差値の高い市内の女子高、合格間違いなしの才媛(さいえん)

 片や赤点常習犯のお前だぞ!」


「うっ‥‥。」


 太刀川の全身から嫌な汗が(にじ)み出てくる。


「や、やだなぁ‥‥。

 この俺だって勉強する気になりゃあ‥‥。」


 必死だ。

 そんな太刀川に小倉はため息を一つ()く。


「素直にカンニングを認めれば追試だけで見逃してやろう。

 だが、シラを切った上でカンニングだった場合、今後の部活動は一切禁止だ!」


 小倉の言葉に太刀川は(つい)にその膝を折った。


「すいません、俺がやりました。」


「千島は加担した憶えはないそうだが、一体、どうやって答えを写したんだ?」


「まず、手でこう庇を作ってですね、自分の目が見周りの先生から見えないようにするんスよ。

 で、標的の腕から脇の隙間っから見えた答えを写す訳で‥‥。

 でも、俺の動体視力と2.0(にぃてんゼロ)の視力がないとまず不可能です!」


「何を自慢げに言っとるか、このうつけ(もん)が!」



 太刀川の不祥事(ふしょうじ)はたちどころに三浦の耳に入る事となった。


「馬鹿たれが‥‥。」


 四番抜きで地区大会に臨まなければならなくなった緊急事態に、さすがの三浦も頭を抱えた。

感想、評価、ブクマを付けてくださっている方々、誠にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まさかの展開ですね。カンニング……この先の展開が気になります。
[良い点] サブタイトルにある魔物の意味が最後にわかりました。
[良い点] 野球以外となるとダメダメな太刀川くんが面白いです。 「俺がやりました。」って犯人の自白っぽいあたりが特に。 [一言] 三浦先生の心中、お察しします。
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