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鉄腕ラリアット 第二部・咆哮篇  作者: 鳩野高嗣
第四十六章 負けられない理由・後篇
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負けられない理由・後篇【Bパート】

 コン!


 続く五番・福原(ふくはら)志郎(しろう)が二球目を送りバント。


「鷹ノ目さん、ファースト!」


 バントを処理した直実(なをみ)羽野(はの)は指示を出す。

 鉄腕ラリアットなら二塁に走る那須を刺せるかもしれないとも思ったが、岡田がそれを捕れない可能性があるという一瞬の判断だった。


「アウト!」


 これで一死(ワンアウト)二塁。


 続く六番・福原(ふくはら)悟郎(ごろう)も送りバントをきっちり決めて二死(ツーアウト)三塁。


「リュウさん、頼みます!」


 福原弟が打席に向かう滝田(たきた)に声を掛ける。


「責任重大だな、おい。」


 滝田は半笑いを浮かべながら、走り去る福原弟につぶやく。



(ワン・タン・メン!)


 キ――ン!


 二球空振りの後、滝田も那須と同様に球にバットをおっつけた。

 高く上がったフライを追う二塁手(セカンド)の岡田と右翼手(ライト)の竹之内。

 が、次の瞬間、


 ドガッ!


 両者は激突。

 球は岡田のグローブに収まったものの、転倒した際、左腕を庇ったせいで右腕を変な方向に捻ってしまった。


「大丈夫か、岡田!?」


「ああ、ボールはこの通りだよ、竹之内。」


()げーよ、お前の右手の事だよ!」


「大丈‥‥あぐっ!」


 岡田は脂汗(あぶらあせ)を流しながら立ち上がった。



 ベンチに戻った岡田は希望(のぞみ)に連れられ医務室へ向かった。


「それにしても、怪我人の多いチームだよな、宮中ってよ。」


 太刀川が愚痴る。


「なに、その言い方。

 それだけハッスルプレーしてるって事でしょ!」


 直実が言い返す。


「球で転んで記憶喪失もハッスルプレーかよ?」


「あ、あれは‥‥。」


「あれは事故ですよ、太刀川さん。」


 この回の先頭打者の羽野が憮然とした口調で言い放つと、特注品のヘルメットを被り、打席に向かった。


「なんだ、アイツ?」


 太刀川が不服そうに吐き捨てる。


「案外、ヤキモチだったりしてな。

 タッグパートナーを取られた気がしてよ。」


 金森がニマッと笑って茶化した。



「ふうむ‥‥どうもスコアラーの集めた情報が古いみたいだね。」


 戸福寺(とふくじ)が羽野のデータを見ながらつぶやいた。


「そんなに違うのですか?」


 マネージャーの宗晴(むねはる)房子(ふさこ)(たず)ねた。


「思い切りの悪さと身体(からだ)の硬さがウィークポイントとあるけど、一打席目を見た限り、そうは感じなかった。

 取り敢えず、この打席はリュウに任せよう。」


 そう言うと戸福寺はブロックサインをバッテリーに送った。


(確かに俺もこいつのデータは違うと思った。

 ――なら!)


 滝田(たきた)は内角に構えていたミットを外角低めに移した。


 初球、外角低めに入る百二十キロのカーブを羽野は見逃した。


(アウトローのカーブ?

 てっきり内角攻めをまたしてくるもんだと思ってたけど‥‥。)


 羽野はバットを握り直す。


(もう一球!)


 滝田は次も外角低めにミットを構える。


(なんとなく八幡(やはた)武蔵(むさし)さんのリードに近いな。

 だとすると‥‥)


 羽野はふと一塁側のベンチをチラ見した。

 そこには土肥(どい)が『アウトローのカーブの可能性が高い』というサインを送っていた。


(土肥さんもそう感じていたのか。)


 羽野はそこにヤマを張った。

 そして二球目、予測は当たる。


 カキ―――ン!


 羽野の打球はライト前に落ちる。

 通常なら安打(ヒット)だが、そこにはこの男が待っていた。


南無八幡大菩薩なむはちまんだいぼさつ!」


 矢‥‥いや、『光の矢』と言った方が正しいかもしれない。

 それが那須から一塁手(ファースト)の福原兄に放たれた。


「アウト!」


 ただでさえ鈍足の羽野は今日、チーム二本目のライトゴロを献上した。



(ああ、ライトへ打たせる為の配球だったのか‥‥。

 まだまだ甘いな、俺‥‥。)


 羽野はベンチに戻りながら土肥が何を言いたかったのかをやっと理解した。


「鈍足はどうしようもないが、バットコントロールがお前の次の課題だ。」


 三浦は戻ってきた羽野に次の課題を伝えた。


「はい。」



 続く和田は三球目のど真ん中のストレートを詰まらせてサードゴロ。

 八番の竹之内(たけのうち)はセンター前に打ち返して出塁するものの、九番の直実がショートゴロを打ち、竹之内がフォースアウトを取られ、チェンジとなった。

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