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鉄腕ラリアット 第二部・咆哮篇  作者: 鳩野高嗣
第四十一章 期末テストを乗り切れ
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期末テストを乗り切れ【Fパート】

 ボウリングのチーム編成は以下のようになった。

 山吹(やまぶき)明美(あけみ)新井(あらい)(しゅん)チーム

 桐原(きりはら)史香(ふみか)多々良(たたら)信也(しんや)チーム

 門倉(かどくら)奈留(なる)和田(わだ)純平(じゅんぺい)チーム

 神長(かみなが)裕子(ゆうこ)佐川(さがわ)哲也(てつや)チーム

 鷹ノ目(たかのめ)直実(なをみ)羽野(はの)敦盛(あつもり)チーム


 テレレッタラ―♪


 前のゲームの勢いそのまんまで明美がいきなりストライクを出した。


「山吹さん、綺麗なフォームだね。」


 新井がこれ見よがしに褒めた。


「ボウリング世代の両親に鍛えられたからねぇ。

 ざっとこんなもんよ!」


 明美はガッツポーズを取った後、新井とハイタッチを交わした。


「なら、俺も!」


 新井も負けじとストライク。

 チーム編成に偏りがあった事が初っ端から露呈された形となった。


 続く史香と多々良はマイペースにスコアを稼ぐ。

 奈留と和田は無難にスコアを取る。

 裕子と佐川はスプリットに悩まされながらも堅実にスコアを取る。

 そして直実と羽野は、


「うおおおおおっ!」


 直実が力任せに転がした16ポンドのボールはガターに。


「そんな力いっぱい投げない方が上手く転がるんじゃないかな。」


 羽野がアドバイスを送る。


「そうなの?」


「たぶん。

 それに、もっと軽いボールの方が鷹ノ目さんの指にフィットするんじゃない?」


「ああ、なんか穴が大きくて、すっぽ抜けるなって感じてたんだよね。

 うん、ちょっと穴で選んでくるよ。」


 パカーン!


 コントロール無視の力任せな投げ方は変わらないが、左側の三本を倒す事が出来た。


「やったよ、羽野くん! 三本も倒れてくれた!」


「その調子でスコアを伸ばしていこう。」


 続く羽野は助走をつけずにアプローチのギリギリに立ち、その場から腕だけで転がす。

 だが、それは直実のパワーボールに匹敵するスピードを出した。


 パカーン!


 しかし、結果は左右二本ずつ残すスプリット。

 羽野は続く二頭目、左の一本しか倒す事が出来ず三本残し。

 パワーペアはのっけから大きく出遅れた。


 ● ● ●


「やっりぃ!」


 明美はこのゲーム二度目のターキーに全身で喜びを表した。


「すごいすごい。

 俺も負けてらんないな。」


 パカーン!


 新井も続けてストライクを取る。

 もはや、このコンビに太刀打ち出来るペアはおらず独走状態となった。


「新井くんもやるねぇ。」


「ははは、マグレマグレ。」


 余裕の談笑をする二人を見て和田が奈留に耳打ちする。


「なんか、あの二人、いい雰囲気じゃないですか?」


「まあ、アケはコミュニケーション能力高いからね、誰とでも仲良くなれるんだよ。

 心配なのはあのパートナーくん。

 本気になんなきゃいいんだけど。」


 本気で心配する奈留。


「‥‥なるほど。

 あいつ、そういう免疫力なさそうだからなぁ。」


 和田も心配になってきた。



 スタミナが切れ、史香のスコアが落ちてきたのとは逆に、地味に追い上げてきたのは裕子ペアだ。

 今や熾烈(しれつ)な二位争いが熱い展開となっていた。


 パカーン!


「だんだんストライクを取るコツがつかめてきたよ!」


 喜ぶ裕子は佐川とハイタッチを交わす。


「敵わないなぁ、神長さんには。」


 佐川が後頭部を左手で掻きながら言った。



 追い上げムードの二人を見て再び和田が奈留に耳打ちする。


「あの二人も距離が縮まってきたように見えますね。」


 しかし、奈留は首を横に振る。


「裕子ちゃん、片想い中の人いるし、まずムリだねぇ。」


「うーん‥‥奥が深い。」



 パッカ――――ン!


 直実の剛球が全てのピンを薙ぎ倒した。


「見た見た!? ついにストライクだよ!」


「いやいや、隣りのレーンじゃないか。

 あれはストライクとは言えないよ。

 取り敢えず、隣りの人に謝ってから投げ直しだね。」


「ちぇー。」


 パワーコンビの一連の流れは隣りのレーンの人も巻き込んで爆笑を生み出した。

 そして三度、和田が耳打ちする。


「あの二人は甘いムードにはなりそうもないですね。

 普段バッテリーを組んでいますが、恋愛には発展しそうもない気が。」


「そうかなぁ?

 私的には自然体でいい雰囲気だと思うけど?

 まあ、たしかに甘いムードってのはムリそうだけどね。」


「う~~ん‥‥奥が深い。」


 ● ● ●


 結果は、明美&新井ペアがぶっちぎりの一位。

 熾烈な二位争いを制したのは裕子&佐川ペア。

 三位は奈留&和田ペア。

 四位は史香&多々良ペア。

 そしてダントツの最下位が直実&羽野ペアだった。


「あうう、最下位かぁ‥‥。」


 頭を抱える直実。


「気を落としなさんな、ナココさんよぉ。

 楽しかったし、いいじゃん!」


 勝者の余裕とも取れる笑みを浮かべ、明美がナココの肩に手を回す。


「じゃあ、次、アレをやろ!」


 直実が指さした先には古めのパンチングマシンがあった。


「却下!」


 直実の提案は即刻、女子全員に拒否られた。

感想、評価、ブクマを付けてくださっている方々、本当にありがとうございます。

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[良い点] 負けず嫌いな直実の性格が出るオチに爆笑しました。
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