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チートな俺の異世界生活  作者: 響神奈
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4話 チートな俺と金髪少女

 健太が待つと言ってから10分近くたった。意識が戻ったのか、キカは目を開ける。


 そこに写ったのは森の木々そして、自分の視界をさえぎる無造作にはえた草。


 止まっていた頭の中の歯車が動き出したからのように、徐々に思考回路が治っていく。


「私は確か一人でクエストに行ったんですよね? それで、ゴブリンに…」


そして、重要なことに気づく。


「ゴブリン!!!」


 反射的に起き上がり、腰にある短剣を抜くキカ。 そして、健太達は今のキカの声で起きたことに気づいたのか、四人ほとんど同時にキカの方を向いた。


「やっと起きたようだな金髪」


 ぴくっとキカの肩が動く。


(だ、誰!?)


 キカも健太達のほうを向く。


(あ、あれ? 姿的にゴブリンには見えない…というか人間ですよね)


 健太はレイの方を向き立ち上がらないのを確認すると立ち上がり、キカのところまで歩いていく。


(健太さんはきっとあの一瞬で僕に行くのか行かないのかを聞いてきたのだと思う。行きたいのはやまやまなのだけど、足が動かない)


「どうも はじめまして。俺はお前をゴブリンから救った一人の健太だ。 もう一人はそこに座ってるレイだ。 まぁよろしくな金髪」


(こ、この健太さんととレイ…あ! あの時の赤髪の!やっぱりゴブリンには襲われてたのですね)


「あ、ありがとうございます! その…見ず知らずの私を助けていただいて! あの、本当にありがとうございます!」


「いや、構わんさ。男として当たり前のことをしたまでだ」


「えっと私はキカです。 その…よろしくですケンタさん」


「おう」


 そして訪れる沈黙。健太は前の世界では友達が一人もいなかったため会話が続けられないのだ。


 そしてキカも会話はあまり得意なほうではない。 結果的にこうなってしまう。


「すまん、人とはあまり話さなくてな。とりあえず」


 健太は豚男達のほうを向く。


「お前らちょっとこい」


 豚男達は頷き健太のところまで歩いてくる。


「よし、土下座だ。 やりかたはわかるか?」


「いや、知らん」


「自分も知らないっす」


(この世界にはないのか…それともこいつら魔物が知らないだけか…まぁどちらでもいいか)


「まずこうするんだ」


 といって健太は正座する。それに真似て豚男達も正座する。


「そして顔を下げて、手を丁度いい感じにそえるんだ」


(いや、丁度いい感じってなんだ)


「あと、その時に心をこめて謝るんだ声にだしてな」


(人間しかも、女に頭下げなきゃいけねぇとは、まぁしかたないか。 こいつの眷族にもなっちまったしな)


「わかった。 やるぞ後輩」


「わかったす。 先輩」


(だが、実際にやるとなるとどうしてもあと一歩前にいかない俺のプライドが女に頭を下げることを許さない)


「どうした早く謝れ」


「クッ…」


「ご、ごめん…なさい」


 豚男は土下座をした。 歯をくいしばりながらキカに謝った。


「ごめんなさい。 金髪の女」


 高太も豚男を真似て土下座する。こちらはあまり悔しそうではなかった。おそらく今こうして人間に謝っているよりも、豚男が人間それも女に謝っているこの現状のほうがよっぽど悔しいだろう。


「許したくない気持ちもわかるが、許してやってはくれないだろうか? 」


(こいつらがゴブリン…いや人間に見えるですが)


「あ、あのこの人達がゴブリンなのですか?」


「あ、こいつらは今はもう俺の眷族なんだ」


「な!?」


 豚男が顔をあげようとすると。


「まだ、許してもらってないだろ。許してもらうまではさげてろ」


「了解」


「ゴブリンを眷族とは…まあいいです…許すかどうかは…」


キカは二人のほうを見る。


(…何もされてはいませんし、いいのですがね)


「わかりました。 お二人のことを許しましょう」


(チッ…女のくせに上から目線で話しやがって)


「よし、頭あげていいぞ」


 豚男達は顔を上げる。


「おい レイ。こっちこい」


 健太がそう言うと、レイは立ち上がり健太のところにくる。


「な、何でしょうか」


「キカのことは任せた。 俺はこいつらと町に向かうお前らは少しゆっくりしてから来い。また会えたらその時はよろしくな。剣の分はいずれ返す」


「いえいえ、命を助けてもらったのはこちらですし、気にしないでください。 今回は本当にありがとうございました。 また会いましょう」


健太のほうを向いたそのままそう言った。

レイはまだキカのほうを向いていない。


「えっと、改めてお礼がしたいので冒険者ギルドに来てくれませんか?」


「了解した。 あと、町はどっちにある?」


「町ならあっちです」


 キカは町の方向を人差し指で教える。


「うむ、じゃあな」


 そう言って健太達は町の方向に歩みだす。健太がある程度の距離まで歩いたのを確認したあと、レイはキカの方を向き口を開いた。


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