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12.天国でも授業はある

 不慮の事故で死んだ俺、高ヶ坂拝人は天国に送られた。大学に行けば転生できることを知った俺は、天国大学転生学部を受験してなんとか合格することができた。AからDまであるクラスの中でZという明らかにヤバそうなところの所属となったが、それでも良き仲間に巡り会い、心機一転ここで転生を目指すことになったのだった……。





 12.天国でも授業はある





 盛大に俺の歓迎会が行われた翌日、寮から程近い場所にある転生学部棟。その1階にある教室にて、俺は先生と二人きり向かい合っていた。


 高校のそれよりやや広い教室。電気をつけないと、少し薄暗い感じだ。もっと広い教室はあるらしいがそこはAからDが使用するみたいで、Zはここがちょうどいいとのこと。


「さて、まあ今日はゲームで言うチュートリアルみたいなもんだ。気楽に聞いてくれればいい」


 そう言った先生は座ったままだらけた姿勢で教卓に肘をついている。あんたがそんなんじゃ、こっちも集中しようがないってもんだ……。まあ変に堅苦しいよりはいいか。


「じゃあ、仰る通りに。まず最初に、ずっと気になってたんですけど、Zって何なんですか?」


 入学前からずっと気になっていた。EからYはないのにZはあるなんて、明らかに何らかの良くない事情があるんじゃないのか?


「それじゃ、そこから話すとするか。お前、うちにもう一人メンバーがいることは知ってるか?」


 ほんの少し先生は背筋を伸ばした。もう一人のメンバー……謹慎中だって一乃先輩が言ってたな。俺は「はい」と答えた。


「ま、言うとしたら一乃くらいか。クラスZは、もともとそのメンバーのために新設されたクラスなんだよ。そいつは以前はAにいたんだが、いろいろあって退学になりかけてな。けどそいつは、天国の歴史上先例がないほどの天才だった。そこで、お偉いさんたちの寛大な判断で、そいつのためだけに新たなクラスとしてZが新設されたってわけだ」


 退学……例を見ないほどの天才……一体何をやらかしたんだろうか。まあそこはあまり聞かない方がいいのかもしれない。で、そんな左遷先みたいなところにどうして俺が?


「教師だったけどろくに仕事がなかった俺が担当に選ばれた。まあそいつに教えることなんか何もなかったし、そもそも謹慎処分になっちまったからな。というわけで実質的に機能してなかったわけだが、ちょうど1年前くらいに一乃が来てから事態は変わった。一乃は狙っても取れないくらい悪い点数だったんだけどよ、面接担当した俺はなんかこいつにはあるって思ったんだ。上もそれを感じたのかは知らないけど、Zへの入学が決まったってわけだ」


 そんなふわっとした感じで合格決めちゃっていいのか……?先輩が来るまで機能してなかったってことは、先生はそれまでずっと仕事がなかったんだろうな……。


「先輩が来てから何か変わったんですか?」


 俺は食い気味でそう聞いた。先生も熱が入ったのか、ついに立ち上がった。


「上層部や他クラスの関係者が扱いに困るようなやつがうちに来るようになった。ゴロウがいい例だな。俺は面白いと思ったけど、他はどこも嫌だってな。俺が面接して『他クラスじゃ埋もれてしまいそう』と感じた奴、遥や誠斗も俺がZに引き入れた。あとはアクスやお前みたいな単純に成績が悪かった奴だな」


 ちょいちょい!単純に成績が悪いって!!Zは成績不振者がお情けで送られる場所なのか!!?


「そ、そんなに俺の成績悪かったんですか……?」


 軽いショックを受けながら恐る恐る先生にそう尋ねると、先生は豪快にハハハと笑いだした。


「ッハハハ!冗談だよ!実際はそんなに単純に決めてるわけじゃない。上からの指示や意見もないことはないんだけど、基本的には面白そうなメンバーを俺が独断と偏見で選んでるだけだ。ただ、遅刻があった分だけお前の成績はそこそこ危なかったぞ?」


 やっぱり遅刻は少なからず影響してたみたいだな……。ていうか、合格基準が独断と偏見でいいのか……?


「何にせよ合格できたんで良かったですけど……ぶっちゃけ、俺が合格した理由って何だったんですか?」


 ここまで聞いてしまったら自分がなぜ合格したのかも気になってしまい、つい聞いてしまった。さすがに答えてくれないかと思ったが、先生は気兼ねなく回答してくれた。


「ポテンシャル。その一言に尽きるな。正直、お前は俺が見てきたZのメンバーの中で一番まともだった。面接の時も初めは何も感じなかったしCかDかなと思ってんだよ。けど、探っていくうちにお前の中にある生魂の凄まじいポテンシャル、潜在能力を感じた。お前の中の可能性を確かめるために、俺はZに入れようと決めたんだ」


 俺の瞳をしっかり捉えて話す先生に、俺は少々胸を熱くしていた。この天国で俺にできることは何なのか、実は前から模索していた。バイトをしたり受験勉強に励んだりする中で、自分の得手不得手を探してみたりしていた。だけど、イマイチ自分の中で自分を理解しきれなかった。でも……。


「ん?どうした?」


 先生は不思議に思いながらも微笑んでいた。つられて俺も少し笑いながら「いえ」と答える。


「ちょっと嬉しくて。天国に来てからあまり自分に自信を持てなかったんです。けど、やっと自分だけの『モノ』を見つけたような気がします。……まあ、その『モノ』がどういうものなのかまだよくわかってないですけどね」


 恥ずかしげもなくペラペラと自分の気持ちを話すと、先生はふいに教卓の前に来て笑顔で俺の頭を撫でた。な、何だ急に……めちゃめちゃ照れくさいぞ……。


「そういう自分の気持ちを正直に言えるとこも、お前をうちに入れた理由のひとつだ。普通言わないぞ?面接で好きなタイプなんてよ。まあ、それがあんな特殊なものとは思わなかったけどな」


 くっ……褒められて浮かれてたら……。先生は「それも個性だよなー」としみじみしてらっしゃる。ごっ、誤解だ!!いや、本当に言った以上誤解もクソもないけど、とにかく誤解だ!!


「あっ、あれは咄嗟に出た嘘ですよ!何か言わなきゃと思って……」


 慌ただしく弁解しても「またまたー」と細い目をされて一向に聞いてもらえない。このままじゃ「誠実だけど女の子の趣味は悪い」みたいになるじゃないか!!ちゃんと話を聞いてくれぇぇぇぇぇぇッ!!!

遅くなりました。

今回からしばらくは授業回です。先生と拝人がどうしても中心となりますが、前回登場の新キャラたちもちょくちょく挟めればいいかなと思ってます。

300PV突破です。今まで読んでくださった方々、ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします。

次回は1週間以内には更新するつもりです。それでは。

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