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第9話 説教、解放

案の定というかなんというか姉の魔法は母親にバレバレであり、母親にしっかりと説教されている。

普段ニコニコしていてゆったりふわふわな雰囲気の母親だったが、部屋が濡れているのをみて何をしたのか悟ったらしく、表情を変えないまま凄みを出すというなんとも器用なことをしていた。


というか、めっちゃ怖いです。笑顔なのに目が笑ってないというか、怒ってますオーラがすごいというか、近寄りたくない雰囲気が出ていてなんとかこの場所から逃げたい。ここ俺の部屋だけど。

姉はその怖さを向けられているので最早泣きそうです。

でも、せっかく魔法を教えてくれているのだ。なんとか姉は味方にしておきたい。

俺は勇気を出して二人に近付くことにした。



「ねぇ、マーレ?どうしてヒーゼルの部屋で魔法を使ったのかしら?ヒーゼルはまだまだ赤ちゃんなんだから危険なことくらいはわかるわよね?」


「えっと、あの、あのね、ママ。ヒーゼル、魔力がキレイだから、まほーが使えるかなって。だからね?」


「もしそれで魔力の制御ができなくて使いすぎたらどうなるんだった?経験したことあるからわかるわよね?どうなったか思い出してみなさい?」


「うぅ...ふらふらになって、頭がぼーっとして、それで、その、そのままパタンって倒れました。でもでも、ちゃんとヒーゼルが倒れないようにちゃんと抱き締めてたもん!」



どうやら抱き締められてたのは、お手本を近くで見せるためではなく、倒れても大丈夫なようにしていたらしい。

というか倒れる可能性があったなら最初に説明して欲しかったよお姉ちゃん...


「そういうことじゃないでしょう?倒れないように管理と監視が出来る状況で使うものよね?それより、ヒーゼルが倒れても大丈夫なようにってことは、マーレが魔法を使って見せていただけでなく、ヒーゼルにもさせようとしたってこと?」


姉の不用意な一言で母親の凄みが増した気がした。心なしか部屋の温度が下がったような気がするがきっと気のせいだろう。

お姉ちゃんもうぷるぷる震えてるよ。


「ママ、あのねー、まほー、すごくて、楽しい、かった、よー!」


なんとか姉から意識を外してあげようと勇気を出して母親に話しかける。

母親も意表をつかれたのか、今までの雰囲気を霧散させてこちらをみた。


「あらあら、ヒーゼルは魔法が楽しかったのね。疲れてない?大丈夫?」


「大丈夫!もっとたくさんまほーつかいたい!」


「んー、でもねぇ、うちだと危ないし魔法が使えるのがマーレしか居ないから...どうしようかしら。」


どうやらお説教の空気からは逃れられたようだ。姉も心なしか顔色が良くなっている。

さっきまでの恐怖で少し潤んでいた目でこちらにすがるように見てくるのが少し可愛いなと思いながらも、視線は母親からそらさない。


「ママ、まほー、ダメ?」


軽く首を傾けながら聞いてみる。できればもっと練習したいなぁと思いながら、やりたいという気持ちで少しキラキラした目で母親を見つめる。


「んー、そうねぇ。私とマーレの両方がいるときに、お外でなら良いわよ?でも、絶対に無理はしないって約束できる?」


「できるー!」


「じゃあ、明日庭でやってみましょう。マーレも良いわね?」


「ゥハイッ!わかりました!」


気を抜いていたのか少し変な音が最初に聞こえたが、姉も返事をしてお開きになった。

そのまま母親は食事を作りに部屋から出ていき、姿が見えなくなった辺りで姉がへたりこんだ。

放っておくのも可哀想なので、近寄ることにする。


「怖かったぁ...ヒーゼル、ありがとぅぅ」

そのまま姉に抱き寄せられた。そのままにしておいても良いのだが、せっかくなので少し抱き締め返すことにした。

といっても、体格差を考えるとしがみついているように見えるのだろうが。

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