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第6話 立った、訓練

生まれてから10ヵ月程たった。一月前くらいには足にしっかりと力が乗る感じがしたのでよたよたと壁に捕まってみたらなんとか立つことができるようになっていた。

たまたまその場にいた姉は我がことのように喜んでくれたようで、笑顔で頭を撫でてくれた。

でもお姉さん、ちょっと力を加減してください。頭が振り回されて軽く痛いしちょっと酔いそうだったよ。


そんな姉の歓喜の声が聞こえたのか、母親もその後に部屋の中へと入ってきた。

姉にもみくちゃにされていたため俺はへたりこんでいたが、姉が説明したのだろう。話を聞いて母親もすごく喜んでくれていた。


そして現在、俺はつかまり立ちから壁伝いに歩こうと努力をしている。

普通に歩けるときにはなにも気にせずできた動作が、赤子である今はものすごく困難なことに感じるのは筋力不足なのか、はたまたなれてないからであろうか。

もしくは頭が重くて重心のバランスがとれていないからかもしれない。


それでも毎日何度も繰り返し練習していれば徐々にではあるができるようになっていけるようで、なんとか転ばずに一歩踏み出せるようになった。


そして、歩く練習をはじめた辺りから俺の部屋に姉がよくいるようになった。

立とうとすると少し寄ってきて、転びそうになると受け止めてくれているので、どうやらお目付け役に選ばれたようだ。

それでもニコニコと笑顔でこちらを見てくれるのは嬉しいもので、積極的に姉の言葉を繰り返すようにしたり、本を読んでもらったりと精一杯甘えて仲良くなっておこうと思う。


そういえばこの姉は、どうやら家族の中で唯一魔法を使えるようだ。

いや、もしかしたら他にも使える人がいるかもしれないが、目の前で魔法を使ってくれたのが姉だけだった。

使ったのはちょっとした明かりの魔法で、本が陰って見にくかったときに明かりを生み出してくれた。

おおいに驚き、大げさに喜んだら少し得意そうな顔をしていたので、もしかしたら魔法を使える人はそんなに多くないのかもしれない。

魔力の動きがわかったから試してみたら俺もできるかもしれないが、もし姉よりうまくできてしまったら拗ねられてしまうかもしれないので、しばらくは練習しないように気を付けよう。

せめて姉が居ない所、欲を言えば姉が家に居ないときに練習しようと思う。



もしかして、今まで姉に会わなかったのは魔法で家事の手伝いをしていたからだろうか?

水を生み出せたら料理や掃除に便利だろうし、火が生み出せたら薪の節約か、火種代わりになる。

まぁ、自分の部屋以外がわからないので、もしかしたら家電があるのかもしれない。

もしあるならそこに魔法は不要だろうからこの考えは正しくないのだろう。

少しずつ魔力の感知範囲を広げて、自分の家の中くらいはわかるようにしたいかな。

そうしたら話し声も聞こえるだろうから言葉を覚える足しにはなるだろうし。


ちなみに絵本の文章はだいたい覚えました。だけど、単語がわからないのでまだまだ呪文を覚えたような状況。

絵になってる単語はちょっとわかるけど、おそらく単数形複数形がある言語なのだろう。

指差す数が増えると変わる単語がほとんどだった。そのうちのいくつかは原型すらない形で変わったし。

そして文字はちょっとしんどい。

絵本という性質上、文字はわかりやすいもの、日本語でいうひらがなで書かれているはずなのだ。

それなのに、文字が繋がってる。英語の筆記体とか、日本語の草書みたいな書かれ方をしている。

つまり、単語の区切りはおそらくされているが、文字の一つ一つを判別できない。

だから覚えるのは少し時間がかかるだろう。



こう考えると日本語って便利だったなぁ。文字の数に目をつぶれば、表音文字のひらがな、カタカナ覚えたらだいたい読めるようになるし。基本的に草書みたいな繋がり方した本ないし。

でも、この感覚も母語だから、覚えたからこそ言える事なんだろうな。

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