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第15話 マルチタスク、お友達

春になって少したったある日、兄姉が居なくなった。

いや、死んだ訳ではない。学校に行っている。

夜になっても帰ってこないので、おそらく寮生活なのだろう。


姉は今年から通い始めるらしいということはわかっていた。

冬の間に制服とか小物を準備していたし、本人も嬉しそうに制服を見せてくれていた。

少し気になったのは、準備していた小物の中に物騒なものがあったくらいか。

木刀を準備物資に入れていたのだ。

きっと騎士になるための訓練という事で使うのだろう。

女子がどの程度いるのかわからないけど、友達がたくさんできるといいな、姉よ。


ちなみに、兄二人は姉より早く見かけなくなったので在校生の入寮はきっと早かったのだろう。



冬場は母と兄二人と姉の3人が家にいたのに、今は母と二人なのが少し寂しく感じられた。

一応、父親は生きてます。ただ、仕事場に缶詰めになることが多いらしく、あまり家では見かけないのだ。

それに、冬場は帰って来ても兄二人相手に剣術の指南をしていたし、その前は顔を見て一言二言何か言って出ていくので印象が薄いのだ。

剣術の腕はおそらく素晴らしいのだろう。兄二人を同時にあしらっていた。

まぁ、大人と子供の年齢差を考えれば妥当なのかもしれないけど。



まぁ、そんなこんなで、なんとなく人のいる場所にいたいと思い母の近くで色々しているのだ。

言葉の勉強とか、文字の勉強とか、こっそり魔法の練習等々。

母にバレないように視線を向けずに、隠す意味はないし勘付かれないとは思うが一応魔力を隠蔽するように意識して、部屋の中の天井付近にこっそり風を巡回させている。

それでいて、絵本を読んでいるというのはなかなかに困難なだけにやりがいもある。

あと、絵本の文字を追いながらも視界には母を入れるようにも頑張って広い視野を確保しておこうと努めてたりもする。

我ながら細かい作業を色々やってるなぁとは思うが、できることが少ないので色々やってみようと頑張っている結果が今なのだ。


そういえば兄姉が居なくなったってことは俺も家事手伝い参加するのかね?

流石にまだ早いだろうとは思うけど、魔法という便利な手段もあるから、掃除洗濯と濡れた衣服や食器の乾燥なんかは多分手軽にできる。



まぁ、自分から言うのもなんだし、言われるまではやらなくて良いやとまたマルチタスクに戻ろう。

頑張って処理するのだ俺のシナプスよ。



___



色々やって疲れてきたので一休み。

まだまだ子供なので無理してはいかんよね。

でも、正直1人でできることって結構少ないと思うんだ。

誰か同じくらいの年の子供がいれば一緒に遊んでいれば時間を潰せると思うのだけれど、そんな相手も居ないからなぁ。

兄達や姉はどうしていたんだろう?

特に姉なんて今年から学校だった割にはしっかりしてたし。


そんな事を考えていたら母から丁度よく疑問の答えをもらえた。


「明日はヒーゼルもお外にお出かけしましょうね。同じくらいのお友達に会いに行きましょう。」


「おともだちー?」


「そう、お友達。その子のお家に遊びに行きましょうね?」


「はーい!」


どんな子なのかと、少しの不安と大きな期待を込めて明日を待つことにした。

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