第12話 気候、自由
次兄はいまだに息をあらげ倒れたままなので、試合はどうやら終わりのようだ。
流石に俺にまで剣を振らせる気は無いようで、二人は素振りを始めた。
それをただ見ていても退屈なので、魔法の練習をしようかと思う。
ただ、いざ練習しようと思うと、何をしようか迷ってしまう。
自由にしていいよって突然言われても、なにをするか悩んでしまうのは仕方ない事だと自分をごまかしつつ考えるも何も案が浮かばないので、ちょっとしたいたずら心で二人の素振りに目標をつけさせることにした。
そこらに生えている草を少し抜いて土を払い、二人の前に風を使って漂わせる。
姉はなんとも言えない表情でこちらを見た後に、少しため息をついて話しかけてきた。
「ヒーゼル、これは?」
「まほーのれんしゅー!ねーねとおにぃは当てたら勝ちなの!」
「そう。まぁ、そんなに魔力を使ってないみたいだから良いけど、無理はしちゃダメよ?」
「はーい!」
横で聞いていた兄も、無視して振っていた木刀をさりげなく当てにくるように軌道を変えた。
二人の素振りを見つつ、当てさせないように風を動かすのは少々大変だが、わりと楽しい。
流石に覚えたての魔法では分が悪いのか、兄はすぐに動きを見抜いてしまい、どう動かしても軽く当てられるようになってしまった。
ムキになってよけようと頑張っているうちに姉にも当てられ、そこで姉と母からそろそろ終わりだと言われて、素直に部屋の中に入ることにする。
母はそのまま台所に向かい料理の支度を始め、姉は絵本を持ってきて文字をなぞりながら読み聞かせてくれた。
文字の習得はなかなか先が長そうだが。
まずはバラバラの文字を教えてほしい。繋がってると区切りがわからん。
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外で魔法の練習をさせてもらえるようになって3ヵ月位たった。外は雪が舞っている。
雪が降るらしいことと、窓が二重ではないことから、この地域には四季、少なくとも冬とその他、があり、寒くはならない程度に涼しい気候なのだと考えられる。
それに、庭に出るとき窓と外に大きな段差はなかったので、そんなに厚く積もることは無いのだろうと思う。
それはともかく、雪が舞っている為に外に出るのは禁止され、庭が見える部屋で過ごしている。
外には兄二人が素振りしているが、雪のなか薄着でやるのは見てる方が寒いのでやめてほしい。
ちなみに、魔法に関してはもう監視なしで使うことを許されているため、こっそり部屋を魔法で暖めている。
ちゃっかり姉と母も部屋の中にいて、暖房代を節約しているらしい。
去年までは暖炉で暖めていたようなので、二人に頭を撫でられ誉められた。
「ヒーゼルのおかげで薪代がすこし抑えられそうね。」
「私だけだとずっと暖めるのはできなかったから、ヒーゼルもやってくれるのは助かるわ。」
「その分マーレは他のことを手伝ってもらうわよ?」
「うっ。はーいママ。」
まぁ、主婦なら使えるものは使うよなぁ、と思いつつも、反応すると飛び火しそうなので黙っておくことにした。




