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第1話 転生、説明

ある日、いつものように目が覚めた。でも周りはいつもの見慣れた部屋ではなくどこかぼんやりしたような白い部屋。


(ここは何処だ?俺は、確か普段と変わらないように部屋で寝てたはずなのに。)


辺りを見回すと、扉も窓もない。その上、照明も無いのに明るく、周りもしっかりと見ることができる不思議な部屋だった。


(扉も窓もない部屋(ルーム)か。マッシュルームかよ...なんて)


自分に何が起こったのかわからず、不安を打ち消すかのように下らないことを考えていたが、状況が全くわからないために何かが起こるのを待つしかない。


そして、変化は唐突に起こった。目の前に突然人間大の光が現れ、段々と色付いていった。

そして次の瞬間には、まるで今までずっとそこにいたかのように人形≪ヒトガタ≫の何かがハッキリと存在していた。


「やぁ、こんにちは。」


突如目の前に人が現れるという不自然さに呆然としていたら、その現れた人物に話しかけられた。


「あれ?反応がないなぁ。まぁいいか。さて、混乱しているようだから状況を説明してあげよう。残念ながら君は死んでしまったんだ。別に疑ってくれても構わないよ?君がどう思ったとしても事実は変わらない。そして、私はこの世界の管理者。まぁ、分かりやすく表現するなら神のようなものだ。そして、他にも私が管理している世界があるからね、その世界を適当にかき回して貰うために君が選ばれた。無作為に選んだから、どんな行動をとってもらっても構わないよ?権力を手に入れて国を運営しても良いし、色々な場所を旅しても構わない。なんなら盗賊になっても、国を滅ぼしても良い。自由に生きてくれ。」


何かすごい勢いで色々と驚くようなことを言われたので、寧ろ少し落ち着いて考えられるようになってきた。

とりあえずひとつずつ言われたことを整理してみよう。


何故か知らないが俺は死んだらしい。これが夢なら適当に楽しんで、目が覚めたら楽しい夢を見たものだと笑い話にでもすれば良いだろう。

良くないかも知れないが、この勢いで次々と情報を与えられたら処理しきれないと思うからもう諦めてそう考えることにした。


そして、目の前に居るのはどうやら神様らしい。金色の髪に碧の目、堀の深い顔の外国人男性にしか見えないが、疑って色々調べようにも何も情報がない以上どうすることもできない。


あと、管理者といいつつも悪行を許して良いのか?と考えたところで自分に疑問が起こった。


(俺は何故初対面の男の言うことを全て真に受けている?そして何故、自分のことを名前すら思い出せない?)


「あ、君の情報については新しい世界で混乱しないように消去されているよ。残ってるのは学んだ知識と体の動きかたの経験位かな?個人の情報みたいな不要物はリフレッシュさせてもらったからね。あ、その顔はなんで考えてることがわかったのかっていう驚きだね?答えは簡単、これが初めてじゃないからさ。何人も色々な世界に送り込んでるからね、効率よくできるようになったから安心して次の世界に行ってくれて構わないよ。そうそう、君が行く世界だけど、どうやら魔法を使うことに憧れていたようだからそれを叶えてあげることにしたよ。まぁ、ファンタジーの世界ってやつだね。良かったね、次の世界では魔法使い(笑)ではない本物の魔法使いになれるよ。どのくらい魔法が使えるかは私の知ったことではないけどね。」


言葉を返す暇もなくどんどんと情報が与えられて何から反応したら良いかわからない。

なんか軽く侮辱されたような気がするし。


「それじゃ、そろそろ送り込むことにしようか。君がその世界にいる間は他の転生者が行くことはない。君の思うまま、望むように生きなさい。」


急に慈しむように表情を緩めたと思ったら、段々と周りの景色が揺らぎ、薄れていった。

いや、この男の言葉を信じるなら俺が薄れて、送り込まれていっているのだろう。

この感覚が夢から覚める目覚めなのか、はたまた転生というやつなのだろうか。

どちらかはわからないがひとつだけ言えることがあるので言っておこう。


「俺なにも喋らせてもらえなかった...」



___


薄れていた意識が緩やかに戻ってきた。でも、何か暖かいものに包まれているようなこの感覚はまた俺を眠りに誘う。

柔らかいものに抱かれ、ミルクのようなあまい香りに段々と体が空腹を訴えてきた。

それにより、沈みかけていた意識をなんとか取り戻す。


(ん~、さっきのはやっぱり夢だったのかな?そろそろ起きないとな。冷蔵庫に何が残ってたかなぁ。)


と、考えた辺りで違和感を覚えた。口が柔らかく、体が重い。

そして、成人して決して小さくはないはずの自分の体が柔らかく抱き上げてられている。

そして、聞こえてくる声になにひとつ聞き覚えがない。それは、声を発している人がわからないのも勿論だが、話している言語すら理解できなかった。


(夢じゃ、なかったのか。)

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