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心があれば言葉の壁は乗り越えられるって、それは多分嘘だ。

作者: のあたそ

前の短編と若干の絡があります。



自分で作ったゴミを食べて病院送りになった姉(前短編参照)のお見舞いに行かなかったアルルは、長めに切り揃えた髪を揺らしながらふと思った。


そうだ、マックに行こう。


出来損ないの姉のせいで食事にありつけなかったのでお腹はぺこぺこなのだ。


ところでマクドナルドは地域によって略称が異なる。マック派とマクド派は常に離れているので大きな争いは起きないが、境い目ってどうなってるんだろうか。混ざってるのかな。マックド?うん、どうでもいい。マック行こう。


財布を手にして家を出る。適当なことを考えるうちに、我らがマックに到着した。



マックはまだ開店して間もなく、休日ということもあるのか閑散としていた。レジには人が並んでいない。こういうの嫌なんだよね。レジに並びながら顔を上げてメニューをぼけーっと眺めながら何を注文するか考えるのに。


いやもう定員さんこっちガン見だよ。二人揃って見てくるのやめてくれよ。


少し顔を赤らめ、おずおずとレジの前にやってきたアルルは、いらっしゃいませと言う店員と目が合う。



ラクダがいた。



ラ ク ダ ?




ら く だ ?





あっ、ラクダさんだぁ。今やこの世はグローバル社会。あり得るあり得る。



もう何も考えないことにした。



「じゃあ、モーニングセットのBをください」


虚ろな目でアルルは語りかける。レジにいるラクダに。



「かしこまりました。ドリンクはいかがなさいましょう?」


ラクダすっごいイケボだぁ...。ドン引きするくらいイケボだぁ。てか喋れるんだね。声帯もグローバル化しちゃったんですかね。


あと横の店員(人)はなんで堂々と次のお客さん待ってんの?同僚がラクダっていうことに違和感は感じないの?


「えっと...オレンジジュースで」


アルルは意識を目の前の店員(ラクダ)に戻す。


「ふふっ。お子様のようなご注文で」


ラクダうぜぇぇぇぇ。イケボで詰ってくるんじゃねぇよ。反応に困るんだよ。実体験がねぇんだよ。ファストフード店でラクダに馬鹿にされたことなんてねぇんだよ。ラクダに馬鹿って動物多すぎて意味分かんねぇな。ここは上野かよ。


「は、はは。でも、やっぱりオレンジジュースで」


ラクダの手の平(よく分からんけど)の上で躍らされるのは癪なので、もう心は動かされまいと眼力を強める。


するとラクダは肩をすくめて(よく分からんけど)言った。


「今でしたら期間限でラクダナゲットをお付けできますが、いかがでしょうか」


うーんもういいや。


「あ、じゃあ1つお願いします」


するとラクダは破顔(よく分からんけど)した。



「やだなぁ、お客さん。ラクダナゲットなんてあるわけないじゃないですか。食べないでくださいよ、私」



アメリカンジョークならぬ、ラクダリアンジョークをぶちかまされたアルルの顔に、もう笑みは浮かんでいなかった。


「あ、もしもし、警察ですか。労働基準法に乗っ取らない、てゆうか法の対象にさえならない動物がいるんですけど」




後に警察署から届いた備考書によると、あのクソラクダは砂漠でマックを開いて繁盛しているらしい。



ほんとうにどうでもいい。


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