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「いや、それは困る」


「困ると言われてもですね、少なくとも私はぜんぜん困りませんが」


「俺は困るんだ! どうにかならないのか」


俺は必死だった。


誰が好き好んで究極の不幸になったりするものか。


「ありますよ」


あっさりと言った。


「えっ?」


「だからありますよ」


「な、なんとかなるのか?」


「ええ」


「で、どうすればいい?」


「簡単ですよ。あなたが不幸にしたい人間を、二人ほど挙げてください。その二人にあなたの不幸をうつします。まるで病原菌のように。はっきり言ってしまえば、あなたの身代わりですね。そうすればあなたの不幸は回避されます。ただし、すでに私が取り憑いている人は、カウントされませんが」


「……」


「それでは二人挙げてください。それともそのまま究極の不幸のどん底に落ちるのを、希望しますか」


俺は即座に二人の名前を告げた。


一人は会社の嫌な上司で、もう一人は仲の良くない親族だ。


「承りました。あなたの不幸を二人にうつします。これであなたは極限の不幸から逃れられることが出来ます。良かったですね。それではこれにて失礼します」


そいつ、「不幸」は目の前から消えた。


――良かった……のかな?


俺は考えた。


俺一人の不幸を取り除くために二人の人間を不幸にすると言う。


その二人が「不幸は嫌だ」と言ったら、代わりに不幸になるのは四人。


その四人が不幸を拒否したら、次は八人。


十六人。三十二人。


――と言うことは……


すでに不幸が取り憑いている人はカウントされないと言っていた。


そうなると不幸になる人の数は、高い確立で倍ずつ増えていくことだろう。


毎日きっちりと倍になっていくと仮定したならば、その数は一ヶ月ほどで地球上の全人類の人口を上回る。


どうころんでも、俺を含めた人類全てが極限の不幸となるまでは、これが止まることは決してないのだ、



           終

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