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#7 あゝ素晴らしきジャポニズム

 覚悟もやる気もない僕が首相に吹き込んだのは真実の一端。


 率直に簡潔に端的に言えば、某大国に全てを押し付けたのだ。

 今日本がこういう状況なのはその国の行った生体実験のせいなのですと。

 全部アイツラのせいで、貴方に責任は無いし、純然たる被害者であると嘯いた。


 無能にとっては目から鱗の願ってもない夢のような真相。

 いくら海千山千の政治家だろうと明確な救いにすぐさま飛びついた。それはもうみっともない程に。


 そして、僕達も同じく被害者であるからこんな身なりで風体であるし、現在はその大国と敵対関係にある某共和国に属していると付け加える。


 この会談で肝になるのは交渉相手が日本人であるということ。


 単一民族国家であるせいか日本人は固有の性質として同族や同属意識が強いし、厄介なことに古来より判官贔屓の側面と不可能性を尊ぶ美学を受け継いでいる。

 勝てない戦や実現可能性の低い事象が大好きだ。そこにもののあはれの精神が加われば最高。その要素だけで邦画が一本作れるレベル。なんなら陳腐なサブタイを付けて原題を改悪する未来まである。


 そんな特性を持つ彼らから見た僕達は――自分たちと同じ被害者立場でありながらも、それでも大国に敵対し抗う少数集団。如何にも日本人好みの自分勝手エゴイスティックな英雄願望ヒロイズムを体現する存在。


 そんな僕達の健気な姿に感銘を受けたからなのか、或いはもっと高度に政治的な思惑を孕んだ上での行為なのか、はたまた何も考えていない無能ゆえの判断なのかは解らないが、驚くほど簡単に僕の要求は通った。


 僕の要求は大きく二つ。


 一つはこの国の実権の譲渡。もう一つは僕達の為の(セー)(フハ)(ウス)


 実のところ、ぶっちゃけ本当に某国に全ての責があるかは未だ判明していない。

 僕の優秀な手駒を持ってしても、某大国が関係しているかも?程度の情報しか得られなかった。

 なので詳細を突き止めることが必須であり、目的達成の為の手段(あし)拠点(いえ)が必要だった。


 要求が通ったと言えども、即決即断でホイホイ余裕だった訳ではない。

 特に一つ目、国権の譲渡などは首相の裁量を遥かに越えた領域。当然だ。


 だから、説明した。懇々とその意図を説いた。

 主権の譲渡というのは一部というか、流石に言葉が過ぎた。

 実際望んでいるのは某国の実験に対する調査のための資材設備とそれに伴う人員、ネットワーク等をお借りしたいということ。

 その行為が結果的に主権に及ぶ可能性がある為、そういう表現になってしまったことを詫び、改めてお願いしますと。


 所謂一つのドア・イン・ザ・フェイス。心理学の初歩であるらしいが、コンビニで買える程度のインスタント心理学はマジ有能。現実世界でも十分過ぎる程に通用する――って当たり前か。


 それらを駆使した結果、僕の戦力全てが収まる立派なおうちが一棟。日本国のあれこれを必要な時に必要なだけ使える(ライ)(セン)()を得ることになった。


 代わりの僕が支払うのは当面の安全の保障と異世界技術の枝葉、そして調査結果である。

 どれも僕にとっては些事であり、代価としては格安のお値段。

 何故なら技術と調査結果について報告は異世界的オカルトでいくらでも改竄出来るから。

 つまりは実質無料。既視感アリアリで大変胡散臭い言葉だね。


 さて日本征服編はコレにて閉幕。

 これが僕の現実異世界侵略の軽やかな二歩目。行進は滞りなく。

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