天然娘&ヤンキー娘っ!
ジャンルはコメディーモンだけど、すこーしグロいよーなトコもあります。多分注意。;
アタシ・・・水城ソラ(15)はヤンキー。ここらでも有名な・・・では無く、小さくこじんまりとしたグループだ。グループ名は特になし。けっこう若い者がたくさん集まってるトコ・・・人数は10人くらいだ。だが最近集まる人数が少ないし、抜けてく奴らも多い。結果・小さくこじんまりとしたグループになったという訳。
私はショートカットの金パツ。腰にぐるぐると包帯のようなモノを巻き、少し敗れかけのジーパン。黒いコート(他の色のコートの奴もいる。だいたいは黒)をバサッ、と羽織っている。 アタシ達の集まり場所は狭ーい路地を通った空き地の場所。草がぼうぼうと生えてるくせに、なぜか真ん中の方だけぽっかりと刈り取られている。そんでもって、ソコに居座ったという事だ。ちなみに辞書を引くと『2 (路地・露路)建物と建物との間の狭い道。3 (路地・露路)門内や庭内の通路。4 (露地・路地)草庵式茶室に付属した庭。腰掛け・石灯籠・飛び石・蹲踞な......』とあるが2番の方だ。
さて、アタシは今携帯を探している。なんか知らねーけど、誰かとぶつかった時に携帯と携帯をすり違って持っていったらしい。
そのおかげでアタシはわざわざ探さなくてはならない。もしかしたら落ちているかもしんねーし。
ぶつかった人と会うかもしんねーし。もしもアタシの携帯の中見てたら半殺しにするけどな!
そんな時アタシの後からめずらしく声を掛けてくる奴がいた。
「すみません。ちょっといいですか?」女の声だ。めずらしいな、どーせ道とかなんとか聞きたいんだろう。アタシはその声の方向に振り向かずに、探し続ける。
「あぁ!?今忙しいんだよっ!」でもアタシは忙しいので暴言を吐いて追っ払う事にした。大抵はこれで逃げていくのだが、まだ女は後にいるようだ。『しつけーなっ!(しつこいな)』と言おうと振り向くと、女の手にはアタシの携帯が握られていた。
「そうですかー。じゃ・この携帯はいらないんですね〜。じゃ、さようなら〜」
「あっ!まてお前っ!それアタシの携帯!」アタシが女の手から奪い返そうとするとひょいとアッサリ逃げられた。女はニコリと笑う。
「お礼は?」
「あ、ありがとな....」
「では私の携帯と交換です〜」と、アタシの携帯をしっかり持ったまま言う。今更だが、女はフワフワの栗色の髪に、軽くウェーブのかかったヘアースタイル。そんでもってジーパンとTシャツというなんだか楽なスタイルだ。こういう女はワンピとか似合いそうなのにな。
アタシはジーパンのポケットからこの女のモノとみられる携帯を出した。そして携帯と携帯を交換しようとした時。
「一つお願いがあるんですけどいいですよね?」女はアタシの携帯をしっかりとまだ握っている。『いいですか?』では無く、『いいですよね?』と押し付け的な事を言うなんて....このアタシに向かって・・・!(しかも礼なんか言わせやがって!)
「だ..」駄目だ、と言おうとした。だがアタシの頭の中でピーンと閃く。
そうだ・・・コイツをコテンパンにしてやれば・・・・・・!
アタシは我ながらナイスアイディアを思いついたと思い、口元が緩んだ。
「お前・・・名前は?」
「水城っていいます!水城楽羅です!」
「よし、楽羅。願いは?」
「えっとですねー・・・貴方と同じヤンキーのグループに入りたいんですよ〜」
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
「ヤンキーのグループに入りたいんです〜」
何言ってんだコイツ。裕福そうで、幸せそうな楽羅が。ヤンキーになりたいだなんて。
「・・・・・・まぁいいけど。じゃ・ちょっと着いてこい」アタシは楽羅に背を向けて歩き出す。楽羅も分かったように着いてきながら返事をした。
「分かりました親分〜」
「は?」
「え?ヤンキーでは先輩方に゛親分゛と言うのでは?」
「・・・・・・なにソレ・・・・?」
「え、あの・・・違うんですか?」
「・・・・違うよ」
「そうですか・・・・残念です」
「別にいけどさ・・・敬語は止めな。堅苦しいから」
「え・はい。分かりました」
「・・・・・敬語」
「え?」
「敬語はいいって....」
「え?敬語って何ですか?」
「あのね〜!」
「・・・・・すいません」
「あんたって学校行ってんの?それでも・・・」
「・・・・?行ってないです」
「・・・・・は?なんで?」
「昔から身体が弱かったもので。今は健康なんですけど...今更行くのは嫌ですし」うなだれたような声を出す楽羅。私は前を見て進んでいるので表情がイマイチ分かんねーが、きっと悲しそうな顔をしているのだろう。
「・・・大丈夫なのか?そんなんで....」
「はい。今は健康ですよ〜」
「・・・・・・そうか」
「はい。そうかなのです」
「・・・・・お前ってさー天然だよな」
「よく言われます。でも意味がよく分かりません....」
「・・・・・・着いたぞ」アタシは楽羅の天然っぷりにも呆れながら『アタシ達の場所』に着いた。何故か仲間の間ではそう呼ばれている。何故か知らないが、いつもココにいる皆が居なかった・・・・くそー!どこに行ってるんだよ!
「わ〜!こんな所があったなんて〜!草が無いです!でも周りがぼうぼうです!」なんかすごくハシャイでるな・・・・。でも今だけだ。こんなにハシャげるのは・・・・!
アタシは心の中で高笑いをしながらワイワイハシャぐ楽羅を見る。
「なぁ、楽羅。ココに入るには条件があるんだよ」
「え?条件ですか?」
「あぁ。そうだよ条件がある」
「なんですか?条件って・・・・・?」
「それはな」と、言いかけてハッ、と息を呑んだ。
見られている・・・・・!
「誰だ!」アタシはぐるっとあたりを見回す。
「・・・・・・・・・・・・・!」
数十人かに囲まれていたのだ。アタシと楽羅が。多分昔対立していたグループだろう。
「・・・・・?誰でしょうか・・・・・?」アタシは真剣にヤバイと思ったが、楽羅だけはのんびりと落ち着いていた。
数十人のうちのリーダーらしき人が口を開く。
「なー、ソラ〜?ウチらにその場所くれない?」
「断る!」
「ふーん。じゃ、こいつ等どうなってもいいんだ?」と、子分らしき人等がアタシ達のグループのメンバーを引きずってきた。頭や身体に傷が付き、血が流れている。
「ソ....ラ....ウチ等の事はいいから・・・・逃げて・・・・!」グループの一人・ミナが必死に口を開く。
「ほらほら〜。グループのお一人さんも言ってる事だしサッサと尻尾巻いて逃げたらぁ?」からかうような口調。そして、子分達はクスクスと笑った。アタシはその仕草にムカッときた。
「・・・・・・そんな事・・・・・・!・・・・・できるかよっ!」
アタシはその場に落ちていた木刀を拾うと、10人に向かって走り出した。
「楽羅!アタシ等の事はいいから逃げろ!ここはアタシでなんとかする!」アタシは楽羅に向かって叫ぶ。だが楽羅は以外な行動をとる。
「!?」
楽羅は木刀を手に取ると次々と倒していく。とんでもない速さで。鮮やかで華麗な手さばき。誰もが見とれるほどの・・・・・・。
アタシがそう思った時にはもう敵のグループは全員倒れていた。目立った傷は無い。かすり傷程度で気絶させたのだ。
「楽羅・・・・お前何者だ・・・・?」
アタシはおもわず呟いていた。
皆の傷が大分治ってきた頃。アタシ達は珍しく『アタシ達の場所』に全員そろっていた。楽羅も含めて11人。
皆は期限よさそうに楽羅を見つめていた。特にミナは鼻歌まで歌っている。
「な〜ソラ!アンタこんな上出来な奴連れてくるとはね〜。この前の凄かったな!なぁ、楽羅。入るよな?このグループに」
ミナは強引に楽羅と肩を組んだ。ミナのデコに見るからに痛そうな大きな傷がついている。だが、ミナは平気そうだった。慣れてるのだと思う。
楽羅はやけにのんびりした動作で頷き、やけにのんびりした口調で言う。
「はい〜入ります〜。ぜひとも〜」
「な〜?ソウダロソウダロ〜?」
「なっ・・・・何勝手に決めてんだよ!皆の了承も無しで!」
アタシは立ち上がり、ミナに向かって反発する。するとミナはふっ、と鼻で笑った。
「あら嫌。グループの了承はちゃぁーんと取ってあるわ。グループほぼ全員が了承してますわよー」変なオネェ言葉で喋り終えたミナは、勝った!と言う顔で高笑いをした。
「うっ....」アタシは何にも言い返せなくなって床にペタンと座った。悔しいけど、グループのほぼ(つまりアタシ以外)賛成してるなら・・・・言い返せない。
「あ、ソラさん」さっきまで違う方向を向いていた楽羅は、アタシにぐりんと首だけ向けた。
「あ?何だよ?」
「ヤンキーって居るダケで給料貰えるんですよね???」
「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」」」」」」」」」」全員がそろって聞き返す。
「あれ・・・・・そう習ったんですが......?」
「お前なっー!誰から習ったんだだよ!」
「えっとー。忘れました〜」
「・・・・・・はぁ」
「貰えないんですか・・・・?」凄くうるうるとした瞳でアタシを見る。
・・・・・・・・くっそー!何でアタシなんだよっ!!!
内心そう思ったが、楽羅の凄くうるうるとした瞳に負けてしまい、月給1000円で雇われた楽羅だったのだった。(ちなみに楽羅の給料はアタシの自腹・・・・・・・・。)
とにかく。
このメチャメチャ強い楽羅を入れて、お気楽なヤンキー達、ちなみに名前は右からミナ...(以下略)、そしてアタシのヤンキー生活はまだ始まったばかりなのだ。これから先が大変そーだ・・・・・。(泣;
続編はでるかもしれません。(どっちだ;)皆さんの評価しだいw(苦笑 っていうか連載ほったらかして短編書いてる人って.....;;;