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恐怖の探索! 真夜中の学校に潜む影!

「……ん、んぅ?」


 諌見は重たいまぶたを手で擦りながら起き上がった。諌見はぼんやりとした瞳で辺りを見回す。その結果、自分は校舎の入り口で寝ていることに気がついた。

 何故私は校舎で寝ていたんだろう……。

 その時、もう一人の寝息が聞こえた。その方向を見ると、奏がぐっすり寝ていた。すやすやとリラックスした顔で寝ている彼女を起こすのも偲びなかったが、状況を把握するために諌見は起こすことを決めた。奏の肩を揺さぶって、声をかける。


「奏先輩……起きて下さい」


「……ほえ?」


 揺さぶりと声で起きた奏も、最初はボーっとした表情で諌見を見ている。そして、彼女に向かって笑顔を見せた。


「ああ……お母さん。今日のご飯なーに?」


「何を寝ぼけてるの。ちゃんと起きてよ」


「……あ! ご、ごめん」


 諌見の言葉にハッとした奏はすぐに目を覚ました。さっき自分が喋った言葉を理解しているのか、少しだけ顔を赤くして恥ずかしがている。


「どうして私たちって寝てたんだっけ?」


「うーん……確か、真琴くんと未来が中々帰ってこなかったからずっと校舎前で待ってたんだよね」


 すぐに真琴と未来が帰ってくると思ったが、二人は帰ってくることはなかった。ずっと待っていた奏と諌見は恐怖という緊張感の中で集中力が切れて、つい眠ってしまったのだった。


「二人とも怖かったから中には入らなかったんだよね……」


 諌見は自分たちの不甲斐なさに呆れながらも仕方ないことだと割り切る。そして、時計を見つめた。諌見のスマホが示している時間は夜の八時半だった。

 すぐに諌見は今日の放課後に聞いた怖い話を思い出す。

 確か、あの子が見てた時間も夜の八時半。ま、まさか……!

 勉強しているわけでもなく、教室の中にいるわけでもないのに無理矢理結びつけてしまうのは話を怖いと感じているからだろうか。

 諌見は震える声で奏の服の袖をギュッと掴んだ。


「ど、どうしたの諌見ちゃん!?」


「怖い話……同じなの。話の主人公も夜の八時半で怖い目にあって……」


「今の時間は……」


「八時半。しかも夜」


「諌見ちゃん……い、行こう」


 奏はこわばっている顔で真剣な表情をしながら、諌見に提案をした。

 諌見は驚き、そして掴んでいた服の袖を引っ張った。


「え!? どうして?」


「その話が本当なら……真琴くんが危ない。あと未来も。だったら、私たちが助けるしかないよ」


「真琴先輩たちなら多分大丈夫だよ!」


「……ああいって、結構抜けてるところがあるからね、二人とも」


 奏の意思は固い。それは彼女の真面目さ故なのだろう。いくら自分が怖くても、責任感から逃げ出すことはできない。それが奏だった。

 諌見も決心して、奏の服の袖を離した。その顔も少し緊張しているが、心の中に確実な意志がみえる。

 二人は意を決して、小学校の中へと入っていった。

 学校の中は案の定暗闇が支配し、昼間とはまったく別の雰囲気を醸し出している。諌見は震える手でスマホを取り出して、ライトをつけた。心もとない灯りだが、無いよりはマシであるというもの。

 その暖かな光に、奏と諌見はホッと一息できた。


「その噂のある教室に向かったんだよね。真琴くんと未来は」


「多分、そうだと思う。場所は私が知ってる。行こう」


 奏は頷いて、諌見と並行して歩く。場所は諌見しか知らないが、同じ怖がり仲間である彼女を先立たせて歩かせるわけにはいかなかった。

 目的の場所まで歩いている二人。一向に幽霊に会わないことや暗闇に目が慣れてきたこともあってか、気持ちに余裕ができた二人は少しずつ談笑を始めていた。


「でも、結局は慣れだよね。何だか、大丈夫になってきたかも」


「そうだね。ちょっとだけ強気になれたかも」


 その時、奥から何者かがゆっくりと諌見たちに近づいてきた。その人物が光に当たると、奏と諌見は未来だということが理解できた。

 未来は憂いているような楽しそうな不安定な表情をしていた。

 諌見はやっと未来に会うことができて、思わず彼女の元へと駆け寄る。しかし、奏は彼女の表情から何か違和感を覚えた。


「未来先輩! 無事だったの!」


「……うん。だいじょーぶだったぁ……」


「? 何か未来先輩の様子がおかし……い?」


「それはねぇ……ヒャッハー!!」


 未来は目の色を変えて諌見に向かって走ってきた。諌見は未来の豹変に驚いて動けない。諌見の目の前に来た未来は、彼女を抱きしめて頬ずりを始めた。


「うへへぇー小学生だぁー可愛いなぁー! あの子に続いてお気に入りにしよーっと!!」


「み、未来先輩!!」


「もしかして……」


 奏は一つの仮説を立てた。もしかしたら、未来は憑依されているのではないかと。しかし、TSFの能力ではないと奏は思っている。諌見がこんな悪ふざけをするはずがないからだ。

 となると……未来は本物の幽霊に憑依されている!?

 心に恐怖心が溢れだした奏だったが、未来の姿をよく見て気持ちを落ち着かせる。

 そうだ。憑依されてても、あの変態っぷりは変わってないじゃない。つまり、いつもの未来を叩いているように考えればいい!!


「諌見ちゃん! 離れて!」


「う、うん!」


 奏は護身用に持ってきていた木刀を構えて、そのまま未来に向けて縦に振り下ろした。その瞬間に、諌見は自分の力を振り絞って未来から離れた。

 木刀は未来の右肩に当たり、未来はスットンキョウな声を上げた。


「ギェエエエエ!」


「諌見ちゃん、こっちに!」


 今の未来は何かがおかしい。そう思った奏は諌見の手を引いて廊下を駆け抜ける。未来がこんな状態で、真琴は何をしているのだろう。気になった奏は諌見に道を聞く。


「別ルートから、例の教室には行けない?」


「それなら……」


 諌見は奏に指示して怖い話の舞台となった教室へと向かった。ドアはすでに開かれていて、中は薄暗い光によってボヤーッと明かりが灯されてあった。

 奏と諌見は恐る恐る教室の中を伺う。そこには、女の子に変身していた真琴がシクシクと泣いていたのだった。

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