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この世の限り

あの後・・・・・・

目が眩むほどの金の光が消えた後。


地竜とブランとタヌキ達の姿は、こつ然と消えた。


その場から、消え去ってしまったんだ。

なぜか、オジサンもノーム達もユニコーンも、みんな。


残ったのは、人間とガレキの山だけだった。


翌日から国を挙げての復興作業が始まったけど、地竜が残した爪痕は、予想以上にヒドイものだった。

植物が枯れて、土地が痩せて、国民もたくさん犠牲になった。


本当に、国が崩壊するところだった。


お城は完全に崩壊したし、住む場所が無くて、あたしはスエルツ王子とアザレア姫と一緒に、王居の仮住まいへと移った。


そこであたしは、ひたすらブランを待った。



来る日も、来る日も。

朝日を数え、夕日を数え。

今日戻るか、いま迎えに来るかと。



一週間過ぎて。

十日過ぎて。

二週間が過ぎ。

ひと月が過ぎ。

二か月が過ぎて。


春が終わり

夏がきて

秋も過ぎ、それでも・・・・・・



結局ブランは、あたしを迎えには来なかった。



部屋にこもり、泣いた。

泣いて、泣いて、泣いて泣いて泣いて。

毎日毎日、ただ泣き暮らした。


でも、どんなに泣いても、ブランは戻って来ない・・・。


スエルツ王子とアザレア姫が、ずいぶんあたしを心配して本当に親切にしてくれたけど。

あたしは、日に日に痩せていった。



ある夜。


あたしは、仮住まいを抜け出した。

誰にも見つからないように。


そして山へと向かった。

おタヌキ山へ。


月明かりだけの暗い山道を、手さぐりで歩く。

何度も転んだ。

草や枝で顔や手足を切り、血が出た。


草を分け入り、けもの道を通り、奥へ奥へと進んでいく。


ゼエゼエと息が乱れる。

汗がポタポタ雫のように流れた。

もうずっと、水も食べ物もノドを通らなくて体力が落ちている。

苦しくて、意識が薄れる。


それでも歩いた。

ふらつく足で、前へと進んだ。


あの場所へ。


タヌキ達と・・・ブランと出会った、あの場所へ・・・・・・。



きっと、いる。


あの場所にいる。


そこで彼らはあたしを待っているんだ。


花びらを飾ったウエディングドレス。

仕掛けアミを噛み千切ったヴェール。

緑の小枝を束ねたブーケを用意して。


皆が踊ったグニャグニャのダンス。

鳥とネズミのミックスプレート。


きっとおタヌキ王も、輪の中で笑顔で踊ってる。

そして・・・・・・


ブラン・・・・・・あなたが・・・・・・。


あたしを、待っている・・・・・・。



白く輝く髪。果実のように濡れ光る瞳。

抜けるように白い綺麗な肌。


柔らかくて温かい毛並み。

頭の上から話しかけてくる、明るい声。


こんなにもこんなにも、全てが愛しいあなた。



振り返り、手を差し伸べて


『さあミアン、もう一度始めよう』


あの美しい笑顔で、あたしにそう言うのよ・・・・・・。



体力が尽きて、地面にドサリと倒れた。


ブラン、もうあたし動けない。

でも、待ってて。


行くからね。あたし、行くからね。



薄れる意識で、震える手を伸ばす。


この、繁みの向こう・・・


きっと、そこに



いる。



いる、から。



あたしは残った力を振り絞り、繁みをつかむ。


そして微笑みながら



繁みを持ち上げた・・・・・・。




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