新しい世界へⅠ
「いや~、凄かったですね~!」
そう言って、キツネのにーさんはパチパチと拍手をしてくれた。
「今の、『とらいほーん』ナントカって、このドラゴンの必殺技なんですか~?
カッコいいですね~!」
「えっ?ああ!、そっそんな所ですっ!」
実は今の『トライホーンブラスト』、ただの通常攻撃のひとつでしかない。
だがこれを撃っているシーンのカードイラストが、あんまりカッコいいので、自分で勝手に名前をつけていたのだ。
いつもは、心の中で叫んでいただけだったが、無意識に声に出してしまっていたらしい。
…ちょっと、いや、かなりハズカシイ。
「ほんとに『アレス』って所は、こんなのが、ゴロゴロいるですね~。」
いやいや、こんなのが、ゴロゴロいたらエライことですって!
"プラチナドラゴン"のレアリティーは最高ランクのUR 、おそらく伝説級の存在のはずデスヨ?
「アナタが今までゲームで出会ったカードは、ほとんどが『アレス』には何らかのかたち
で存在しています~。
詳しくは【メニュー】内の【図鑑】を見て頂ければわかります~。
存在していないモンスターには×印が付いているので、一目瞭然ですよ~!」
【図鑑】には、今まで手に入れなくとも、対戦したカードは全て登録される。
もちろん俺も、全てのカードを見てきたわけではない。
それでも、登録数は1000種を越えてたはずである。
そのほとんどとなるとは…
俺は転生してから、その内どのくらいのと出会えるのだろうか。
「もちろん、アナタがまだ出会っていないモンスターもいるでしょうね~。」
っ!俺はひとつ気がついて、急いで【図鑑】を確認する!
オッシャアアア!!
良かった!カード"サッキュバス"たんには、×印は付いていない!
レアリティーが低くて、手放していたのだが、あのムチムチボディーにまた出会えるんだー!
それでもって、実体化出来るんだぁ~!
グフフゥゥ~!
そう思って、ひとりガッツポーズをしている視界の端で、【天輝竜】がカクッとなったように見えた。