メイド神
ごめんなしゃあぁぁっー!
前々回で『次回でアーザンズスポーンメディカ戦は終わりです』と言っておきながら、終わってませんでしたよね!
はい!ご指摘ありがとうございました!
ですので、もう一回あやまります。
ごめんなしゃあぁぁっー!(五体投地)
さて、次回から央都での話になります(これ本当)。
どうか、よろしくお願いいたします!
…『仮面のメイド○イ』よ永遠なれ(笑)…。
メイドイシスさんの背後に、後光と共に現れたモノ。
それは実体の姿をもったモノではなく、半透明の陽炎のようなモノであった。
はいぶっちゃけ、スタ○ドって言ったらいいようなもんです。
オラオラドラドラァー!ってヤツです。
スキル:New!【コールメイドゴッド】
マスタークラスのメイドのみが使える、メイド神をその身に降ろす、神降しの技。
1ターン、物理攻撃だけという制約があるが、絶大な破壊力をもつ。
攻撃を受けた者は、回避不可、さらに魔法・スキルの防御・掩護効果を無効化される(ただし同格以上の神の守護には効かない)。
秩序を重んじるメイド神のため、特に混沌ユニットへの攻撃には容赦がない。
一度使用すると、再使用までに72時間のクールタイムが必用。
《我は己を捨て、己を捧げる者を守護せし者。
『奉仕』を司る者なり。》
メイドイシスさんの背後に立つその幻影っぽいナニかは、テレパシーみたいなもので俺達に語りかけてきた。
その間、メイドイシスさんは、焦点の定まらない薄目を開けて立っていた。
どうやらトランス状態になっているようだった。
はい!ここで皆さんに質問です!
『メイドの神さま』って言われたら、どんなのを想像するでしょうか?
何でもそつなくこなすグラマー美女のメイドさん?
キリッとメガネを装備したキツめの美人メイドさん?
はたまた見た目は美幼女なのに、とっても包容力があるロリメイドさん?
…ははは、普通はそんなのを考えますよねー!
まあ、メイドの神さまってナンヤネン!ってところからツッコみたいのだけどね。
しかしメイドイシスさんの後ろに仁王立ちしてらっしゃるのは、男性でございました!!
しかもパーミルのギルドマスター、ギリークのおっさんばりの極マッチョ。
腕の太さなんか、俺の何倍あるんだよ。
でも一番ツッコみたいのはそこじゃない。
―なんんんっで、そんなのがメイド服着てんだよっっ!!
ムキムキだよっ!胸板なんかモリッモリでメイド服がピッチピチだよ!
それなのにご丁寧に、可愛いフリル付きのホワイトブリムまで被ってんだよ!
エプロンドレスまでフリフリだよっ!!
メイドイシスさんの衣装よりぷりてぃーだよっ!
…まあね考えてみれば、スキル名も【コールメイドゴッド】でした。
そう、女性なら"ゴッド"ではなく、"ゴッデス"であるはずなんだよね。
そこに気付かんかった俺も悪かったか…って、いや俺、悪いかっ?!
もういいや…。
メイドの神さまは、そんなトンデモ神でした。
まあ顔の上半分を仮面でお隠しされていたのが、唯一の救いだったというか、なんというか…。
《我がご奉仕を受けるがよい!》
なんか野太い声…じゃないそんなイメージのテレパスで吼えるメイド神さま。
そしてメイドイシスさんとシンクロした動き、…というより彼女を操る様に動かして常人ではありえない高さのジャンプから、"アーザンズスポーンメディカ"をその銀の箒で一刀両断にしてしまいました…。
はい、一刀両断です。
まっぷたつです。
箒で、です。
ゴガアアァンッ!って、箒ではありえない音がして"アーザンズスポーンメディカ"は吹き飛びました。
上に現れていた防御値を示すバーも、一撃で吹き飛びました。
ゲームをやっていた時も、ボス敵の防御値バーがこんな風に吹き飛んだのは見たこと無かったよ。
あと衝撃波で近くにいたメーベランまで吹き飛ばされ、そのまま気を失ってしまいました。
《BOSS BATTLE END》
《YOU WIN !》
なんと言いますか…かなり強敵のはずだったんですが、"アーザンズスポーンメディカ"はこうして瞬殺されたのでした。
あっけなさ過ぎる。
その後なんですが、あっけにとられているダークエルフさん達を正気に戻しまして、メーベランをふん縛り、パデルボルンの証拠品と共にコムサ領に帰ってきた次第でございます。
いや、まだ魔薬で洗脳されている地元の男爵とか、色々とやることはあったんですけどね。
遅れてやってきたワイバーン乗りのコムサ騎士さんに、『一刻も速く戻られ、証拠と共に央都へ向かって下さい!』って急かされてしまったのだ。
どうやら央都でパデルボルンの尋問が始まったのだが、この魔薬のことなんかをコムサ侯爵せいにさせられ、侯爵が窮地に陥っているのが、速報でコムサ領に伝わってきたみたいなんですよ。
という訳で、魔薬施設や男爵の事はあと回し、ダークエルフさん達とコムサ騎士達にそこは一先ず任せて戻って来ました。
はい、すでに央都へ転移出来るゲート
の前に、全員集合している現状です。
夜を徹して飛んで帰ってきたので眠ぃっ!
俺とミール達一行に、ダークエルフの証人に族長のイスマイールさん(←しばらくして復活されました)、それと娘のイシスさんも一緒でございます。
あ、それとメーベランもです。
前に"短慮者"エイハーが殺された時(あのエトワが一度殺された時だ!)みたく、また例の暗殺者が口封じにやって来るかもしれないからな。
央都にはどんな転移でも絶対不可、魔法・スキル絶対不可の超厳重な牢屋があるそうなんで、そこに移される。
おう、それとそのイシスさんですよ!
"アーザンズスポーンメディカ"を倒すと、例のメイド野郎は親指をおっ立てながら消えていった。
で、そのメイドイシスさんなんですが、もうお仕事は終わったとばかりにさっさと帰ろうとしたんだよ!
―「ちょ、ちょっと待って!
訊きたい事があるんだ!」
「あら?そうでございましたか。
はい、なんなりとお伺い下さいませ、御主人様。」
「…えっと、キャラクターカードの事なんだけど。
貴女は未来から来てんの?
つまり貴女は、このイシスさんの未来の姿なの?」
この質問を聞いて、こっち側のイシスさんが驚いているのが判る。
まあ無理も無いよね。
『未来から来た』みたいな、SF的思考なんか当然、こっちの世界の人には思いもしない事だろうし。
「…申し訳ありません。
その質問には、失礼ながらお答え出来ませんわ。」
俺の質問に、申し訳なさそうに頭を下げるメイドイシスさん。
…この質問に答えられないとは、やはり『未来を知ってしまうと、これからの事柄が変わってしまう』―とかいうSF的お約束だからだろうか?
「いえ。
単にお教えしない方が、御主人様がモヤモヤとなされて面白そうだからですわ。」
「うおおおおおいっ?!」
「失礼、言い間違いました。
御主人様がモンモンとなされるのが面白そうからですわ。」
「モンモンになっただけえええぇっ!」
「…ああもう!
その反応、さすが御主人様でございます!
しかもなんて初々しい反応なんでしょう…!
たまりませんわっ!」
このメイド、俺をおちょくって悦んでらっしゃいます!
ええもう、満面の笑みです!
しかもちょっとハアハアまでしてやがります!
イシスさんってちょっとエスっ気ある人って思ってたけど、こんなメイドになるかもしれんのか?!
いやだあ!
い、いやいや、まだ未来説は確定してないっ!
…ホント、そうであって欲しい(切実)!
「うふふ…。
大変、お見苦しい所を見せてしまいましたわ、お許し下さいませ。
でも、その質問にお答えできないのは本当でございます。
…なにせ、私めがいる方の御主人様からの命でございますので。」
―え?
いまサラっと重要そうな事、言いました?
「ですがふたつほどご助言を。
『己の望むことを成せ』―これが、私めの"御主人様"がいつも仰られておられる言葉でございます。」
どっかの破壊神さまも、そんなこと仰っておられましたよねー?
「…あと、さしでがましい事かもしれませんが、6番目の奥方様、リュネアン様には十分にお気をつけ下さいませ。
…若き御主人様のお力になれまして光栄ございました、では…。」
「ちょっ?!」
そう言うなや、メイドイシスさんは、見事に美しいお辞儀をしながら消えていった訳です。
彼女の言ってた『リュネアン』って、最初に呼び出した"ミール"のキャラクターカード、ミール(大人Ver.)さんが言ってたらしい人の事だよね?
ミール(大人Ver.)さんも、自分は嫁として認めない!みたいな発言をしていたらしいけど…。
……俺って、まだミール達以外に二人も嫁さんが出来るのか?
いやいや!
これ、決定事項じゃありませんから!
メイドイシスさんも、結局、はっきりと答えてませんからっ!
という訳で、ミール(大人Ver.)やメイドイシスさんらが言ってたのは、どっかの平行世界にいる色ボケな俺がやらかした事で決定!
この俺とは別人って事で決定です!
さあ、意識を切り替えていこう!
これから央都に出発だ。
俺達の冒険は、まだ始まったばかりだ!(まだ終わらないよっ!)
いつも読んで頂いてありがとうございます!
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